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プロカメラマン山田久美夫の

リコー、「RDC-7」製品版レポート
〜骨のある個性派モデル〜


外観

 リコーから「Image Capturing Dvice」というコンセプトで開発されたニューモデル「RDC-7」が発売された。このモデルは、1/1.8インチ334万画素光学3倍ズーム機ながらも、薄さ26.6mmを実現した横型モデルだ。

 リコーといえば、デジタルカメラ創世記にはカシオと人気を二分する存在だった。なにしろ、「QV-10」の翌月'95年4月に発売された「DC-1」は、胸ポケットに楽々収まる金属ボディの本格派光学式3倍ズームながらも、2.5インチの回転式大型液晶モニター(外付け式)、レンズ前1cmまで接写機能、5秒間のサウンド付きの動画記録、サウンドメモ付きの静止画記録、通信による画像転送機能、外部電源パックによる長時間撮影機能、JPEG形式(J6i)によるメモリーカード記録(動画時はAIMSカード)といった機能を備えていた。

 「DC-1」は、5年前の製品ながらも、今日のデジタルカメラに求められる機能のほとんどすべてを搭載していた先進的なモデルとして、いまもファンが多いモデルだ。そして、今回発売された「RDC-7」は、久々にその系譜を受け継ぐ、意欲的なモデルとして大いに注目される存在だ。


●物欲を刺激する斬新なフォルム

 本機の最大の魅力は、どのカメラにも似ていない、独創的で斬新なスタイリングといえる。万人好みの一般的なスタイリングではないが、物欲をそそるタイプのモノで、一目見て「欲しい!」と思わせるだけの魅力を備えたモデルだ。

 この横型スタイルは、リコー独自のもので、「DC-1」、「DC-2L」、「DC-3」と受け継がれてきたが、その佇まいとしては、やはり初代の「DC-1」やその改良機である「DC-1S」に近い雰囲気を備えている。

かつての名機DC-1との比較

 特に、今回先行発売されたシルバー系のボディよりも、やや遅れて発売されるブラックボディのほうが、その感は強く、「男の道具」的な雰囲気をうまく醸し出している。  当時「DC-1」を取材用に愛用していた私としては、本機を初めて手にしたときには、外装にプラスチック部分が増えたこともあって、若干高級感が薄れたような印象をもった。それでも、今春の300万画素系モデルのなかでは、なかなか高級感がある。

ブラックボディ

一般撮影


●携帯性のいい薄型ボディ

 この横型スタイルは、レンズ光学系の全長を長く取れるため、画質面で有利だ。しかも、液晶モニターやメモリカードなども効率よく配置することができ、全体に薄型化が図れる点が特徴だ。

 横幅や奥行きはかなり大きく135.4×74mmと、昨日レポートした「C-990ZOOM」とほぼ同じレベル。だが、厚みはわずか26.6mmと、「IXY DIGITAL」よりも薄く仕上がっている。

 そのため、ワイシャツの胸ポケットなどに入れてもさほど出っ張ることがない点が好ましいが、「DC-1」の時代と違い、いまや胸ポケットは携帯電話に占領されている人が多いので、あまり現実的ではないかもしれない。

 それでもバッグの中に入れて持ち歩くときは、実質的な収納スペースがかなり小さく、気軽に携帯できるモデルであることに変わりなく、携帯性は良好だ。

一般撮影


●やや慣れを要する操作感

 ホールド感や操作感には独特のモノがある。ある意味で、本機には使うときの“作法”があるのだ。

 横型スタイルのため、手にしたときの雰囲気が普通のカメラとだいぶ異なり、慣れるまではとまどいを感じる。特に、シャッターボタンやズームレバーの位置が独特なのだが、カメラを右手で挟みこむようにホールドすると、自然に人差し指がシャッターボタンに届き、親指がズームレバーとモードダイアルに掛かるようにレイアウトされている。この作法を身につけるまでは、違和感があるだろう。

 また、本機には、縦位置撮影用のシャッターボタンが前面に設けられている。これを使うと、昔の8mmカメラのような持ち方で縦位置撮影ができるわけだ。ただ、シャッターがレンズのすぐ下にあるため、ややレンズに指が掛かりやすく、シャッターの感触も今1つなので、便利ではあるが、あまり使いやすい印象はなかった。

 操作部のレイアウトは、同社の「DC-2L」系のものを踏襲している。記録再生モード切り替えとメインスイッチは背面のダイアル操作、使用頻度の高いストロボモードや画質モードなどは専用ボタンがある。

 また、マクロやホワイトバランス、露出補正といった液晶ファインダーでの撮影がメインとなる機能は、モニターを開いたところに専用ボタンが配置されている。このあたりのレイアウトは、一見やや煩雑に感じるかもしれないが、使っていくに従って、その合理性が伝わってくる。

 ただ、ダイアルやボタンの操作感にはやや不満がある。特にダイアルのクリック感やボタンを押したときの感触があまりシャープではない。まあ、実用性ではなんら問題はないのだが、本機のように趣味性の高いモデルの場合は、このあたりの微妙な感触にまでこだわって欲しかった。

屋内


●やや癖のある使用感

 実際に使ってみると、なかなか軽快なのだが、使用感にはやや癖がある。

 まず、起動時間は3秒強と実用十分なレベル。撮影間隔は2,048×1,536ピクセルのノーマルモードで約2秒と、なかなか軽快。

 ただ、オートフォーカスの測距時間が、最新のライバル機に比べると、若干遅めなのは気になるところ。もちろん、実際はわずかな差なのだが、全体に撮影間隔が短くなっている分、このあたりの違いが軽快感を左右してしまうわけだ。

