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塩田紳二のLinux World Conference&Demo/Tokyo2000レポート

会期:10月31日~11月1日

会場:東京ファッションタウン



 10月31日と11月1日の2日間、東京ファッションタウンでIDGジャパン主催によるLinuxWorld Conference&Demo/Tokyo2000(以下LinuxWorld)が開催された。LinuxWorldの出展者数は50社。一部の企業の展示は、IBMやRedHatのブースにあるなど、コマ数的にはもっと少ない。実際の展示会場はそんなに大きいものではなく、一回りしても30分程度。参考出展やおもしろかった展示のいくつかを紹介しよう。


●日立のLinuxアプライアンス

 日立はCrusoeを使ったインターネットアプライアンス「FLORA-ie」を参考出品した。これは、フラッシュメモリにMobile Linuxを搭載し、スピンドルレス、ファンレスを実現した薄型マシン。Transmetaが公開したCrusoe搭載機種向けのリファレンスデザインにあったものだ。今のところ一般売りは予定されておらず、企業向けに専用システムの一部として販売されるようだ。PCカードスロットやUSBを備え、専用クレードルを使ってキーボードやマウスも接続できる。バッテリ駆動時間は、6時間程度を目標にしているという。

日立のFLORA-ie。本体にはキーボードはなく、タッチパネル付きの液晶を備える。本体右側(写真手前側)にPCカードスロットがあり、ここには無線LANカードが装着されていた クレードルにセットされたFLORA-ie。ハードディスクもなければ、ファンもないので動作音は静かそう


●Linux搭載のLOOXを展示

 富士通ブースには、出荷前のCrusoe搭載機「LOOX」が展示されていた。OSはもちろん、Linuxがインストールされている。ただし、PC互換機としてLinuxをインストールしたという状態で、Windowsでは可能なLongRunのコントロール(クロックの上下限の設定など)や、Linuxでのサスペンド/レジュームには対応していないようだ。


●AMD正式対応のレーザー5

 Linux系ディストリビューターとしてはいちはやくAMD対応を発表したレーザー5のブースには、Duronマシンが展示されていた。RedHatなど大手Linuxディストリビュータはインテルが出資しているせいで、いままでAMDに積極的に対応するところは少なかった。ただし、技術的にPC互換機としてDuronでのLinux動作に問題があるわけではなく、単にあまり検証対象として扱われてないという状態だ。


●LinuxでDVD-Videoを再生

 そのほかソフトウェア関係では、WinDVDの開発元のIntervideoによるLinux初のソフトウェアDVDプレーヤー「LinDVD」がTurboLinuxブースに展示された。これ以前にあったCreativeのDVD再生ソフトは、専用ボードを使うもので、ようやくLinuxでもソフトウェアだけでDVD-Videoを再生できるようになった。また、Storm Linux2001の日本語版βのデモが行なわれた。

TurboLinuxブースにて展示された、Linux初のソフトウェアDVDプレーヤー。なお、開発元は、Windows用DVDプレーヤーWinDVDと同じInterVideo カナダのStormix TechnologiesのStorm Linux 2001日本語β版。ようやくβテストが開始されたところ


●Linux搭載のPDAと腕時計

IBMの腕時計型コンピュータ。ARMプロセッサを使い、Linuxで動作する。マイク、スピーカー、IrDA、Bluetoothを備え、ジョグダイヤルがある。腕時計としては大きめだ

 このほか、IBMは今年8月のLinuxWorldの展示と同じく、腕時計型コンピュータを展示されている。しかし、内容的には国内での発表時からほとんど変わっていないようだ。ちなみに、日本IBMの大歳社長も基調講演ではこの腕時計をしていた。


●組み込み系のミニサーバーたち

 このほか気になったのは、CFからブートできる超小型のLinuxBoxである。アミュレットのブースには、ワイルドラボが開発したルーターとしても利用できる「子羊ルーター/LAMB」が展示されている。これは、AMDの1チップ486互換プロセッサELANをベースに作られた超小型のLinuxマシン。Ethernetポートを2つ備えており、CATVインターネットなどを使う場合のNAT/IPマスカレードルーターとして利用でき、この分野ではよく知られた製品のひとつだ。また、大容量のCF(たとえばmicrodriveなど)を使えば、さまざまなLinuxアプリケーションを動かすことも可能となる。

 同じようなコンセプトの製品は、NTT COMWAREブースにもあった。こちらもCPUに486互換のMachZ(ZF Linux Devices)を使っている。ただし、会場にあったのはモックアップだった。

子羊ルータ/LAMB。内部のCFスロットにMicrodriveを使えば、さまざまなLinuxアプリケーションも動かすことができる。Ethernetポートが2つあり、NAT/マスカレード用ルータとして使うこともできる NTT COMWAREに展示されていた超小型Linuxボックス。USB、PCカード、Ethernetを備えている

 また、Laser5ブースにあったL-Card+やL-Boardも同種の製品。L-Card+は名刺サイズのMIPSベースのカード。L-BoardもやはりMIPSベースだが、PCIスロットに挿すことができるもので、PCIバスからは電力のみを供給する。

 また、カラー液晶を搭載したPDAの応用例も展示されていた。MIPS系では、LinuxVRと通称されるLinuxが動作している。VRシリーズを採用したWindows CEマシンなどでも動作していた。

Linuxが動く超小型MIPSシングルボードコンピュータL-Card+。この基板の裏側にCFカードスロットが装備されいる 同じくMIPSを使い、パソコンのPCIスロットに装着できるL-Board。ただし、PCIからは電源だけを供給する MIPS系のCPUであるVRシリーズ用に移植されたLinuxVR。こちらは、カラー液晶を使った試作例。タッチパネルでちゃんと操作が可能

□Linux World Conference&Demo/Tokyo 2000のホームページ
http://www.idg.co.jp/expo/lw/index.html

(2000年10月31日)

[Reported by 塩田紳二]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp