会期:5月11日~13日(現地時間)
会場:Los Angeles Convention Center
■Microsoftブースで2種類の新型ゲームコントローラが展示される
E3では、PC関連の展示はゲームソフトがそのほとんどを占めており、ハードウェア関連の展示は非常に少ない。そのような中で唯一会場のあちらこちらで見かけるハードウェア関連製品がゲームコントローラだ。
今年もいくつかのメーカーが新しいゲームコントローラを展示していたが、その中でも特に面白いと感じたものが、Microsoftブースの「SideWinder STRATEGIC COMMANDER」だ。これは、Age of Empiresなどのストラテジーゲーム用として開発された製品で、ゲームコントローラとしては珍しい左手用のコントローラとなっている。
ストラテジーゲームでは、ゲーム中のキャラクタに様々な指令を出したり、カメラの視点変更したりというように、かなり煩雑な操作が要求される。そのため、マウスだけでなくキーボードも多用しなければならない。そこで考えられたのがこのコントローラだ。このコントローラを利用すれば、キーボードを使わずにストラテジーゲームをプレイできるようになる。
形状はマウスを大きくしたような感じで、通常のゲームコントローラとはかなり異なっている。このコントローラ上部に左手をかぶせるように構えて利用する。コントローラ上部は上下左右にスライドさせることができ、そのスライド動作とカメラのズームコントロール用のボタンを利用してカメラコントロールが行なえる。また、コントローラ上に用意された6つのメインボタンと3つのファンクションボタン、コントローラ下部のプロファイル切り替えスイッチを利用することで、最大72個のコマンドを制御できる。もちろん、それぞれに機能を自由に割り当てることが可能だ。
Windows 98およびDirectX 7.0以降の環境で利用可能で、接続はUSB。発売時期は2000年10月、価格は59.95ドルが予定されている。
SideWinder STRATEGIC COMMANDER。マウスをかなり大きくしたような形状となっている | 左手をこのようにコントローラ上にかぶせるようにして利用する | ランプのついている6つのボタンがメインボタン。その左がカメラのズームコントロールで、さらに左にある3つのボタンがファンクションボタン。ファンクションボタンの下がプロファイル切り替え用のスライドスイッチだ |
また、同時に「SideWinder Game Voice」というコントローラも展示されていた。こちらは、ネットワークゲーム用のコントローラで、ネットワークゲームプレイ中のボイスチャットと、音声認識によるコマンド入力を可能にする。例えば、「change weapons」と発音して武器を変更できたり、「attack」と発音して攻撃したりできる。この音声認識機能は英語以外、もちろん日本語もサポート可能だそうだ。ボイスチャット機能は、本体に用意されているボタンを利用することで、チャット相手を個別、味方チームだけ、全員などと細かく指定することができる。
こちらもUSB接続のデバイスで、Windows 98以降のOS上で利用可能だ。発売時期は2000年10月、価格は49.95ドルが予定されている。
SideWinder Game Voice。本体とヘッドセットが同梱されている | 本体にはボイスチャット用のボタンが用意されており、チャット相手を特定できるようになっている |
■ハードウェアデバイスメーカーのブースが大幅に減少
例年E3ではハードウェアデバイスメーカーの出展はかなり少ないが、今年はさらに少なくなっている。ゲームコントローラなどを除けば、大手ハードウェアメーカーとしてメイン会場にブースを構えているのはCreative Labsのみだった。
そのCreative Labsも昨年よりかなり地味な展示だ。ブースでは同社のサウンドカード「SoundBlaster Live!」シリーズがサポートする3DサウンドAPI「EAX」の優位性をアピールするデモや、DVDビデオのサラウンド再生デモを行なったり、新型MP3プレーヤーを展示するなど、サウンド関連の展示が中心となっている。また、NVIDIAのビデオチップ「GeForce2 GTS」を搭載する最新ビデオカード「3D Blaster Annihilator 2」のポスターがブース内に掲げられているものの、製品は展示されていなかった。
これに対し、ビデオチップメーカーの3dfxとNVIDIAは、会場内にブースは構えていないものの、プライベートルームを用意し自社製品の説明を行なっていた。このうちNVIDIAでは最新チップ「GeForce2 GTS」の解説と、新機能を利用したデモを中心に説明が行なわれた。
説明の内容はこれまでに発表されていることとほとんど同じで、「Per-pixel shading」機能によってピクセル単位のライティングやシェーディングが可能となったことなどによる他社製品に対する優位性や、今後半年単位で2倍の性能を持つ製品を出荷していく、といったことなどが中心であった。また、X-BoxにNVIDIA製品の採用が決まったが、それによってPCへの取り組みが弱くなるということはないそうで、PCユーザーにとっては一安心といったところだろう。
ところで、昨年発売された「GeForce256」以降ハードウェアT&L機能が注目されているものの、ハードウェアT&L機能を使いこなしているソフトがほとんど存在していない点を指摘したところ、「まだハードウェアの普及が進んでおらず、ゲームメーカーもまだ移行するには早いと考えているからだ」という答えが返ってきた。ただ、ゲームデザイナーの中にはハードウェアT&L機能を積極的に利用したいと考えている人も少なくないようで、実際に今年の冬以降はある程度ソフトが揃ってくるようだ。
今後は他のビデオチップメーカーからもハードウェアT&L機能をサポートするビデオチップが供給されるため、ハードウェアT&L機能自体は定着していくと思われる。とはいっても、最終的にはソフトウェア側がその機能をどのように利用するのかということの方が重要であり、今年の冬に登場するハードウェアT&Lを積極的に利用したゲームソフトが、どの程度の完成度で登場するのか注目したい。
NVIDIA GeForce2 GTSを搭載する「3D Blaster Annihilator 2」。製品の展示はなくポスターの掲示のみ | NVIDIAはプライベートルームを用意し、自社製品のアピールを行なっていた |
□E3のホームページ(英文)
http://www.e3expo.com/
(2000年5月15日)
[Reported by 平澤寿康@ユービック・コンピューティング]