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基調講演が終了して展示会場がオープンすると同時に、アップルブースには大量の来場者が流れ込んだ。やはりお目当ては発表されたばかりのPowerBook G4という人が多く、展示スペースにはあっという間に人垣ができあがった。スペック等の詳細はすでに別記事にて掲載されているので、本稿ではスペックシートからでは分かりにくい部分を、従来モデルのPowerBook G3との比較をまじえて写真を中心に紹介する。
●ワイド液晶搭載のチタン製PowerBoo G4
今回、Apple Computerブースに用意されていたPowerBook G4のデモ機はざっと30台ほど。他にクルクル回る展示台に乗った非稼働モデルが数台ある。デモ用の展示台はiMacなどで利用されているものと同じ、下から蛍光灯でライトアップするタイプなので、天井からのカクテル光線ともあいまって、PowerBook G4本来のカラーがいまひとつつかみにくい。本体カラーはひとつしかないが、こうした事情で、撮影した写真にはずいぶんとばらつきが出ている。チタンボディの質感や本体カラーなどは、いずれ自分自身の手と目で確かめてもらうしかない。
チタンを使った外装は、PowerBookとしては初めての金属外装ということになるはずだ。チタンとあってさすがに加工面の難しさもあるのか、iMacやiBookのような曲線を多用したデザインではなく、直線が強調されたものになっている。しかし、G4 Cubeに続いて発表されたニューデザインとして考えれば、デザイナーであるジョナサン・アイブ氏の方向性が、G4 Cubeをターニングポイントとしたと想像できなくもない。まぁ、チタンの採用が先にあったのか、直線的なデザインが先にあったのかは、現時点で想像の域をでることはないが……。
15.2インチの液晶パネルは、その大きさよりもむしろ3:2の縦横比のほうが最初に感じる印象が強い。キーボードは半透明なスモーク系の黒。本体の薄さを確保するため、キーストロークはPowerBook G3より少々浅く思える。しかし、クリック感はほぼ同レベルで維持されているようだ。iBookとよく似た感じのパームレスト部分とほぼフラットなトラックパッドの操作感は、好みの分かれるところかも知れない。スピーカーがキーボードの横に位置しているデザインは、実際以上に横幅を感じさせる。
重量は2.4kgと発表された。両手で持ち上げてみたが、ACケーブルと盗難防止用のチェーンがついているため、いまひとつ感じがつかみにくい。チェーンの長さには限りがあるため、小脇に抱えてみるといったことができなかったのは残念だ。また、下からライティングをするアップル独特の展示台の上に乗せられているため、PowerBook G4本体の底面は常に熱く、PowerPC G4による発熱と現時点では区別することが難しい状態となっている。このあたりは、また機会を見つけて紹介することにしよう。
デモンストレーションに利用されているのは、今回発表されたばかりのMP3ジュークボックスソフト「iTunes」。かたわらにヘッドホンが用意されて、実際に操作をしながら、音質を確かめることができる。
基調講演のなかでスティーブ・ジョブズ氏はVAIOの505シリーズを比較の対象としていたが、本来ならThinkPad X20あたりと競合させるべきだと、日本国内のノートPC市場を知るユーザーなら考えるかも知れない。パソコンへのエントリーモデルとしてiMacは他のPC製品と競合することができたが、果たしてノートパソコンを購買対象としたユーザーに、MacとPCを競合させるという選択肢をどれだけ生み出すことができるのか、これからの反応が楽しみだ。
液晶パネルの縦横比がG3とは異なるため、奥行きは若干短めに。液晶パネルを開くヒンジ部分の処理の仕方の違いもよく分かるはずだ | PowerBook G4の液晶パネルで選択できる解像度。1,152×768をはじめとする縦横比3:2の解像度が3種類追加されている |
1,152×768と1,024×768をそれぞれ表示させてみた。4:3の解像度を選択している場合は、液晶の両端がブラックアウトする |
□MACWORLD Expo/San Francisco 2001ホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□Apple ComputerによるMACWORLD Expo/San Francisco 2001情報(英文)
http://www.apple.com/hotnews/
(2001年1月10日)
[Reported by by 矢作 晃]