2001 CES会場レポート


ソニーが市場開拓に挑戦するインターネット端末など

会期:1月6日~1月9日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Las Vegas Hilton
   Riviera Hotel
   Alexis Park


 2001 International CES(Consumer Electronics Show)が1月6日(現地時間)に開幕。しかし、日本がハッピーマンデー法で3連休となっている間に、こちらでは会期も3日目となった。快晴の続いていた天候も、3日目の夕方には小雨が降り始めた。

 今年のCESはPC WatchやGAME Watchでも既報のとおり、Xboxのデザイン発表など基調講演は例年になく盛り上がった。しかし、会場の方はといえば、CES自体がパソコン関連の出展が少ないイベントである上、今回は松下や、東芝、三洋といった大きなブースを出している日本系メーカーの展示にも目新しいものは多くない。

 そんな状況の中で、ソニーとPhilipsは、もともとCESに積極的なこともあり、数多く新製品を投入してきた。今回はこの2社の注目すべき製品をレポートする。

ソニーブース前には、プレゼンテーションの開始を待つ人が毎回長蛇の列を作っている。また、2nd GENERATION AIBOもなかなかの人気だった。米国ではまだ発売されていない「エアーボード」は、アメリカ人の心もつかんでいた

Philipsブース。Philipsは毎回大きなブースを出している


●ソニーはIAの世界にも新しい風を吹き込むか

 少し前から、各社がIA(Internet端末)を発表・発売するようになった。しかし、市場では苦戦しているのが、現状だ。そういった状況を打開すべく、ソニーが提示したのが「eVilla」だ。米国でのみ発売される予定だが、好評であれば日本市場への投入も検討したいとしている。

 eVillaは15インチFDトリニトロン(800×1,024ドット)一体型の端末で、CPUにMediaGX(Geode)、OSにBeOSのIA版「BeIA」を採用している。ストレージとしてフラッシュメモリを16MB搭載しているが、HDDは非搭載。なお、フラッシュメモリの容量は発売時点で、増える可能性もあるとのことだ。

 外部記憶装置はメモリースティック(MG非対応)を搭載しており、オプションでUSB接続のZipドライブも用意される。なお、MGには次期バージョンで対応したいという。インターフェイスはUSB×2、56kbpsモデム、Ethernet。しかし、Ethernetはハードウェアとしては搭載しているものの、現在のところソフトウェアが対応していないため使えないとのこと。USBには、オプションのZipドライブと、エプソン、HPのプリンタが接続できる。

 2001年春に発売予定で、価格は499ドル。インターネット接続は専用のプロバイダ(21.95ドル/月)への加入が必要となるが、プロバイダを解約した場合でもハードウェアの返却などは不要。専用プロバイダを使うことで、パーソナライズや、ソフトウェアのアップデートを自動でできるようになったとしている。なお、動画に関してはRealVideoにのみ対応しており、Windows Media Playerは現在開発中だ。

 会場での反応はかなりよく、説明を求める人が絶えなかった。ただ、価格的にはHPのパソコンが15インチCRTとセットで5万円以下で販売されていることを考えると、それほどメリットはない。しかし、VAIOで一時期落ちかけていたB5ノート人気を復活させたソニーが発売することで、“価格以上のなにか”がプラスされ、IA市場が開拓されるかもしれない。


□リリース(英文)
http://interprod.imgusa.com/son-431/pr.asp?page=2&pPreComdex=0(eVilla)
http://www.be.com/press/pressreleases/01-01-06_sony.html(BeIA)


●米国ではMP3に積極的なソニー

 日本市場では、ATRAC3にこだわり、著作権管理のむずかしいMP3には消極的なソニーだが、ここ米国では事情が異なる。というのも、今回のCESにMP3対応ポータブルCDプレーヤーを出展しているのだ。

 その中で最も注目なのが「CRX10U」。このドライブはUSBインターフェイスを搭載しており、パソコンと接続すれば4倍速のCD-R/RWドライブとして使用可能。また、スタンドアローンでもバッテリ駆動で、音楽CDはもちろん、MP3を焼いたCD-R/RWを再生できる。液晶リモコンも使用でき、操作感はよいのだが、現在のポータブルCDプレーヤーと比較すると、かなり大きく厚いのが気になるところ。

