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会場:シーザスパレス
いよいよ、明日13日(現地時間)から開催されるCOMDEX/Fall2000。その前夜にプレス向けイベントとして開催された、モバイル機器中心の展示会「MobileFocus 2000」において、現時点で未発表の新型「Mobile Pentium III」のデモストレーションが行なわれた。
「MobileFocus 2000」は、会場がシーザスパレスのパビリオンフォーラムで、各社ともテーブル1つのみという、ごく小規模なイベント。しかし、その出展メーカーはIntel、Compaq、Dell、IBM、NEC、Microsoft、ソニーなど40社を超える錚々たるメンバーが顔を揃えていた。
今回、デモストレーションが行なわれたのは、Mobile Pentium III 1GHzと、低電圧版500MHz。ブースには実際にそのCPUを搭載したノートPCが参考出品されていた。搭載機として出品されたものは、IBMの「ThinkPad240Z」ベースのものと、Compaqの「Presario」ベースのもので、いずれも実際に稼働していた。もちろん、現時点では両機とも未発表の製品だ。
説明員によると、「ThinkPad 240Z」ベースのものに搭載されているのは、低電圧版Mobile Pentium IIIの300/500MHzで、駆動電圧は300MHz時に0.975V、500MHz時に1.1Vというきわめて低電圧なものとなっている。発熱も少なく、冷却ファンも装備していないという。
実際に「ThinkPad 240Z」によるベンチマークも公開されており、300MHz駆動時の消費電力はフルパワー稼働時でもきわめて少ない。また、同系列のCPUは稼働時以外は電力をカットする機能を搭載していることもあって、トータルでの消費電力の少なさはかなりのレベルだろう。
デモ画面の動きを見る限り、処理速度は実用的なレベルであり、通常の作業には充分すぎるほど。先だって、IBMがCrusoe搭載のThinkPad 240の開発を凍結するという報道があったが、今回のデモを見る限り、その判断にも十分納得がいく印象を受けた。
一方、「Presario」ベースのものにはMobile Pentium III 1GHzが搭載されており、車で移動することの多い米国でのモバイル環境に対応したという。
こちらは、ベンチマークこそ行なっていなかったが、動画もスムーズに動き高速なデスクトップマシンと比較しても何ら遜色のない実力。実際に北米を中心とした市場では、日本のようにバッグに入れて持ち歩くというイメージのモバイル環境よりも、車で移動したり、会議室の間を移動するといったレベルでのモバイル性を要求されている。そのため、極端な省エネ化よりも、軽快な作業環境を維持しつつ、実用十分なバッテリ駆動時間を達成するといった方向での開発が求められているという。今回のMobile Pentium III 1GHzは、その要求に応えたものであり、ACアダプタを頻繁に繋ぐことなく、快適な作業環境を実現することに主眼がおかれているわけだ。
説明員の話では、今回公開されたMobile Pentium IIIを搭載したマシンは、来年の早い時期から製品化され市場で出回るという。
今年の年末は、各社ともCrusoe搭載機が続々発表され、一気に省エネ型ノートPCが脚光を浴びる形になった。だが、来年早々にはその有力なライバルとして、高速処理と低消費電力をバランスさせたMobile Pentium III搭載機が登場し、Intelの反撃が始まる。
Crusoe搭載機の購入を本格的に検討した筆者としては、今回のMobile Pentium IIIのバランスの良さは、かなり衝撃的であり、購入計画を先送りせざるを得ない状況と感じた。
□COMDEX/Fall 2000のホームページ(英文)
http://www.key3media.com/comdex/fall2000/
(2000年11月13日)
[Reported by 山田久美夫]