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WonderWeek第2弾
WonderSwan用ロボットシステム「WonderBorg」
チューンナップでホビー魂を炸裂させろ! [ハード編]



 待ってたんだよねぇ、コイツが発売されるのを。'99年9月に開催された東京ゲームショウ '99秋のバンダイブースで突如公開されたのが、WonderSwan用ロボットシステムの「WonderBorg」だ。会場で展示されていたものは製品化されたものと比べて一回り小さく、デザインもデビッド・クローネンバーグの映画に出てきそうな生体メカっぽいものだった。それはそれでメチャメチャ引きが強かったのだが、その場にいらっしゃったバンダイの方のお話では「安全性の問題もあるし遊びやすいように一回り大きくなるだろう」とおっしゃっていた。

 で、あれから約一年、ついにというか待望の販売が始まった。そのメカメカしいスタイルと、プログラムで行動を自由自在に操るというのがウケたのか、インターネットでの1,000台限定先行予約もアッという間に完売。その後もセブンドリーム・ドットコムなど各方面で予約販売が開始されている。その最初の1,000台をゲットするために、なにを隠そう回線の太い会社に泊まり込んでまで予約したのはほかならぬオレだ。こいつは会社にはヒミツだ……とか言って原稿を書いている時点でバレバレ。で、そうまでしてゲットしたWonderBorgの初期ロットが遂に到着した。出社早々にビリビリと包装紙を開けるとパッケージにはレトロなグラフィックが。さらに裏面には「大阪万博に心躍らせた70年代の科学少年たちよ、ついにパーソナルロボットが買える日が来たのだ」とか書かれている。それってオレのこと? 大阪城近くの法円坂に生まれ博物館で“月の石”を見物し、大阪万博では太陽の塔の中に展示されていた恐竜に脅えていたオレは、今、このとき、WonderBorgを買うことは必然としてDNAに記録されていたというのかぁ!
 といった話はおいておいて、さらにパッケージを開けてみるとバラバラに分解された本体やプラワイヤー、パーツ類が登場した。WonderBorgは完成品というよりは自由にパーツ類を組み上げていくホビー製品だ。脚も取り替えることができるし、タイヤに付け替えタイムメカブトン (タイムボカンというアニメに登場するカブトムシ型メカ) のようにもできる。触覚も2種類用意されているし、もっとコアなところでは動力ユニットを分解し、ピニオンギアや歯車ユニットまで交換できてしまう。行動をプログラムするだけでなく、簡単ながら工作の楽しみも持ち合わせている点で、またまたホビー者の心をくすぐるって寸法だ。

 お値段は、12,000円。WonderSwanの本体価格が現在2,000円~3,000円に落ち着いているので、約4~6倍の周辺機器となる。これが高いかどうかだが、変なゲームソフトをつかまされるくらいならよっぽど楽しめるというものだ。組み立てる楽しさと、工夫してロボットの行動を作り上げる楽しみとがイイ具合に混ざり合い、ハーモニーを奏でている……というと言いすぎだが、こういったハンディゲーム機ならではの提案をしたバンダイはエライと思う。
 では、バラバラにしたり組み立てたりしながら各種パーツを順番に見ていくことにしよう。

パッケージ外観。昔のプラモデルのパッケージや少年誌の巻頭特集などで見かけたようなレトロタッチな絵がそそりますな パッケージ内容一式。細かいパーツがたくさん入っており、自分で組み立てなければならない。それがいいんですがね これが'99年9月に開催された「東京ゲームショウ '99秋」の会場で公開されたバージョン。一回り小さく基板や配線もむき出し状態だった



● わりとあっさりした本体ハードウェア

 一通り組み立て上げると市販のおもちゃと変わりないが、外側のカバーを取り去るといきなり電池ケースと基板がむき出しとなり、ホビー製品といった趣となる。基本的に上半分が基板で細かなチップ類やセンサー類で埋め尽くされている。カバーのカラーはエアクラフトグレー。現在予約受付中の商品は新色のシルバーとガンメタリックとなっているので少々違った雰囲気になるかもしれない。

 特に複雑な構造が必要とされないこともあってか、CPUは8ビットワンチップマイコンだけ、このため、基板の中で一番大きいのがスピーカーだ。WonderBorgは4種類の鳴き声を発することができるほか、“ドレミファソラシド”の指定した音で鳴くことも可能となっている。センサー類は頭部に集中しており、オシリには電源スイッチが付いている。背中の電池ボックスに単4型電池を3本セットし電源スイッチを入れれば、グリーンのLEDが点灯し待機状態に入る。電池ボックスの横に付いている細長いのがスタートストップスイッチだ。WonderSwanからプログラムを転送し、待機状態の時にこのスイッチを押すとプログラムを開始し、もう一度押すと終了する。プログラム実行中は前述の緑色のLEDが点滅し実行中であることを示してくれる。

