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PC市場の必要量より多い? Intelの0.13μmプロセス生産計画


●合計で9カ所のFabで0.13μmを生産

 Intelは0.13μmプロセスに勝負をかけている。どういうことかというと、0.13μmでは異常なまでにFab(製造工場)の数が多い。生産量では、おそらくIntelの0.13μmプロセスは0.18μmプロセスより大幅に増える。これは、PC市場の必要量を大きく超えてしまう可能性がある。Intelは0.13μm世代からは、PC市場以外へとIntel CPUのカバー範囲が大きく拡大することを前提にしているのではないだろうか。

 Intelの計画では、0.13μmでの生産は2001年第1四半期(Q1)からスタートし、2002年の中盤には0.18μmの生産量を上回ることになっている。Fabの立ち上げはだいたい下の順番になっている。

2001年Q1
 Fab20(オレゴン)

2001年Q3
 Fab22(アリゾナ)
 D2(サンタクララ)

2002年Q1
 Fab17(マサチューセッツ)
 D1C(オレゴン)

2002年Q3
 Fab11X(ニューメキシコ)
 Fab24(アイルランド)

2002年Q4
 Fab12(アリゾナ)

2003年Q1
 新Fab(場所未発表)

 CPU用のFabが2つしかなく、5年に1つのFabしかつくれないAMDと比べると、じつに贅沢な投資だ。0.13μmの生産量は、2002年の中盤に0.18μmと逆転し、2003年後半にキャパシティの99%に達することになっている。もっとも、これは11月の時点のアナウンスで、その時と比べるとFab24の生産開始が2002年Q1から2002年後半へずれ込んでいる(その代わり300mmウエーハになった)ため、0.18μmと逆転する時期は少しずれたはずだ。

◎200mmウエーハ換算の生産量
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Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2001      2002      2003


●Fabの数は0.18μm時の1.5倍

 このIntelの0.13μm生産計画で目立つのは、9つのFabで0.13μmプロセスの生産を行なうことになっていることだ。これは非常に多い。例えば、0.18μmのFabは、Intelの発表ではFab20、Fab12、Fab18、D2、Fab11、Fab17の6カ所だった。そうすると、単純にFabの数を比べても、0.13μmは0.18μmの1.5倍ということになる。

 それだけではない。Intelは0.13μmからは300mmウエーハを導入し始める。Intelによると、大口径の300mmウエーハは、現在主流の200mmウエーハと較べて、有効表面積は225%に増え、製造できるチップの数はウエーハ1枚当り240%増大するという。Fabの実際の生産量は、300mm対応装置の生産性とフットプリント(設置面積)に左右されるため240%よりは少なくなるが、それでも160~220%になるとIntelでは試算している。

 Intelの0.13μm Fabのうち、D1C、Fab11X、Fab24、新Fabの4カ所は300mmウエーハになる。そうすると、0.13μmの生産量は、ラフに言って200mmウエーハ換算でFab11~14個分となる。つまり、0.18μmの時の生産量の計算上は2倍ということになる。もっとも、0.13μm時点で300mmウエーハのFabが、全てキャパいっぱいを使うとは限らないので、これよりは生産量は少なくなるだろう。だが、それでも0.13μmの生産量がかなり多いことに変わりはない。

 また、Intelは300mm Fabからは製造ラインの作り方も根本から変える。IntelのWebサイトにある300mm Fabの検討資料を見ると、Intelが現在はまだ手作業の部分がかなり残っている製造ラインを、300mmFabからは自動化しようとしていることがわかる。Automated Material Handling Systems (AMHS)を導入してフル自動化を図り、また各装置を中央コントロールからモニタ制御できるようにしようとしているようだ。Intelは200mmウエーハFabでは、レール上を動くマテリアル運搬装置を(Rail-Guided Vehicles :RGV)を部分的に使っているようだ。しかし、このシステムだとフレキシビリティが低くラインの組み替えが難しいため、300mmFabではオーバーヘッド型にするようだ。それから、AMDがFab 30で導入した局所クリーン技術についても検討している文書がある。


●PC以外の市場を見たIntelの製造計画

 こうして見ると、Intelは0.13μmからはFabの生産量を大幅に増やし、効率を高め、フレキシブルに生産できるように製造態勢を大きく変えようとしていることがわかる。これは、おそらくPC市場だけを見た動きではないだろう。量に関して言えば、PC市場の成長は鈍化しており、これほど急激には伸びないだろうからだ。一方、フレキシビリティが高まると他品種生産が容易になる。多様化したチップの生産が、よりやりやすくなるはずだ。

 こうしたことから想像できるのはPC以外の市場への展開だ。つまり、IntelはPC市場中心に絞り込んだ種類のチップを大量生産をしていたこれまでの生産態勢から、PC以外も含めたより大きな市場に向けた多品種の生産に向いた生産態勢を取ろうとしているのではないだろうか。ただし、サーバー&ワークステーション用CPUではそれほど生産量を必要とするとは思えない。量が必要になるのは、アプライアンスとか。携帯電話&携帯デバイスとか、ネットワーク機器などと予想される。つまり、PC以下の市場での高性能CPUの需要が急増し、そこでもIntelが勢力を伸ばせると踏んでいる可能性が高い。

 もっとも、PC市場でも、Intelの競争力は高まる。300mmウエーハでCPUを製造するようになると、200mmウエーハと比べて前工程のコストが半減するため、CPUのオーバーオールの製造コストを30%削減できる。つまり、Intelは価格攻勢をかけやすくなる、あるいはマージンが広がり、価格攻勢に耐えやすくなるわけだ。また、逆にCPUのダイサイズが大きくてもコストを比較的低く抑えられるため、ダイサイズが大きな高性能のCPUを投入しやすくなる。例えば、より大容量のキャッシュSRAMを搭載しても、コスト的には見合う。Intelの300mm移行は、Intelのライバルとっては大きな脅威となるのだ。


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(2000年12月26日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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