 発売は4月で、価格は399ドル。米国での販売しか予定されておらず、日本での発売は検討中としている。

 また、純粋なポータブルCDプレーヤー、CDラジカセのMP3対応版も参考展示されていた。しかし、こちらは完全なモックアップで、発売時期や価格は未定とのことだ。

 これらの展示を見ていると、ソニーは米国市場でかなり積極的にMP3に取り組んでいく姿勢が伺える。しかしながら、いずれも日本での発売予定がないのが残念なところ。米国の係員に「なぜATRAC(3)ではないのか?」と聞いたときに、「MP3で当然だろう」と怪訝そうな顔をされたのが印象的だった。


●ソニーの録画DVDは-RWにも対応するが、Philipsは非対応

 ソニーとPhilipsといえば、CDを立ち上げた仲間として有名だ。また、録画用DVDについては「DVD+RW」陣営のリーダーとなっている。

 しかし、他の家電メーカーが続々とDVD-RWやDVD-RAM対応のレコーダを発表する中、世界的な家電メーカーである2社が乗り遅れた形になっていた。まだ、Philipsの方は昨年のCESなどで、DVD+RW対応レコーダのモックアップを参考展示するなど積極的。一方、ソニーはDVD-RW方式の普及促進団体「RW Products Promotion Initiative(RWPPI)」に参加するなど、まったく先行きがわからなくなっていた。

 このような状況から、本当に製品化されるのかすら疑問視されている「DVD+RW」に対応した録画機が、ソニーとPhilips両社から参考出品された。

 Philipsは、昨年モックアップを出展していたこともあり、今回は実働サンプルとなっており、実際にDVから取り込んだ動画を再生して見せてくれた。

 この製品は、CESにあわせて5日に「DVDR1000」として正式発表されたもので、9月から発売され価格は2,200ドル。特徴の1つとして、DV端子(IEEE-1394)も搭載している。

 ソニーのレコーダはまだモックアップの段階で、正式な型番も振られておらず「DR-XXXX」と記されている。また、発売が2002年の中頃とかなり先で、詳細や価格はまったく未定とのことだ。

 ただ、現在明らかになっているわずかな仕様で驚くべきことは、対応するメディアがDVD+RWに加え、DVD-RW、DVD-Rと3つもあることだ。しかし、こうなってくると逆に、DVD-R/RWにのみ対応していれば、DVD+RWは必要ないとも思える。また、製品化される2002年頃には22.5GBのDVR-Blueの製品化が見えてくるはずで、本当に製品価値があるのかは未知数だ。


●パソコンで編集できるカラー液晶搭載学習リモコン

 Philipsは、以前にRS232Cで接続してパソコンから画面・機能を編集できるタッチパネル学習リモコン「Pronto(TSU2000)」を発売した。アイコンをパソコンで作成したり、同じ機能をエリアスで違う画面に貼り付けたりと、とにかく多機能でリモコンマニアには注目されていた。しかし、日本では発売されず、価格も400ドル程度と高かったため、日本の消費者が目にすることはほとんどなかった。

 今回はその上位機種「Pronto Pro(TSU6000)」が発表された。このTSU6000の最大の特徴はタッチパネルの液晶が、256色のカラーになったこと。メモリを8MB搭載し、IRに加え、RF方式にも対応した。発売は2001年6月に予定されており、価格は999ドルともはやリモコンとは思えない設定がされている。なお、残念ながら今回も日本での発売予定はないとのことだ。

ちょうど展示機が壊れており、撮影を断わられたため広報写真を掲載。実働サンプルとして展示していたとの事だ

パソコン用編集ソフト「Pronto Edit software」

□Prontoのホームページ(英文)
http://www.pronto.philips.com/


●SACDもマルチチャンネル時代がやっと到来

 より高音質なCDとして、ソニーなどが押しすめている新フォーマット「SACD」。そのSACDにやっと、マルチチャンネル対応のプレーヤーが登場する。SACDの規格自体はマルチチャンネルをサポートしていたのだが、今まで対応プレーヤーは発売されていなかった。

 そこで、ソニーはマルチチャンネルに対応したES型番のプレーヤー「SC-C55ES」を4月から1,700ドルで、廉価モデルの「SCD-CE775」を6月から400ドルで販売を開始。また、Philipsは1,999ドルでマルチチャンネルSACD対応DVDプレーヤー「SACD1000」を今月に発売する。

【ソニー】

【Philips】


□2001 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/

(2001年1月9日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


【PC Watchホームページ】


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