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「東京ゲームショウ2000春」レポート

マイクロソフト、“X-Boxパートナーミーティング”を開催
~コナミ、ナムコ、カプコン…有名メーカー揃い踏み~

会期:3月31日~4月2日(31日はビジネスデー)
   10:00~17:00
会場:幕張メッセ 1ホール~8ホール



 社団法人コンピュ-タエンタ-テインメントソフトウェア協会(CESA)が主催するゲーム関連の展示会「東京ゲームショウ2000春」が3月31日開幕した。春のゲームショウは秋のゲームショウに比べ商材が少なく盛り上がりに欠ける傾向がある。今回のゲームショウへの出展が注目された「X-Box(仮)」だが、事前に配付された資料どおり会場には出展されていない。だが、マイクロソフトはこの機会にあわせ、数多くのゲームソフトメーカーを会場近くのホテルに集め、大規模な「パートナーミーティング」を開催した。


■ 「久夛良木氏からは歓迎の言葉をいただいた」古川会長語る

 パートナーミーティングはまず、4月1日付でX-Box事業の格上げを発表。これまで準備室扱いだったが、専任部門として「X-Box事業部」を発足させその事業部長に常務取締役の大浦博久氏が就任する。大浦氏が定例通りの挨拶を終えたところで、古川享代表取締役会長が登場した。

 古川氏は開口一番「できれば一生マイクロソフトとはつきあいたくないと考えていた方も多いと思うが、今日のミーティングを経験することで、ぜひ今後ともおつきあいをお願いした」と牽制。また「日本ゲーム大賞の授賞式でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久夛良木氏とお会いした。そのとき『マイクロソフトのコンシューマゲーム機への参入を歓迎します』というお言葉をいただき、さらに『ようやく本気になりましたね』ともおっしゃっていた。これは『SCEも本気にならなくちゃ』と久夛良木氏を思わせたのだと思う」とライバル企業との火花を散らした。

 X-Boxのデモンストレーションに関しては、まず最初にビル・ゲイツ氏のGDC2000での講演を引用し各種機能をざっと紹介。内容的には3月10日に記者発表された内容と同じで新味はない。

ミーティングを行なったメンバー。右端がマイクロソフトの古川享氏、その隣がNVIDIAのジェン・サン・ハン氏。ひとりおいてX-Box事業部の大浦博久氏 古川氏はX-Boxシャツを着てデモを解説


 だが、講演の半ばにさしかかったあたりでX-Boxに採用されたビデオチップメーカーのNVIDIAでプレジデント兼CEOを務めるジェン・サン・ハン氏が登場。X-Boxに搭載されるNV15を元にしたカスタムチップについてのプレゼンを行なった。ハン氏はGeForce2ですでにプレイステーション2の7倍であるとコメントし、X-Boxはその10倍近い性能を有することを強調した。ここで、実機によるデモが行なわれ、10日に行なわれたものが再度繰り返された。ここでは「テクスチャに使われるメモリが大きいことが重要である」としたうえで、“ガーデン”と題されたデモを行なった。広い庭に数多くの蝶が飛び交うデモだが、この庭の中に咲いている花一輪に4MBのテクスチャが使われているという。最後に、X-Boxの機能をシミュレートし作成されたムービーとしてロボットと人が同じアクションを行なうムービーが流され、「ここから始まるのです」と古川会長が締めくくった。

 最後に再度壇上に立った大浦氏は「X-Boxはマイクロソフトにとって一番重要なビジネスであり、Windowsにかけたリソース以上の規模で成功を目指していく。ただ、X-Boxの成功の方程式には現在一つだけ欠けているものがある。それは皆様方の協力です。ぜひ、よろしくお願いいたしたい」とゲームメーカーに対して協力を呼びかけた。

NV15の圧倒的性能を解説したジェンスン・フアン氏 NVIDIAのビデオチップの進化を図表化 ライバル? プレイステーション2との比較

ピンポン玉を落とし、それに影響された他のピンポンが飛び跳ねるデモ 多くの蝶が飛び交う“ガーデン”


■ 「ビデオではNV15のスペックは必要ないのでは?」

 この後行なわれたQ&Aでいくつか興味深い質問が飛び出した。1つは「ビデオに出力するゲーム機において、NV15ほどのハイスペックは必要ないのでは?」というもの。これに関しては「今後登場が予定されている高精細なデジタルビデオに対応できる」とし、「現在、CMなどで流れているジャギーのないCGをリアルタイムで作成できるためには必要。これはオーバースペックではなく、余裕のある機能ということ」だという。
 また、通信機能に関しインフラの整備はマイクロソフトが行なうのかとういう質問が出た。これに関して大浦氏は「我々もやるが、マイクロソフトだけでやるつもりはない」とコメントし、「発売時期の来年の秋口にはいろいろと整備が整っているだろう」とした。

 古川会長はプレイステーション2との関係を聞かれ「100のパイをみんなで取り合ってもおもしろくはない。プラットフォームのすそ野が広がり、ユーザーの選択の幅が大きくなり、業界が発展すればいい。ユーザーがどれか1台を選ぶのか、それとも両方選ぶのかはわからないが、それは市場が決めることだ」と語った。

 また、「X-Boxはゲーム機なのか、マルチメディア端末なのか?」との質問には「当面はゲーム専用機としてやっていく」と宣言。「我々はX-Boxの可能性をとらえきっていない」とし、まずはゲーム専用機として家庭に浸透させるところから始めるつもりのようだ。

■ 懇親会にはゲームメーカーがずらりとそろう

大きな“X”の文字をバックに、懇親会で挨拶をする古川会長
 パートナーミーティングが終了した後、隣接したホールにおいて懇親会が行なわれた。会場にはコナミの上月会長をはじめ、コーエーの会長、社長、エニックス、カプコン、ナムコ、アトラス、チュンソフトなどそうそうたるメンバーがそろった。懇親会は、古川会長の挨拶の後、こういった席では珍しく主要メーカーによる鏡開きでスタート。鏡開きにはインテル株式会社のジョン・アントン社長も駆けつけた。会場にはデモ機も設置され、ゲーム開発者の興味を集めていた。


(左から)古川会長、コナミの上月氏、マイクロソフトの大浦氏、ジェン・サン・ハン氏、そしてインテルのジョン・アントン氏 乾杯の音頭をとったコナミの上月氏 会場にはゲームメーカーのトップが勢揃い。左からエニックスの福嶋社長、コナミの上月氏、古川会長

□CESAのホームページ
http://www.cesa.or.jp/
□東京ゲームショウ2000春のホームページ
http://www.cesa.or.jp/cesa/tgs/index.html
□関連記事
【3月31日】東京ゲームショウ2000春開幕、プレイステーション2の新作多数
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000331/game01.htm

(2000年3月31日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp]


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