 液晶モニターは、2インチのTFTタイプ。サイズも大きい上、上下方向だけでなく、左右方向にも自由に回転させることができる点が大きな特徴だ。そのため、横位置撮影時はもちろん、縦位置撮影時にも、液晶を見やすい角度に調整することができる点は実に便利だ。また、表示レスポンスも十分に早い。

 ただ、液晶モニター自体の表示品質が、あまり優れないのは気になるところ。バックライトの明るさは、専用ボタンの操作で簡単に4段階に切り替えられるため、日中での視認性は悪くない。だが、他社の低温ポリシリコンTFTタイプに比べると、表示にクリアさがなく、ヌケの悪い印象を受ける。液晶モニターは、そのカメラの印象を大きく左右する部分だけに、この点は実に残念だ。

人物


●強烈なマクロ機能

 リコーの得意分野であるマクロ撮影は強烈。

 まず、本機の場合、他機種と違い、マクロモードに切り替えることなく、ズーム全域で24cmまでの接写ができる。そのため、他機種でマクロに切り替えなければ撮影できないようなシーンでも、そのまま撮影できるケースが多い。

 実際に、ズームの望遠側で24cmまで寄ることで、名刺が画面一杯に写るため、通常のシーンでは、わざわざマクロモードに切り替えて撮影する必要はないだろう。この点は、他機種との大きな違いだ。

 本機のマクロモードは、まさに強烈なクローズアップを撮影するために存在する、特殊なモードだ。

通常モード最短 通常モード最短(テレ側) マクロモード

 残念ながら、マクロはズーム全域ではなく、マクロボタンを押すと自動的に特定の焦点距離(ワイド側)に固定されるわけだが、レンズ前わずか1cmという接写能力は相当なモノ。レンズ位置をマクロ用に変更するため、マクロモードに切り替わるまでに、約2秒程度の時間が掛かる。復帰時も同様だ。またマクロモード時には、被写体との距離が近すぎるため、ストロボ調光精度が保てず、自動的にストロボはOFFになるので注意が必要だ。

 最接写時には一般的なPC用キーボードのキートップ1つが、画面一杯に写るほどのクローズアップになり、花の接写などでは花粉までもきちんと写るほど。もっとも、ピント精度を高めるため、AF動作はさらに遅くなるが、ピントはかなり正確だ。

 また、本機にはCCDをずらして2回撮影することにより、高解像度を得るPROモードがある。このモードは同じシーンを2回撮影するため、その間にずれが生じないように、日中でもきちんと三脚を使い、完全に静止したシーンで使う必要がある。そのため、その効果をフルに発揮できるシーンは限られるわけだ。実際に撮影してみると、それなりの効果は認められるが、三脚が必要なうえ、撮影後の処理時間も数十秒かかるため、かなり限られた条件で使うべきモードという印象だ。

マクロ


●切れ味のいい写り

動画(Motion JPEG AVI形式/1.44MB)
※うまく再生できないときはファイルをダウンロードしてQuickTime Playerから開いてください
 画質はなかなか良好。本機は、334万画素CCDを搭載しているわけだが、解像度は十分に高く、切れ味のいい画像が得られる。

 色調は、パッと見た目の派手さはなく、比較的落ち着いた印象だ。原色系CCDだが、青空などの発色は比較的おとなしい印象で、個人的にはもう少しクリアで抜けのいい画像を期待したいところだ。

 階調の再現域は標準的なレベルだが、本機は実効感度がISO150相当と、ライバル機の1.5倍近くあることを考えれば、なかなか立派なもの。また、感度が高いうえ、標準設定ではオートゲインアップが働くため、比較的暗いシーンをストロボなしで撮影しても、カメラブレが少ない点も好ましい。

 ただ、オートホワイトバランスは、リコーの歴代モデルの伝統か、ややクセがある。とくに、日陰での肌色の描写はもう少し改善して欲しいところだ。


●好き嫌いがハッキリ分かれる趣味性の高い個性派モデル

 ここに来て、各社から続々新製品が登場しているわけだが、そのなかでこの「RDC-7」は、とても個性が強く、趣味性の高いモデルだ。

 スタイリングも個性的で、操作性にも慣れを要する部分がある。また、本機を使いこなすために、それなりの作法も必要だ。だた、それを一度体得してしまえば、使い勝手のいい“自分の道具”として愛用することができるモデルだ。その意味で、近年のモデルとしては珍しい“骨のあるモデル”という印象だ。

 実際、このモデルは、個性が強く、こなれていない部分も多い。だが、欠点は少ないが強い個性が感じられない優等生的なモデルよりも、使いこなし甲斐があり、私自身は、むしろ愛着を感じる。 このような感覚は、個人差が大きく、誰でも共感できるものではない。とくに、デジタルカメラを写真を撮るための道具として割り切っているユーザーにとっては、むしろ不便なカメラと感じるだろう。そのため、多くの人に手放しでオススメできるモデルではないが、かなりポテンシャルの高いカメラだけに、それを使いこなす楽しみのあるカメラでもある。

 本機は、趣味性の高いモデルだけに、人によって、好き嫌いがハッキリと分かれるモデルだ。そのため、購入を検討している人は、できるだけ実機に触れて、自分と相性が合うかどうかをきちんと確かめ、納得して購入すべきモデルだろう。


□リコーのホームページ
http://www.ricoh.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.ricoh.co.jp/release/digicame/rdc7/index.html
□製品情報
http://www.ricoh.co.jp/dc/product/rdc7/
□関連記事
【6月15日】リコー、707万画素出力機能搭載の「RDC-7」などデジタルカメラ2機種
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000606/ricoh.htm

デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

(2000年6月16日)


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[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp