幕張メッセ(新館ホール9~11号館)
任天堂株式会社は24日、25日から開催される同社のプライベートショウ「NINTENDO SPACE WORLD 2000」に先駆け、幕張メッセにおいて新製品発表会を開催。'99年の5月に発表された次世代ゲーム機「NINTENDO GAMECUBE(コードネーム:Dolphin)」の詳細な仕様とデモ画像がついに公開された。また、飛躍的に機能が向上し、1週間ほど前から画面写真がWEB上でも公開され期待が高まっていた携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス」に関しては実際に遊べるものを潤沢に展示。携帯電話を使ったネットワーク構想“モバイルシステムGB”のプレゼンテーションも同時に行なわれ関心を集めていた。
なお、「NINTENDO SPACE WORLD 2000」は25日から27日までの3日間、幕張メッセの9、10、11ホールを使って行なわれる。開催時間は9時から16時までで、入場は無料となっている。会場ではゲームボーイアドバンスで遊ぶことができるが、残念ながらNINTENDO GAMECUBEは展示されない。
■どんな夢を見せてくれるのか? 最強の“ゲームマシン”「NINTENDO GAMECUBE」登場
竹田玄洋氏が持つNINTENDO GAMECUBE。意外と小さくかわいらしいデザイン。カラーバリエーションも用意されるようだ |
発表会終了後に配られた資料には詳しいスペックが記載されていたが、発表会ではスペックにはほとんど触れず、デモを通してNINTENDO GAMECUBEの実力を証明して見せた。壇上に立った任天堂の竹田玄洋氏は「NINTENDO 64の反省点として、ゲーム開発を複雑化させすぎた。チューンナップすればすばらしいゲームは作れるが、そのことでゲームは重厚長大化し、ゲーム市場の崩壊を招きかねない状態となった。今回はピーク性能ではなく持続性能を重視し、常に安定した実力を出すために工夫している」とコメント。
また、マリオの生みの親で同社のゲーム開発を手がける宮本茂氏も「これまではCPUの最高値やいろいろなハードの性能をメーカーから聞かされ(機能を使いこなせると思い)何度もだまされてきた。今回初めて正直なハード屋さんに出会った」とNINTENDO GAMECUBEを表現した。また「我々(任天堂)は、ただハードを作っていればいいわけではない。開発環境やコンバータなどをそろえて、ゲームの開発者が開発しやすい環境を作っていけるようにする」と会場にも詰めかけたゲーム関係者にアピールした。
MPU | IBM PowerPC “Gecko” | |
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製造プロセス | 0.18μm銅配線技術 | |
クロック周波数 | 405MHz | |
CPU性能 | 925DMips(Dhrystone 2.1) | |
内部データ精度 | 32bit整数&64bit浮動小数点 | |
外部バスバンド幅 | 1.6GB/秒(ピーク) | |
内部バスキャッシュ | L1:命令32KB、データ32KB(8Way)、L2:256KB | |
システムLSI | “Flipper” | |
製造プロセス | 0.18μm NEC DRAM混載 | |
クロック周波数 | 202.5MHz | |
混載フレームバッファ | 約2MB(1T-SRAM) | |
混載テクスチャキャッシュ | 約1MB(1T-SRAM) | |
テクスチャReadバンド幅 | 12.8GB/秒(ピーク) | |
メインメモリバンド幅 | 3.2GB/秒(ピーク) | |
画像処理機能 | フォグ、サブピクセルアンチエイリアシング、HWライト×8、アルファブレンディング、バーチャルテクスチャ設計、マルチテクスチャリング/バンプ/環境マッピング、MIPMAP、True Bilinear Filterling、リアルタイムテクスチャ解凍(S3TC)など | |
サウンド | 16bit DSP(システムLSIに内蔵、102.25MHz、64ch 48kHz ADPCM) | |
システム浮動小数点演算性能 | 13GFLOPS(ピーク、MPU、Geometry Engine、HW Lighting総計) | |
実力表示性能 | 600万~1,200万ポリゴン/秒(実際のゲームを想定した複雑さのモデルおよびテクスチャ等での表示性能) | |
システムメインメモリ | 24MB 接続レイテンシ性能10ns以下(1T-SRAM) | |
Aメモリ | 16MB 100MHz DRAM | |
ディスクドライブ | CAV(回転角速度一定)方式 平均アクセスタイム128ms データ転送速度16M~25Mbps | |
メディア | 松下電器産業 光ディスクテクノロジー 直径8cmディスク 容量約1.5GB | |
入出力 | コントローラポート×4、デジカードスロット×2、アナログAV出力×1、デジタルAV出力×1、シリアルポート×1、ハイスピードポート×1 | |
使用電源 | 専用ACアダプタ DC12V×3.5A | |
本体サイズ | 150×161×110mm(幅×奥行き×高さ) |
持続性能重視の工夫として竹田氏は、1T-SRAM技術とCPUの大容量2次キャッシュメモリを挙げた。1T-SRAMはメインメモリやグラフィックスLSI用混載メモリに採用された遅延の少なくなる技術で、同社によればこれらの採用でボトルネックを取り除き、常に安定した性能を実現したとしている。
NINTENDO GAMECUBEの基板。これだけではないと思うが、非常にきれいだ。右側写真がCPUのアップ写真。型番が記載されている |
ゲームを収録するメディアはDVDを使用する旨がすでに発表されているが、本日の発表では松下電器が開発した“光ディスクテクノロジ”としており、CDシングルと同サイズの直径8cmのディスクを採用した。容量は約1.5GBで、松下が開発した著作権保護技術を採用。ドライブはCAV方式で平均アクセスタイム128ms、データ転送速度は16~25Mbpsとなっている。NINTENDO GAMECUBEを間近に見た感じでは8cmディスクしか入るスペースはないようで、12cmディスクは物理的に入らない仕組みのようだ。基本的にはこれまでのカートリッジからディスクに変わっただけという印象だ。竹田氏は「8cmというファッショナブルなサイズがゲームのデファクトスタンダードになるだろう」とコメントしたが、もっとも重視しているのはコピー防止などの理由と思われ、特別なシステムであることを考えればデファクトスタンダードになるとは少々考えにくいだろう。
ゲームの進行状況をセーブするメモリはプレイステーションのように専用メモリーカード「GAMECUBE DIGICARD」が用意される。4Mbitのフラッシュメモリを採用している。また、周辺機器として、64MBのSDメモリカードを読み書きできる「SD-DIGICARD ADAPTER」が用意されるという。これは「松下との包括提携により……」と前置きがあり、任天堂としてはそれほど重要視していないのではないだろうか? と考えるのは穿ちすぎだろうか。
ゲームを遊ぶ場合に重要なコントローラもいろいろと改良されている。NINTENDO 64で採用された3Dスティックだが、今回も継承されている。ただ位置は左手に近づき、滑りにくく親指で操作しても痛くないように変更されたという。ボタンは右側に大きなAボタンと、それを取り囲むように3つのボタンが設置されている。Aボタンが大きいのは「まずはAボタンを押すだけでゲームができるようなシンプルなものを目指した(宮本氏)」と言うことが理由のようだ。このほか、右上部にZトリガー、左右背面にL、Rボタンが配置されている。また、NINTENDO 64では右上に配置されていた黄色い4つのボタンに近い用途が想定されるキーが右下にスティック状で配置されている。「視点の移動などが考えられる」という宮本氏のコメントが用途を言い表わしている。このほか左下に十字キーが配置されている。
宮本氏は「一見して複雑に見えるが、大きなAボタンや押し間違いのない配置で、より洗練された」とコントローラの形状について語っている。また、NINTENDO 64では振動ユニットは周辺機器として提供され電池も必要であったが、今回は必要なくなっており重量も軽くなっていると言うことだ。
このほかに、ゲームボーイアドバンスを接続することも可能となっている。ちょうどDreamcastのような状態となり、「フットボールなど対戦相手に見せたくない情報を手元に表示することもできる(宮本氏)」と説明した。
任天堂は周辺機器としてRF方式のワイヤレスコントローラセット「WIRELESS CONTROLLER WAVEBIRD」の発売を予定している。通信距離は約10m。発表会の時点ですでに稼働モデルが完成していた(ただし、デザインはまだ完成していない)。「会場はノイズだらけ」との前置きがあったにもかかわらずデモでは何の問題もなく作動していた。
NINTENDO GAMECUBEのコントローラ。宮本氏曰く「NINTENDO 64より3Dスティックが持ちやすい居場所に変更されている」とのこと。コントローラの解説に時間を割くところが任天堂らしい | |
WIRELESS CONTROLLER WAVEBIRD | ゲームボーイアドバンスを接続することもできるようになるという |
BROADBAND ADAPTER | MODEM ADAPTER | このように底面にセットするようになっている |
□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□NINTENDO GAMECUBEのページ
http://www.nintendo.co.jp/n10/gamecube/index.html
□NINTENDO SPACE WORLD 2000のページ
http://www.nintendo.co.jp/n10/sw2000/index.html
□NINTENDO OF AMERICAのホームページ(英文)
http://www.nintendo.com/
□NINTENDO SPACE WORLD 2000のページ(NINTENDO OF AMERICA、英文)
http://www.nintendo.com/home/features/spaceworld2k/index.html
□関連記事
【'99年5月12日】松下電器と任天堂、次世代ゲーム機を主体とした家電戦略で提携
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990512/dolphin.htm
【'99年5月13日】任天堂が次世代コンシューマ機「DOLPHIN」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990513/e3_01.htm
(2000年8月24日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp / Photo by 若林直樹(STUDIO海童)]