 頭部には目と思しき部分に赤色のLEDがふたつ用意されている。もちろんなんのヒネリもなく目なのだが、プログラム実行時にセンサーに反応することで点滅する。この点滅に関しては、どのセンサーに反応して点滅するのかを4種類から選択し、WonderSwanのプログラムカセット「ロボットワークス」から変更することができる。

「WonderBorg」を組み立てたところ カバーを取り外すとイキナリ基板がむき出しとなる 基板の裏側。中央にデンと控えしはスピーカーで、左側がオシリのスイッチ


 オシリの電源スイッチの裏に3つのコネクタが用意されている。左右のふたつはそれぞれ左右の動力ユニット用の信号、電源の送信に使われている。中央のコネクタだが、現在は特に使われておらずオプションとなっている。今後、WonderBorg用の周辺機器 (センサー系) が発売されるたときに使用するものだそうだ。仕様さえわかっていれば自分で周辺機器を作ってしまうという手もある。どんどん広がるWnderLife……といった感じか? とりあえず人気のある商品なので、周辺機器の登場する確率も高い。バンダイさんにはぜひとも奇抜な周辺機器を発売して欲しい。

 なお初期ロット1,000台には電池ケースの横に「完全自律型昆虫ロボット」と金色で書かれたナンバープレートが取り付けられている。このデザインながんとなくそそるんだよなぁ、工業製品っぽくて。ちなみにWonderBorgの型番はWB01だ。で、認定番号だが、どうも予約順ではない様子。ナンバリングはランダムのようで、オレより後に予約した人の番号のほうが若い番号だった。ちょっと釈然とせんな。ま、仕方ないか。

 もう一つ、カバーに関してだが、若干塗りが甘い部分がある。エッジの部分や黒く若干透けている部分との境目などが特に甘い。分解をしないなど、これで完成している製品であるならば見えにくい部分は甘くても仕方ないかもしれないが、分解したりするたびに少々気になってしまう。まぁ、そんなのオタクしか気にしないことなのかもしれないが。オタクのユーザー多いだろうなぁ、この商品。今後より一般層も巻き込み大量に生産される段階でもうすこし気を遣ってもらいたい点である。

この刻印が雰囲気出してます。後6番で“1000番”! 1番がダメなら1000番は結構良いナンバリングだ。夢破れる 中央の丸い部分が透けている部分で一体成形となっていることがわかる。ただ、ボケていてわかりづらいがエッジの部分の塗りが甘い……イカンな 左右のコネクタはそれぞれ左右の足のユニットへ信号や電源を供給している。中央はオプションコネクタで、今後発売が予定されている別売ユニット用となっている



● センサーがたくさんくっついたハードウェア本体

WonderBorgの専用カートリッジ「ロボットワークス」のLED部分。ここからBorg本体の赤外線受光部に向けて信号を発射する

 さて、最も重要なのはセンサー類なので、ここで集中的に解説しよう! WonderBorgはセンサーによる信号を元にどういった行動をとるかというプログラムを作成することになる。ということで、まずセンサーありきなのだ。
 WonderBorgのセンサーは大きく分けて“赤外線センサー”、“触覚センサー”、“フロアセンサー”、“明るさセンサー”、“光フェロモンセンサー”、“体内時計センサー”を搭載している。

 まずは、頭部の目の部分のすぐ横に左右対になって設置されている「赤外線LED1」が赤外線センサーの役割を持っており、前方に何かあった場合ここで感知することになる。これはただ前方と言うことだけではなく、左右独立して見知されるため、「右前方に何かある」「左前方に何かある」といった判別も可能となっている。しかし信号は赤外線のため、黒っぽいものや透明なものに関しては反応しないこともあるという。このほか、前方にいる仲間に対して信号を送ることもできる。 (写真2)
 触覚センサーはセンサーと言うよりはスイッチで、触覚が接触し押し下げられた段階でON、OFFされる。こちらも左右両方付いているので、それぞれ独立して判別することができる。触覚はプラスチック製のものとプラワイヤー製のものが用意されている。プラワイヤーはパッケージに2種類同梱されていて太い方が触覚用、細い方が脚用となっている。プラワイヤーの場合、触覚が曲がる可能性もあるので調節が必要だろう。 (写真2)
 フロアセンサーは頭部下に用意されている「赤外線LED2」で察知する。基本的に床面が白いとON、床面が黒い、またはなくなるとOFFとなる。矢印の上をなぞって歩くプログラムを作成することもできそうだ。このフロアセンサーと赤外線センサーはロボットワークスでセンサー感度の調整が行なえる。 (写真1)

