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Apple expo 2000 展示会場レポート第2弾
まったくの新製品こそ少ないものの、興味津々の展示会場

会期:9月13日~17日(現地時間)

会場:Paris Expo Porte de Versailles


 展示会場には240を数える出展者がブースを構えた。日も長いせいか、展示会場の開場時間も10時から始まって19時までとかなり長めで、展示会自体の雰囲気も日本や米国とは少し違う。展示会場レポートの第2弾は、会場内でみかけたユニークな製品をいくつかと、ここフランスならではの展示会風景を写真を中心に紹介する。


■ Mac OS X日本語版の10月リリースを明言

 展示会場レポートに入る前に、Mac OS Xのパブリックベータ版やiBookについて新しいニュースを入手できたので、先日の記事を補う意味で紹介しておく。これは基調講演の翌14日に、日本のプレス向けに行なわれたApple Computerのブリーフィングで明らかになったもの。各製品のプロダクト担当者よりひととおりの説明があった後、Q&A形式のセッションが行なわれた。なお同社側からの要望により、優秀な人材の引き抜きなどを防ぐためという理由で、各担当者の顔写真等の掲載はできないことをあらかじめお断りしておく。

 Mac OS Xについては、Ken Bereskin氏より日本のユーザーがもっとも気にしている情報として、パブリックベータの日本語版の登場時期が明らかにされた。細かい日時こそ特定されないものの、10月中のリリースが明言されている。今回発表された英語、仏語、独語と同時に発表できなかった理由としては、やはりインストーラを中心とした日本語へのローカライズ作業に時間がかかることを挙げている。ただし、Mac OS X自体にはすでにOsakaやヒラギノなどの各フォントや、日本語入力用のことえりなどがすでに含まれており、制限付きながらも利用することができる。他に、現在のバージョンではAirPort (AirMac) への対応がなされていないが、これはもっとも高いプライオリティで準備を進めていることなどもコメントされた。また、Mas OS Xのパブリックベータ版を、Software Updateなどの機能を使って (ベータ版のビルドがあがるたびに) 更新できるかどうかという質問に対しては、将来の製品計画に関わることのひとつとして回答を得ることができなかった。

 続いて新しいiBookについて。今年2月に東京で開催されたMacworldでも話を聞くことができたDave Russell氏より説明が行なわれた。新たにサポートされたAV Portについては、ステレオミニプラグを拡張した独自の規格であることが明らかになった。これはステレオミニプラグに映像出力のための信号を加えたもの。AV Portに従来のステレオミニプラグを指せば、単に音声のステレオ出力として機能するが、付属の専用ケーブルを利用することで映像の出力も可能になる。出力されるテレビモニタ側は、一般的な3本のピンプラグ形式となる。このテレビモニタへのミラーリング機能については特に教育市場からの要望が強く、今回の搭載に結びついたとのことだ。ただし日本市場においては、どちらかと言えばSpecial EditionでのDVD再生で大画面表示ができることなどがセールスポイントになると予想される。また、日米と欧州とで違うNTSCとPAL/SECAMの切り替えについては、iBookにインストールされるMac OSの言語によって自動的に適切なほうが選択されるという。また、コントロールバーを使って意識的に変更することもできるので、海外出張の際にプレゼンテーションなどで利用するときにも、地域を気にすることなく活用できるとのことだ。


■ 初見には新鮮なフランスの展示会光景

 さて、展示会場へと目を移そう。先日お伝えした米Apple Computerのブースは展示会場内でも最大規模となるが、そのほかにも欧州、米国を中心とした企業が240社あまりも出展している。日本企業の欧州法人はもちろんだが、日本やアジア地域からの出展もわずかながら見ることができた。

 さすがに、Apple expo 2000にあわせて発表される周辺機器やソフトウェアはほとんどないが、7月のMacworld以降、最近発表された製品はひととおり目にすることができる。いずれも初見となる来場者には、興味深いところだろう。さらにSONYのブースでは、日本でも発表されたばかりの小型デジタルカメラ「Cybershot P-1」も早速展示されていたりして (『スタミナ30時間』といった日本語のシールが貼られたままだったのはご愛敬だが……) 、Mac向けというくくりではあるが、新製品にいち早く触れることができる場としてのApple expoもあるようだ。

 また、個人的には初めてのヨーロッパ取材とあって、展示会自体の雰囲気も日本や米国との違いを感じる。ドイツで開催されるCeBITなどもそうだが、会期自体が長くいずれも土日の両日を含んでいるのも、何かビジネス一辺倒ではない印象を受ける。新製品関連の話題が少ないこともあるが、ちょっと会場の風景を増やして、少しでもこの雰囲気を伝えることを心がけた。

Porte de Versaillesのなかでも最も近代的な第4ホールがApple expo 2000の会場。ホールによっては老朽化が進んでいるところもあり、順次改修や建て替えが進んでいるという 正面入り口には、開催中と近日開催となるイベントが紹介されている。さらにパリコレの時期と重なることもあって、パリ市内のホテルやパリ発着の航空機はたいへんな混雑となっている パリ市内のあちこちで見かけたThink differentなペイントバス。この期間、Apple Computerは公共交通機関を中心に大規模な広告を展開しており、メトロの駅やバス停などには多数の広告が見られる
Voodoo4のMacintosh向け製品名は「VoodooMac 4500PCI」。既出の5500PCIとあわせてATI Rage128との比較デモを行なった3dfx社のブース。ゲーム関連ゾーンの一角にあるが、ブースとしては小ぶり VSTのUSBカードリーダ。CFカードとスマートメディアのコンビネーションドライブになっており、2枚同時にマウントすることもできる。アクセスランプも見やすく、使い勝手がよさそう ニューヨークのMacworldでもCFカードとメモリースティックのコンビネーションドライブというユニークな製品を展示していたDatafab Systems。今度はFireWireインターフェイスのメモリースティックリーダー/ライターを出展
ハロゲンランプで、PCの手元を照らす「net@light」。金属部分のアームがスイッチ兼調光装置になっており、本体側からランプ側へと指先を走らせることで、次第に明るく点灯するような仕組み。機能はなかなかお洒落だが、本体側のデザインがどこぞのマウスの部品を流用したかのようなデザインで、フランスらしからぬところ。即売もしていて結構な人気があった。欧州用に220V仕様の製品がメインだが、米国向けに110Vのものもあるという スタッフのピンクのユニフォームがかなりお洒落なMicrosoftブース。10月に発売を予定する「Office:mac 2001」のプレゼンテーションが展示の大部分を占めている
展示会場でみかけるキーボードは2種類。ひとつは基本的なQWERTY配列のキーボードにフランス向けのアクサンターギュ付きの文字や通貨記号などを追加したもの。そしてもうひとつが写真の配列だ。こちらは、数字入力にShiftキーが必要だったり、左手の薬指、小指に位置する文字や「M」が変わった位置にあったりで、ブースでちょっとソフトを試させてもらうときにもなかなか苦戦を強いられる 展示会場内にはかなりの数のショップブースが出展している。いずれも大変な混雑ぶりで、結構な売り上げをあげていた様子。Mac本体を持ち帰りできるのは、Macworldと異なるところ 早速販売の始まったiBookのIndigoカラー。奥には、GraphiteのSpecial Editionも用意されている。販売店側としても、Key Limeの販売ができないことは残念なことだという
フランス取材を聞きつけた数人の知人から、シャンゼリゼ大通りで犬の落とし物をフンづけないようにと忠告を何通かもらった。確かにフランス人の犬好きはよく知られるところだが、なんと展示会場内でも発見。日本や米国では、盲導犬や介助犬など特殊なケースを除いて見ることのできない光景に、お国柄の違いを感じる 閉場間際になると、購入したMacを手に帰路につく来場者が目につく。ポツリポツリとではなく、結構な数がいることに逆にびっくりさせられるほど。あらかじめカートや台車を持参しているあたり、このexpoにあわせて購入計画をたてているユーザーも少なくないようだ。ちなみに来年の開催も決まっており、2001年9月26日から30日までの5日間にわたって、同会場で催される


□Apple Computerのホームページ
http://www.apple.com/
□Apple expo 2000のホームページ
http://www.apple.com/powermaccube/

(2000年9月18日)

[Reported by 矢作 晃(akira-y@st.rim.or.jp)]


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