コンピュータソフトの著作権保護を目的とした非営利団体Business Software Alliance(BSA)は都内で記者会見を開き、専門学校の運営や教材の作成を行なっている「東京リーガルマインド(LEC)」がソフトの不正コピーを行ない著作権を侵害したとして、米Apple Computer、米Adobe Systems、米Microsoftの3社が、損害賠償を求める民事訴訟を東京地裁に提出したと発表した。3社が提示した損害賠償額は約1億1,400万円で、被害額のほぼ倍にあたるという(弁護士費用含む)。
訴状によれば、LECは社内ソフト管理部門において組織的に不法コピーを行なうだけでなく、Adobe Systemsのソフトに関しては「Incongnito(ネット内のシリアルNo検索を停止させるソフト)」をインストールすることでネットワークプロテクトを解除していたという。コピーされたソフトは「Adobe PageMaker」をはじめ、「Photoshop」、「Microsoft Excel」、「Mac OS」など11製品が挙げられている。
今回の件は、'98年に内部情報提供者の告発により発覚。'99年5月にLECの高田馬場西校において東京地方裁判所の証拠保全手続きが行なわれた。ここでは219台あるパソコンのうち136台が検証され、不正コピー数は合計で545を記録したという(※1)。その後、和解交渉が行なわれ、LECは違法行為に関しては認めたものの損害賠償に関する話し合いはまとまらず、ソフト開発3社は今回の民事訴訟へと踏み切った。
発表会においてAdobe Systemsは「LECは司法試験の受験指導を行ない、自身の制作した教材に対する著作権侵害は訴訟を起こしているにも関わらず、それらの教材を制作するソフトは不正にコピーしている。遺憾と言うよりはあきれている」とコメント。担当弁護士の遠山友寛氏は「今回の損害賠償額は証拠保全手続きに基づいた金額で、裁判で実体が明らかにされていく過程で増える可能性もある」としている。また発表会に出席した社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の久保田裕専務理事は「訴状の内容によると、刑事事件として告訴されてもおかしくないほど悪質なものである」とコメントした。
大規模な企業内不正コピーに対するソフト会社の訴訟は、'99年12月のジャストシステムなど7社による環境調査などを行なう株式上場企業への提訴に続き2件目となる。
※1:Adobe Systemsのソフトのコピー数235に対して正規購入数は7本(コピー数228)。Microsoftのソフトのコピー数122に対して正規購入数は3本(コピー数119)。Apple Computerのソフトのコピー数206に対して正規購入数は8本(コピー数198)。545はこのコピー数の合計数となる。
□BSAのホームページ
(4月19日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.bsa.or.jp/
□Apple Computerのホームページ
http://www.apple.com/
□Microsoftのホームページ
http://www.microsoft.com/
□Adobeのホームページ
http://www.adobe.com/
□東京リーガルマインドのホームページ
http://www.lec-jp.com/
□関連記事
【'99年12月2日】ソフトメーカー7社が企業内不正コピーを行なった企業を提訴
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991202/accs.htm
(2000年4月19日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]