 明るさセンサーは文字通り本体中央上部に設置された光センサーで明るい暗いを感知することができる。ただしセンサーが明るいか暗いかわからなくなる時があるようなので、そんなときはロボットワークスで調節しなければならない。 (写真3)
 光フェロモンセンサーは仲間の判別を行なう。WonderBorgには仲間同士が放つ光フェロモンのほか、えさ、花などの光フェロモンがあり、それらを判別して驚かせたり、仲間として近づいたりできる。WonderBorg自身が光フェロモンを出したり受信したりするほか、ロボットワークスから発信することも可能。光フェロモンセンサーは頭部下にある赤外線受光部を使用している。ここはロボットワークスとプログラム通信などを行なう部分と兼用だ。この赤外線受光部の左右45度の間で検出できる。検出できる距離は約2m。逆に近くなりすぎると判別できなくなる場合もある。 (写真1)

 このほかにも何秒経過したなどを感知できる「体内時計」などのセンサーを持っている(10秒から10秒間隔で60秒まで)。

中央にあるのが赤外線受光部。その左右にふたつ対となって設置されているのが赤外線LED2。床面の色などの状態を探知する (写真1) ヒゲというか触覚のセンサー。ヒゲをセットするとき遊びの部分を作っておく。触覚が壁などに当たることで押し下げられスイッチが入る仕組み。ちなみに触覚センサーの真ん中にあるのが、周囲の明暗を察知する光センサー。右の写真のようにカバーを掛けても外に出ている
(写真2 [左]、写真3[右])



● 動力ユニットは分解OK!

 WonderBorgの足回りは動力ユニットとしてねじ止めされているが、分解して歯車を変えることができるなどホビー魂を燃え上がらせる内容となっている。

 動力ユニットに6本の脚を取り付けた場合、3点で支えることとなる。つまり、脚が上下交互に向くようにセットするわけだ。そうでなければバランスが悪くなる。ただし、一度セットしてから電源を投入すると“ピューポッ”という鳴き声と共に脚が若干動いてしまう。電源投入後今一度調整が必要だろう。また、脚だけでなく前述したように車も用意されており、取り替えることもできる。このタイヤがカップ上になっており、なんだか月面探査車両のような雰囲気だ。
 動力ユニットは真横にセットした状態から4段階に角度を変えることができる。角度を急にすると本体位置が高くなる。高くすればするほど障害物があったときに越えやすくなるが、もちろん不安定になるので転倒しやすくなる。逆に高さが低ければ安定感は増すが、障害物があっても乗り越えることは難しくなる。

6本の脚パーツを付けてみたところ。上下に交互に向くようにセットする タイヤパーツもある。火星探査や月面探査を行なう特殊車両を思い起こさせるタイヤだ。これはこれでカワイイ 脚の部分は4段階に高さを調節できる。高くすれば早くなるが、安定感は低くなる。低くすればその逆となる


 ところでこの動力ユニットだが、分解OKなのだ。というか、パッケージの中には2種類のギア (歯車ユニット、ピニオンギア) が2つづつ (左右動力ユニット用) 同梱されている。これは動力ユニット内部の2つの取り替えギア用なのだ。まず、本体と動力ユニットを繋いでいるコネクタを抜き、動力ユニットを取り外す。動力ユニットは2つのプラスねじで固定されている。これを分解するのだが、内部はギアを円滑にするための白いグリスでベタベタ。ピンセットかなんかで扱った方がいいかもしれない。
 用意されたギアはトルクタイプ。最初に取り付けられているのはスピードタイプというもので、スピードは速いが力は弱いタイプだ。取り替えようのトルクタイプに変更するとパワーアップするが、スピードは落ちる。なにをさせるかで選択し、取り替えるようにしたい。

動力ユニット部分は分解でき“歯車ユニット”と“ピニオンギア” (中央部が取り替えパーツ) を取り替えることができる。右側は中央のモーター部のアップ。モーターを高出力のものと取り替えることはできないようだ


 明日はプログラム関連の話題を解説していきます。お楽しみに。

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□WonderSwanのホームページ
http://www.swan.channel.or.jp/
□WonderBorgのホームページ
http://www.lalabit.com/borg/

(2000年8月10日)

[Text by funatsu@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp