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プロカメラマン山田久美夫の

CEATECデジタルイメージングデバイスレポート

会場:幕張メッセ
会期:10月3日~7日(3~4日は招待日)

当日入場料:一般 1,000円
      学生 500円


 CEATECは、旧エレクトロニクスショーの時代から、デバイス関連の出展がきわめて多く、今後登場するデジタルカメラ関連の新製品の展開を予測する意味で、きわめて重要なポジションを占めるイベントといえる。

 今回のCEATECでも、今後注目すべき動きを見せる可能性の高い、さまざまな分野のデバイスが続々登場。かなり見応えのあるイベントとなった。


<撮像素子編>

●松下
1/2.6インチ230万画素CCDや1/2インチ400万画素CCD

 松下電器は現在、高画素CCDとしては、1/1.7インチ231万画素タイプを発売中だが、今回のCEATECではより高密度なCCDを発表した。

 このCCDは、1/2.7インチの211万画素タイプ(画面縦横比3:4)と、縦横比が2:3の1/2.6インチ231万画素タイプの2種。いずれも標準として原色系タイプのインターレースタイプ。この仕様のものは、今年の中堅機に数多く採用されたものであり、松下もその市場に新たに参入するわけだ。

 すでにサンプル出荷は始まっており、デジタルカメラに組み込まれて登場するのは来年になるという。

 さらに同社は、配布されたカタログのロードマップで、1/2インチ400万画素CCDや1/3インチ300万画素タイプについても検討中としており、このクラスのものが来年あたりに登場してくる可能性も十分にある。

 これらのデバイスは、1/2.7インチ211万画素タイプよりもさらなる微細化が進んでおり、1ピクセルあたりのサイズが3ミクロン以下になるという。もちろん、マイクロレンズなどの工夫により、実効感度やノイズ特性などは従来タイプよりも有利なものになっているようだ。とはいえ、レンズに要求される解像度はかなりのレベルが要求されるため、CCD本来の性能をフルに発揮させるには、光学系への負担はさらに厳しいものになるのは必至といえるだろう。

 また、同社はコンパクトな1/6インチの35万画素VGAタイプ(プログレッシブスキャンタイプ)も出品。こちらは主に携帯電話やPDA向けのCCDとして開発された。1/6インチクラスではまだ1/4VGAのものが比較的多いわけだが、このセルサイズでVGAのものが登場すれば、いまは1/4VGAが主流の携帯電話やPDAへの組み込みタイプも、一気にVGAへステップアップする可能性がある。

 同社はこの分野でも高密度化を予定しており、前記のロードマップによると、2001年末から2002年始めに、1/6インチのXGAタイプCCDの発売を検討しているようだ。そして、そのすぐあとには、1/4インチ133万画素のSXGAタイプも予定されている。もちろん、これだけの画素数があれば、通常のプリント用途にも耐えるレベルになるわけだ。

 これらは、来年のIMT-2000(W-CDMA)での画像通信時代に対応したデバイスといえるが、現在は消費電力の関係からCMOSが主流になると見られている。だが、CMOSの場合にはまだ画質面での問題があり、プリント用途を考慮したような高画素化をするには、センサーのサイズも大型化せざるを得ない。そうなると、画質面ではむしろCCDのほうが有利になる可能性もあるわけだ。松下のロードマップを見ると、そのような市場を狙った展開を目論んでいるようだ。


●シャープ
カメラ付き携帯電話対応ユニット各種

 シャープは、高画素CCDの新規公開はなく、現行の1/1.8インチ337万画素CCDとその搭載機を出展。

 一方、携帯電話向けのモジュールとして、1/7インチ11万画素でレンズ一体型の超小型CMOSユニットを出品。当初から携帯電話を意識した設計のため、厚さも5mmと薄く、さほど離れなくても顔全体が写るように広角レンズが標準で搭載されている点が大きな特徴といえる。もちろん、CMOSセンサーのため、消費電力も少ないわけだ。

 同社はこのほかに、1/4インチCMOS素子を搭載したレンズ付きの11万画素ユニット(11mm厚)と、同じく1/4インチの35万画素タイプのレンズ付きユニット(12mm厚)をすでに発表しており、今年年末から来年にかけて続々登場する、カメラ付き携帯電話を想定した展開を着実に進めていた。

 このほか、液晶を得意とするメーカーだけに、今回は2.6インチの1/8VGA表示可能なカラー液晶ユニットを発表。種類は、透過型、半透過型、反射型の3種があり、どんな用途でも対応できるように万全の体制という感じだった。


●フィリップス
話題の35mmサイズ600万画素CCD

 フィリップスといえば、いまやFT(フレームトランスファー)方式の、35mmサイズ600万画素CCDのメーカーとして有名で、今回もその巨大なCCDが出展されている。

 先だってのフォトキナでは、旭光学と共同開発した同ユニットを、同社のデジタル一眼レフに搭載することを表明。いよいよパーソナルレベルに近いモデルで、この魅力的な巨大CCDが楽しめる時代が到来するわけだ。

 一方、ブースには、2/3インチ240万画素FT方式CCDを搭載した「ペンタックス・EI-2000」も展示され、このクラスのFT型CCD搭載機もようやく市場に登場し始めたことをアピール。

 さらに今回は、新製品としてはFT方式の2/3インチ・320万画素CCDを公開。もともと、FT方式は、感度やダイナミックレンジの点で有利なこともあって、この新ユニットにも期待が集まるところだ。もしかすると、このCCDが量産された折りには、前記の「EI-2000」の320万画素タイプ(EI-3000 ?)が登場する可能性もあり、今後の展開にも目が離せない。


●東芝
MPEG-4採用ビジュアルフォンのプロトタイプ

 東芝は今回、イメージング関係では比較的静かな展開。そのなかで、これまで撮像部分と処理部分の2ユニットタイプだった撮像ユニットを一体化したレンズ一体型CMOSユニットを参考出品していた。また、同ブースではMPEG4をベースにしたビジュアルフォンのデモも行なわれていた。

 一方、同社の製品系ブースでは、SDカードの簡単なロードマップが公開されており、将来的には1GBのSDカードが登場することをアピール。また、転送速度も現在の秒2MBから将来は秒10MBまで高速化するという。ただ、いずれも明確な実現次期が公開されていなかったのが実に残念だった。


<ディスプレイ編>

●三洋電機
話題の有機ELディスプレイ

 三洋電機はコダックと共同開発している有機ELディスプレイを大々的にアピール。

 今回出品されたものは、アクティブ型の5.5インチタイプと2.4インチタイプ。さらに、製品化が近いパッシブ型の1.3インチタイプ。

 とにかく、その表示の美しさは目を見張るほどで、有機ELならではの明るい場所での視認性の高さ、斜め方向からの見やすさ、ユニットの薄さ、応答の速さなど、どの点から見ても、現時点でもっとも理想的なユニットといえる。残念ながら、アクティブ型の量産は2002年ごろと、まだもう少し待たなければならないが、一刻も早く製品化されたものを、アウトドアでその実力を試してみたいところだ。一方、パッシブ型は量産時期も近く、来年には携帯電話に搭載されて製品化されるようだ。

 また、同社は従来からの低温ポリシリコンTFTタイプの反射型液晶パネルを参考出品。こちらも携帯電話を強く意識したもので、反射型ながらも十分なレベルの表示品質を実現していた。


●カシオ
広視野角のHAST液晶

 カシオは独自開発の高解像度液晶モニターHASTの新ラインナップとして、従来品の欠点である斜め方向からの視認性を向上させた広視野角タイプを公開。かなり斜めから見ても、従来タイプのような表示画像の反転現象が起きず、その効果はなかなかのものだった。

 また、通常のTFTタイプでは、最近の小型デジタルカメラで主流になりつつある1.6インチタイプを発表していた。


●エプソン
D-TFD液晶や反射式液晶、CFサイズのGPSユニット

 液晶モニターに積極的なエプソンは今回も、携帯電話向けの液晶ユニットを多数出品していた。

 また、現行品でも多数の製品に搭載されていることをアピールするため、エプソン製液晶モニターを採用した各社の製品を一堂に展示し、その実力を示していた。

 一方、ロカティオでGPSへの積極的な展開を示した同社は、今回、CF Type2カードタイプのGPSユニットを公開。もちろん、GPSアンテナ内蔵タイプであり、必要に応じて外部アンテナの装着も可能。さらに消費電力も少なく、携帯端末のGPSユニットとして有望であることをアピールしていた。


●KOPIN
9mm対角でVGA表示可能な高密度透過型液晶ディスプレイ

 KOPINは今回、注目の超高密度ディスプレイ「CyberDisplay」を大々的にアピール。このディスプレイは海外で有名なもので、すでに一部の製品に組み込まれて商品化されている。

 この「CyberDisplay」は、対角線わずか6mmのユニットで1/4VGA、9mmでVGAのフルカラー表示が可能な超小型の透過式液晶ディスプレイ。とにかく、その小ささと高精細さには目を見張るばかり。

 すでに台湾メーカーでは、デジタルカメラ用の液晶ファインダーとして搭載されているが、その機種を見る限りは大した実力とは思えなかったのだが、それは表示回路の実力がプアなものだったようで、今回ユニット単体でのデモを見て、その美しさにビックリしてしまった。

 とくに、VGAタイプの緻密さは大きな魅力であり、こんな液晶ファインダーならぜひ使ってみたい!と思わせるだけの魅力を備えている。

 しかも、通常の液晶パネルとは製造工程が違い、CMOSチップと同じウエハー方式のため量産が容易でコストも手頃な点が大きな特徴という。

 ブースでは「CyberDisplay」を搭載したビジュアル携帯電話はもちろん、その小ささと高画質さを利用して、ポラロイドフィルムを使った超小型のページプリンターの試作機まで出品されていた。


●DISPLAYTECH
液晶ビューファインダー用モジュール

 「CyberDisplay」のライバルとして、DISPLAYTECHはさらにコンパクトな対角線4.8mmの1/4VGA表示可能な液晶パネルを出品。こちらはバックライト一体型のもので、デジタルカメラやDVカメラの液晶ファインダー用に開発されたものという。

CEATEC JAPAN 2000のホームページ
http://www.ceatec.com/

(2000年10月6日)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp