Platform Conferenceレポート

VIAがSamuel2を、AMDはAMD-760MPマザーボードを世界初公開!


 Platform Conferenceには小さいながらも展示会も併設されており、CPU、マザーボード、メモリといったPCコンポーネントの注目製品が展示されている。今回の展示会でもVIA Technologiesの次世代Cyrix IIIであるSamuel2やAthlon/Duron用のDDR SDRAM対応チップセットであるApollo KT266を展示するなど注目の製品の展示が相次いだ。


●VIA TechnologiesのSamuel2がついにデビュー

VIA TechnologiesのSamuel2コアのCyrix III。64KBのL2キャッシュが追加され、製造プロセスルールは0.15μmへと微細化されている。従来の600MHzとは異なり600A MHzと表記されている
 VIA TechnologiesはPlatform Conferenceの展示会において、同社が発売しているバリューPC向けCPUであるCyrix IIIの次世代コアであるSamuel2(C5B)のテクノロジーデモ(参考出品)を行なった。先日、700MHz版が発表されたばかりのCyrix IIIだが、現在のCyrix IIIはSamuel1ないしはC5Aと呼ばれるCPUコアに基づいて作られている。今回展示されたSamuel2(C5B)は、Samuel1(C5A)に64KBのL2キャッシュを追加し、製造プロセスルールを0.15μm(Samuel1は0.18μm)へと微細化したCPUで、今四半期中の出荷が予定されている。

 実際に、VIA Technologiesのブースでは、Samuel2がVIAのApollo PLE133(以前ProMediaの製品名で呼ばれていたTrident Microsystemsのグラフィックスコアを統合した統合型チップセット)搭載マザーボードと一緒にデモンストレーションされており、実際に動作していた。Cyrix IIIやSamuel2の特徴は、消費電力が少ないことであり、発熱もさほど大きくない。今回のデモではそれをアピールする意味で、わざとCPUクーラーからファンがはずされた状態でデモされていた。BIOSでコンポーネントの構成を見たところ、確かに64KBのL2キャッシュが搭載されていることがわかった。

 表面の表示は、従来のCyrix IIIと同じで、「VIA Cyrix III」と書かれているものの、クロック表記は「600A MHz」となっていた。VIAの展示員によれば、Samuel2のブランドネームもCyrix IIIで変わらないということで、従来のCyrix III 600MHzと区別するために「A」がつけられたようだ(BIOSでも600A MHzと認識されていた)。裏面には「C5B」とコードネームも記載されており、このCPUがSamuel2であることがわかる。出荷は第1四半期中が予定されており、VIAによれば従来のCyrix IIIに比べてパフォーマンスは大幅に向上するという。そういう意味では期待したいCPUだ。

Samuel2ベースのCyrix IIIの裏側。C5BとSamuel2のCentaur側のコードネームで書かれている Cyrix IIIが実際に動作しているPCの構成。クロックが600A MHzになっているところとL2キャッシュが64KBになっているところに注目 Samuel2コアのCyrix III 600A MHzが動作しているマシン。CPUクーラーからファンが取り外されてデモされている


●AMD-760MPマザーボードが初めて公開

 AMDはTyan製のAMD-760MP搭載デュアルAthlonマザーボードを展示していた。これまでデュアルシステム自体は公開されていたものの、マザーボード単体で展示されていたことはなく、そういう意味では初めての展示と言える。

AMD-760MPチップセットを搭載したデュアルAthlonマザーボード。Tyan製で、製品の型番などは現時点では未定 AMD-760MPのノースブリッジであるAMD-762。パッケージはBGAではなく、まるでCPUのようなOLGA? らしきパッケージ

 AMD-760MPはノースブリッジのAMD-762、サウスブリッジのAMD-766の2チップで構成されている。注目のAMD-762だが、ヒートシンクが貼り付いた状態になっており、残念ながらチップの様子がどうなっているかなどを知ることはできなかった。しかし、横から見たところ、サウスブリッジのAMD-766、AMD-760のノースブリッジであるAMD-761などのパッケージであるBGAとは異なるパッケージであることがわかった。残念ながら、現時点では詳しいデータシートなどが公開されていないため、どのような仕様になっているのかなどは不明だが、どのようなパッケージになっているのか気になるところだ。


●Apollo KT266を搭載したマザーボードも初めて展示

Apollo KT266を搭載したマザーボードのデモ。実際に動作していた

 VIA Technologiesは先週、同社のAthlon用DDR SDRAMサポートチップセットのApollo KT266の出荷をアナウンスしたが、今回そのApollo KT266を搭載したマザーボードがいくつか展示されていた。

 Apollo KT266はノースブリッジのVT8366とサウスブリッジのVT8233の2つがセットになったチップセットで、ノースブリッジであるVT8366はDDR SDRAMおよびAthlon/Duronをサポートしているという特徴がある。VT8233はVIA独自の内部バスであるV-LINKに対応しており、ノースブリッジとサウスブリッジ間は266MB/secとPCIバスと比べて倍のバンド幅を実現している。以下はそのスペックだ。

【Apollo KT266】

ノースブリッジ:VT8366
 EV6バス/200、266MHz
 PC-2100/1600(DDR SDRAM/266MHz、200MHz)、PC133 SDRAM/PC100 SDRAM
 AGP 4X
 V-LINK

サウスブリッジ:VT8233
 V-LINK
 Ultra ATA/100
 6USBポート
 PCIバス
 MIIインターフェイス(100Base-TXイーサネット)
 AC'97オーディオ/モデムコーデック

 今回、VIA自身のブースでリファレンスマザーボードが公開されていたほか、MSI、AOpenといったマザーボードベンダのブースでKT266を搭載したマザーボードが公開されていた。特にVIAブースでは実際に動作する様子がデモされており、一歩出荷に向けて進んだという印象を受けた。Athlon/Duron用のDDR SDRAMチップセットとしては、既にAMD-760、ALi MAGiK1と2製品がリリース済みではあるが、マザーボードメーカーに人気のVIAがだせばAthlon/Duron用マザーボードの選択肢が大幅に広がる可能性が高く、注目したい。

Apollo KT266のノースブリッジVT8366。システムバスが200/266MHzのAthlon Duron、200/266MHzのDDR SDRAM、AGP 4Xなどに対応している Apollo KT266を搭載したMSIのK7T266 Apollo KT266を搭載したAOpenのMK7A


●TransmetaとRambusもブースを出展

 このほか、TransmetaやRambusといったPCユーザーになじみが深いメーカーも多数出展していた。Transmetaは特に新しいCPUなどのリリースはなかったが、コード・モーフィング・ソフトウェア(CMS)の新しいバージョンのデモを行なった。Transmetaの低消費電力CPUであるCrusoeは、VLIW型のRISCプロセッサにCMSを組み合わせることでx86互換を実現している。ソフトウェアが発行するx86命令をCMSがVLIW型命令に変換し実行する。現行のCrusoeにはCMSのバージョン4.1が搭載されているが、今四半期中にバージョン4.2へとバージョンアップすることを明らかにしている。

コード・モーフィング・ソフトウェア バージョン4.2のデモ。反対側ではバージョン4.1を展示して違いをアピールしていた

 Transmetaが公開している資料によれば、CMS4.1からCMS4.2へとバージョンアップするだけで、同じSDRAMを利用している場合は3%、DDR SDRAMに変更した場合には10%以上の性能を向上を確認できるという。今回TransmetaのブースではこのCMS4.2を展示しており、実際に動作している様子を確認できた。

 CMSは書き換え可能なEEPROMに格納されているため、特殊な方法を用いればユーザーレベルでCMSを書き換えさせるのも不可能ではない。そこで、TransmetaやPCメーカーなどから書き換えツールなどが提供されるかどうかが気になるところだが、これは難しいだろう。

 理由は2つある。1つはCrusoeのCMSはハードウェアと密接な関わりがあり、各メーカーはCMSと現行のダイでバリデーション(動作確認)を行なっている。仮にCMSがユーザーレベルでアップグレードできるようになった場合、出荷済みのマシンでバリデーションをやり直さないといけなくなってしまう。仮に何らかの問題が発生した場合、メーカー側で保証しなければいけなくなりメーカーにとってのリスクが大きい。

 さらに、BIOSと同じようにCMSの書き換えに失敗すれば、当然そのノートパソコンは起動しなくなる。(CMSアップグレードツールの提供により)こうしたリスクを上回るようなメリットをPCメーカーが見い出すと考えるのは難しく、可能性は限りなく小さいと言っていいだろう。また、Transmetaによれば、Transmeta自身がエンドユーザーに対してCMSのアップグレードツールを提供する予定もないということだ。


Rambus社のブース。QRSLをアピールしていたほか、Direct RDRAMを搭載したデルコンピュータのPentium4マシンなどを展示してRambusの技術をアピールしていた

 もともとPlatform Conferenceは「Intel-Rambus陣営に対抗するプラットフォームを育てよう!」というコンセプトではじまったのだが、このイベントも順調に成長している証か、今回はそのRambus自身が出展しており、Rambusのメモリに関するセッションも用意されている。Rambusのブースでは前回のPlatform Conferenceで明らかになった、Rambusの次世代テクノロジであるQRSLがデモされており、来場者の注目を集めていた。


●マザーボードベンダが最新マザーボードを展示

 このほか、各マザーボードベンダなどがVIAやALiの最新チップセットを搭載したマザーボードを展示していた。また、ALiの展示会場では同社のチップセットを搭載した各マザーボードメーカーのマザーボードも会わせて展示されていた。

FIC ASUSTeK COMPUTER
AMD-760を搭載したAD11 Apollo Pro266を搭載したFP11 Apollo Pro266を搭載したCUV266

SuperMicro AOpen GIGA-BYTE Technology
SuperMicroのApollo Pro266を利用したデュアルマザーボードSUPER370DDI Apollo Pro266を搭載したAX37 Plus Apollo Pro266を搭載したGA-6RX

MSI
Apollo KT133Aを搭載したK7T Turbo Apollo Pro266を搭載したPro266 Plus
Apollo Pro266を搭載し、DDR SDRAM、SDRAMの両方のソケットを搭載したPro266 Master

ALiブース
MAGiK1搭載マザーボード
GIGA-BYTE TechnologyのGA-7AM MITACの6616AX MSIのMS-6375
PCChips M816 EPoX COMPUTERのEP-8LKA SOYOのK7ACR-R
Aladdin Pro5搭載マザーボード
Lucky-Starの6AAP5 IwillのIA266-R MaxtiumのSMART 1651
ASUSTeK COMPUTERのA7A266 ChaintechのA7A266 TranscendのTS-ALR4
ArimaのKUAIA SOYOのSK7ALA-R

□関連記事
Platform 2000レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/pform00_i.htm

(2001年1月24日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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