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プロカメラマン山田久美夫の

フォトキナ2000初日レポート

開催期間:9月20日~9月25日


 今回で50回目を迎えるフォトキナが、いよいよ開幕した。今回はデジタルカメラの新製品が目白押しであり、前日レポートでもお届けしたように、本格派デジタル一眼レフから低価格モデルまで、実に幅広い分野のモデルが出そろった。



 フォトキナが開催されるケルンメッセは、会場の規模が幕張メッセの数倍ときわめて広大。そのため、1、2日で全てのブースを回ることは不可能に近い。そこで今回は、初日に取材することができたブースの中から注目の製品をお届けする。



●三洋電機:iDフォトディスク採用の3倍ズーム機を参考出品

VPC-SX560

 三洋電機は今回、日本国内で同時発表された150万画素機「DSC-SX560」の欧州版である「VPC-SX560」を正式発表。

 このモデルは、グリップ部の形状が日本仕様とは異なるものの、基本的なスペックは日本の「DC-SX560」と同じものだ。


 また、オリンパスやマクセルと共同開発した720MBの光磁気ディスク「iDフォト」を記録メディアに採用した、光学式3倍ズーム機を参考出品。以前、CeBITなどでは数種類のモックアップが出品されていたが、今回はそのなかから一機種のみが展示されていた。具体的な発表時期や仕様についてはノーコメントということだが、展示機を見る限り、モックではなく、ほとんど製品版という印象。

 なお、以前出品された同型のモデルは型番に“SX”という文字があったが、本機の型番は別物。そのため、150万画素なのかどうかも不明だ。


●コダック:25,000円の液晶付きメガピクセルモデル「DC3200」発表

 コダックは今回、多数のデジタルイメージング関連製品を出品した。日本国内でもコンパクトな200万画素機「DC3800」を発表したが、今回のフォトキナではプリント用のローエンド機といえるメガピクセルモデル「DC3200」を公開した。

DC3200

 注目されるのは、やはりその価格。液晶モニター付きのメガピクセルモデルながら、ドイツ国内で499ドイツマルク、北米では250ドル、日本円換算ではほぼ25,000円相当という破格のプライスだ。

 機能的にはごくシンプルなもので、レンズは単焦点タイプ。ファインダーは低価格機としては珍しく、光学式のほかに液晶モニターを装備。もちろん、ストロボも内蔵されている。画像記録は2MBの内蔵メモリのほか、CFカードを利用することもできる。外観は往年の富士写真フイルムの「DS-7」に似通った雰囲気で、サイズもほぼ同等と比較的コンパクトに仕上がっている。

 ただ、価格優先のため、液晶モニターのレスポンスはかなり遅く、ブースに展示されていたモデルは撮影してから記録終了までに約18秒もかかるなど、軽快な国産機とは比較にならないレベルだった。

 なお、このモデルは、主に北米市場で急速な進展を見せている200ドル前後の低価格機市場に対応するもので、日本国内での発売予定はないという。

EZ200

 また、同ブースには、先だって北米で発表されたVGAの内蔵メモリ専用VGAモデル「EZ200」も出展されていた。このモデルはコンパクトな光学ファインダー専用機で、スタイルからもわかるように、単体での静止画撮影はもちろんUSB接続によるPCカメラとしても活用できるもの。写真にある台座部分も同梱されており、価格も149ドルと安価だ。


●ミノルタ:230万画素光学3倍ズーム機「Dimage 2330」公開

 ミノルタは、単焦点モデル「Dimage 2300」の3倍ズーム機「Dimage 2330」を発表した。もともと低価格をウリにしたモデルであり、今回の「2330」もその流れを汲むもの。

Dimage 2330

 CCDは1/1.75インチ231万画素タイプを採用。レンズは8~24mm F3.4-3.6(35mmカメラ換算で34~114mm相当)。サイズは116×73×62mm、重さは280g。

 スタイリング的には2300の上級機といった雰囲気だが、プラスチック素材のため、手にしてみると見た目よりも軽く感じる。
 全体的に動作がやや遅めなのが気になるが、このシリーズは先代から日本市場よりもコスト重視の北米や欧州をターゲットに開発されたモデルなだけに、デジタルカメラ先進国の日本的な基準から見ると物足りない部分もある。だが、実販価格によっては、意外にコストパフォーマンスが高いモデルになるかもしれない。

●キヤノン:回折格子の原理を使った画期的な新素材「積層型回折光学素子」を公開

 デジタルカメラではないが、今回のフォトキナで初公開された新レンズ素材「積層型回折格子」という技術がある。これは、同心円状の回折格子を持つ2枚の単層型回折光学素子を向き合わせて配置したもので、蛍石や特殊低分散ガラス、非球面レンズといった、高い光学性能を実現するために必要な技術を一枚のレンズで実現できる画期的な新素材だ。

 この素材を使うことで、これまで製造が困難だった、高倍率ズームや大口径(明るい)ズームレンズなどの設計が容易になるうえ、軽量化にも大きく貢献する。もちろん、これまでもOHPなどでは実用化されていたわけだが、高い光学性能が要求される写真レンズで実用化したのは、キヤノンが世界で初めてといえる。

 今回出品された試作レンズ(400mm F4)で比較すると、従来のガラス素材のみで作ったものに比べ、全長で約26%、質量では約36%減を実現しているという。

 実際に手にしてみると、前面側の大きなレンズに積層型回折光学素子を採用していることもあって、従来型の超望遠レンズに比べて、前側がかなり軽く、手持ち撮影もはるかに容易な感じだ。

 この素材を組みこんだ一眼レフ用レンズは来春には発売され、その後、デジタルカメラを含めたさまざまな撮影レンズに応用してゆくという。

●JVC:フィルムコピー機能を強くアピールした「GC-QX5HD」を出品

 日本国内でもフォトキナ直前に発表されたJVCの「GC-X3」は、「GC-QX5HD」というモデル名で、フィルムコピー用アダプタとともに出展されていた。

GC-QX5HD フィルムコピー用アダプタ

 もともと、接写に強いモデルであり、静止画撮影には、複数回露光による高画素化やワイドダイナミックレンジ化が可能なモデルだけに、その特徴をフルに生かしたのが、今回のフィルムコピー機能といえる。

 基本的なスペックは、先代の「GC-X1」と同等。また、ハイビジョン対応テレビへのダイレクト出力機能を備えているため、対応TVを持っている人には従来機とひと味違った楽しさがあるモデルといえる。


□関連記事
【9月20日】プロカメラマン山田久美夫のフォトキナ2000前日レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000920/photo1.htm

(2000年9月22日)


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[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp