会場:Paris Expo Porte de Versailles
展示会場には240を数える出展者がブースを構えた。日も長いせいか、展示会場の開場時間も10時から始まって19時までとかなり長めで、展示会自体の雰囲気も日本や米国とは少し違う。展示会場レポートの第2弾は、会場内でみかけたユニークな製品をいくつかと、ここフランスならではの展示会風景を写真を中心に紹介する。
■ Mac OS X日本語版の10月リリースを明言
展示会場レポートに入る前に、Mac OS Xのパブリックベータ版やiBookについて新しいニュースを入手できたので、先日の記事を補う意味で紹介しておく。これは基調講演の翌14日に、日本のプレス向けに行なわれたApple Computerのブリーフィングで明らかになったもの。各製品のプロダクト担当者よりひととおりの説明があった後、Q&A形式のセッションが行なわれた。なお同社側からの要望により、優秀な人材の引き抜きなどを防ぐためという理由で、各担当者の顔写真等の掲載はできないことをあらかじめお断りしておく。
Mac OS Xについては、Ken Bereskin氏より日本のユーザーがもっとも気にしている情報として、パブリックベータの日本語版の登場時期が明らかにされた。細かい日時こそ特定されないものの、10月中のリリースが明言されている。今回発表された英語、仏語、独語と同時に発表できなかった理由としては、やはりインストーラを中心とした日本語へのローカライズ作業に時間がかかることを挙げている。ただし、Mac OS X自体にはすでにOsakaやヒラギノなどの各フォントや、日本語入力用のことえりなどがすでに含まれており、制限付きながらも利用することができる。他に、現在のバージョンではAirPort (AirMac) への対応がなされていないが、これはもっとも高いプライオリティで準備を進めていることなどもコメントされた。また、Mas OS Xのパブリックベータ版を、Software Updateなどの機能を使って (ベータ版のビルドがあがるたびに) 更新できるかどうかという質問に対しては、将来の製品計画に関わることのひとつとして回答を得ることができなかった。
続いて新しいiBookについて。今年2月に東京で開催されたMacworldでも話を聞くことができたDave Russell氏より説明が行なわれた。新たにサポートされたAV Portについては、ステレオミニプラグを拡張した独自の規格であることが明らかになった。これはステレオミニプラグに映像出力のための信号を加えたもの。AV Portに従来のステレオミニプラグを指せば、単に音声のステレオ出力として機能するが、付属の専用ケーブルを利用することで映像の出力も可能になる。出力されるテレビモニタ側は、一般的な3本のピンプラグ形式となる。このテレビモニタへのミラーリング機能については特に教育市場からの要望が強く、今回の搭載に結びついたとのことだ。ただし日本市場においては、どちらかと言えばSpecial EditionでのDVD再生で大画面表示ができることなどがセールスポイントになると予想される。また、日米と欧州とで違うNTSCとPAL/SECAMの切り替えについては、iBookにインストールされるMac OSの言語によって自動的に適切なほうが選択されるという。また、コントロールバーを使って意識的に変更することもできるので、海外出張の際にプレゼンテーションなどで利用するときにも、地域を気にすることなく活用できるとのことだ。
■ 初見には新鮮なフランスの展示会光景
さて、展示会場へと目を移そう。先日お伝えした米Apple Computerのブースは展示会場内でも最大規模となるが、そのほかにも欧州、米国を中心とした企業が240社あまりも出展している。日本企業の欧州法人はもちろんだが、日本やアジア地域からの出展もわずかながら見ることができた。
さすがに、Apple expo 2000にあわせて発表される周辺機器やソフトウェアはほとんどないが、7月のMacworld以降、最近発表された製品はひととおり目にすることができる。いずれも初見となる来場者には、興味深いところだろう。さらにSONYのブースでは、日本でも発表されたばかりの小型デジタルカメラ「Cybershot P-1」も早速展示されていたりして (『スタミナ30時間』といった日本語のシールが貼られたままだったのはご愛敬だが……) 、Mac向けというくくりではあるが、新製品にいち早く触れることができる場としてのApple expoもあるようだ。
また、個人的には初めてのヨーロッパ取材とあって、展示会自体の雰囲気も日本や米国との違いを感じる。ドイツで開催されるCeBITなどもそうだが、会期自体が長くいずれも土日の両日を含んでいるのも、何かビジネス一辺倒ではない印象を受ける。新製品関連の話題が少ないこともあるが、ちょっと会場の風景を増やして、少しでもこの雰囲気を伝えることを心がけた。
(2000年9月18日)
[Reported by 矢作 晃(akira-y@st.rim.or.jp)]