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米Intel、パトリック・P・ゲルシンガー氏プレスセッション
-スケジュールは予定通り、タイトなのは市場の活況が原因-

 米Intelの副社長兼ジェネラルマネージャ(Desktop Products Group)の パトリック・P・ゲルシンガー氏が来日し、プレスセッションを行なった。

 ゲルシンガー氏は先日開催されたIDFのサマリーに続き、記者団からの質疑応答を行なった。ここでは質疑応答の内容をプロセッサ関係を中心に、一問一答形式でレポートする。質疑は、いきなりスケジュールの遅れの問いからはじまり、未発表の新製品に関するものなども多く、「今日はきびしい質問が多いね」と苦笑する場面もあった。




○スケジュールは予定通り、タイトなのは市場の活況が原因

□この四半期に発表されるべきCeleronの新製品がおくれているようだが
■この四半期に予定されている新しいCeleronは、633/667/700MHzの3機種だが、予定通りにこの四半期中に発表される。これらの製品は四半期のはじめに登場するとレポートされていたため、四半期の終わりに発表となることで、遅れたとされてしまっているようだ。我々はこの四半期に発表するとのみ明らかにしており、当初の予定通りである。

□0.18μm版Celeronについては、技術的な問題はないのか
■技術的にもプロダクト的にも問題はない。予想より需要が高まったために市場で足りなくなっているだけだ。0.18μmルールの製品については、Q2で50%、Q3で75%を占めるようになるので、各プロダクツについても柔軟性を持って出荷できるだろう。

□FC-PGA版の製品を中心にデスクトップ、モバイルの両方でCPUの供給がタイトとされているが
■'99年は各調査会社などの予測を上回る出荷量があったことが最大の理由であり、Intelの生産ラインの問題ではない。とくに年末をすぎたQ1とQ2は季節変動で出荷量が下がるものだが、ほとんど下がらず堅調だ。

□現在の0.18μm版Celeronについてはオーバークロックの許容範囲が広く、600MHz用のものが900MHzで動作している例もあるが、これを制限するような処置はとらないのか
■過去にも、同様のことが起こった。Intelは不正なCPUの組み込みなどについては、CPUの種別を正しく表示するツールを提供するなどの対策をとっている。また、ユーザーが自分自身のシステムをオーバークロック動作をすることを禁止することはできないが、これは高速道路の制限速度を守らないような危険な行動であり、メーカーが保証する定格の範囲で使用してほしい。


○RDRAM/Willamette/X-Chip

□RDRAMへの移行はいつごろになるとみているか
■RDRAMに主流が移行するのは2001年末になるだろう。

□デスクトップPCについて、RDRAMではなく、DDR SDRAMという選択肢はないのか
■ない。理由は3つだ。1年後ではなく今現在必要な技術なのでタイミングが合わない。帯域が狭く性能が充分ではない。バス幅が大きくなるため、日本で人気がある省スペースの筐体におさめることが難しい。

□WillametteとItaniumを比較すると、Willametteの方がクロックが高くなってしまうが、製品構成上問題はないのか
■Willametteは、ローエンドサーバーまでのプロセッサであり、Itaniumはマルチプロセッサ構成で、ノンストップでデータマイニングのような重い処理を行なうサーバーなどを対象としている。両者はまったく異なった製品であり、クロックだけでは比較できない。

□デスクトップについてはWillametteが出るが、モバイルについてもWillametteが搭載されるのか
■Willametteは、発熱が大きいため、そのまますぐにモバイル用には使用できない。当面はモバイルはPentium IIIが中心になるが、やがてWillametteをベースにした製品がでてくるだろう。ただし、それは未来の話だ。

□810のような統合チップセットはモバイルにこそ向いていると思うが
■モバイル向けの統合チップセットについては有望視しているが、登場は来年以降となるだろう。

□X-Chipには、Intelが持つMCHに相当する機能が必要だが、Intelが提供するのか
■他社の製品に関することなので、詳細には触れないが、X-Boxについては積極的に協力しており、必要な技術は提供する。


○本当にオンスケジュールなのか?

 ゲルシンガー氏は、スケジュールの遅れについて、CPU、チップセットとも発表通りのスケジュールであると否定した。また、生産量についても歩留まりなどのIntel内部の問題ではなく、市況の活発さによる需要の増大が原因であるとしている。

 しかし、スケジュールについては、ゲルシンガー氏が挙げた製品以外にも、今年の夏モデルに搭載されるべきモバイル版のCoppermine系CPUは当初予定よりも数カ月遅れるとされており、OEMメーカーの製品計画に影響が出ているようだ。

 生産量については、市場の好調さは一つの要因ではあるが、すべてをそれに帰するのは無理がある。0.18μmへの移行時期についても、やや後退した発言であり、0.18μmへの移行は一筋縄ではいかないようだ。

 また、Coppermineコアを持っていることから、クロックアップに対する耐性が高いCoppermine-128Kについては、従来通り不正な製品が出回らないように配慮する一方で、強制的なベースクロックの固定などのハードウェア手段はとらず、ユーザーの自主的な判断に任せる方向と受け取れた。

□関連記事 Intel MPUロードマップ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/intel/roadmap.htm

(2000年4月25日)

[Reported by date@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp