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ようやく登場したRAGE FURY PROの性能は?



RAGE 128 PRO GLを搭載したRAGE FURY PRO

 ATI TechnologiesのRAGE FURY PROは、RAGE MAGUNM/RAGE FURYの後継となるビデオカードだ。RAGE FURY PROが採用しているビデオチップRAGE 128 PRO GLは、RAGE 128 GLの高クロック版であり、基本的なアーキテクチャは変わっていない。性能面では不利な印象が否めないが、最新ビデオカードにどこまで対抗できるか興味のあるところだ。


■RAGE 128 PRO GLとは?

 RAGE 128 PROは、その名称からもわかるように、RAGE 128のマイナーバージョンアップ的な存在のチップである。最近のビデオチップは、CPUと同じように同じアーキテクチャに基づいていても、動作クロックが異なる複数の製品が提供されることが増えてきている。代表的な例としては、G400とG400 MAX、TNT2とTNT2 Ultra、Savage4 PROとSavage PRO+が挙げられる。RAGE 128とRAGE 128 PROの関係もそれらと同じだ。

 RAGE 128 PROの3D描画能力はRAGE 128の約1.5倍に達する。基本的なアーキテクチャは変わっていないが、RAGE 128は、AGP 2Xモードにしか対応していなかったのに対し、RAGE 128 PROでは、AGP 4Xモードにも対応するなど、細かい改良が施されている。RAGE 128 PROには、ローエンド向けのRAGE 128 PRO VRとミッドレンジ以上をカバーするRAGE 128 PRO GLがある。


■RAGE FURY MAXXに遅れてやっと登場したRAGE FURY PRO

 実はRAGE FURY PROは、RAGE 128 PRO GLを搭載する最初の製品というわけではない。順序が前後するようだが、RAGE FURY PROより先に、RAGE 128 PRO GLを2個搭載した上位製品であるRAGE FURY MAXXというビデオカードが市場に登場している。RAGE FURY MAXXについては、本連載でも「ATI Technologies RAGE FURY MAXX~ Dual RAGE 128 PRO?搭載のATIの最新ビデオカード ~」ですでに取り上げているので、そちらを御覧いただきたい。

 RAGE FURY MAXXでは、2つのRAGE 128 PRO GLチップにそれぞれファン付きのヒートシンクが装着されていたが、RAGE FURY PROではヒートシンクのみとなっている。

 RAGE FURY PROでは、ビデオメモリとして、SEC製のSDRAM(KM432S2030CT-G7:64Mbitチップ)が4個実装されている(合計32MB)。デフォルトのメモリクロックは155MHz、コアクロックは136.6MHzで動作している。また、通常のアナログRGB出力端子だけでなく、S-Video出力端子とコンポジット入出力端子を備えていることも特徴だ。ビデオエンコーダ/デコーダチップとしては、ATI製のRage Theaterが採用されている。キャプチャ性能も高く、640×480ドットフルモーション(30フレーム/秒)の動画取り込みが可能とのことだが、実際に試してみると付属のキャプチャプログラムが起動時にエラーを出して動作しなかった。現時点で提供されているドライバでは、日本語環境ではうまくビデオキャプチャ機能が働かないようだ。

左から、コンポジット(ビデオ)入力端子、コンポジット出力端子、S-Video出力端子、アナログRGB出力端子 ATI製のビデオエンコーダ/デコーダチップRage Theaterを搭載


■Millennium G400クラスのパフォーマンスを持つ

 それでは、早速その性能を検証してみることにしたい。ビデオドライバは、製品に付属しているものではなく、ATI Technologiesのホームページから入手できる最新バージョン(4.11.6263)を利用した。なお、テスト環境は以下の通りである。

【テスト環境】
CPU:Pentium III 700MHz
マザーボード:ABIT BE6
メモリ:128MB SDRAM(PC100 CL=2)
ハードディスク:Western Digital Caviar AC14300
OS:Windows 98 Second Edition

(1)2D描画性能

 2D描画性能の測定にはいつもと同様に、Ziff-Davis,Inc.のWinBench 99 Version 1.1に含まれるBusiness Graphics WinMark 99とHigh-End Graphics WinMark 99を利用した。結果は、下のグラフにまとめたおりである。2D描画性能は、最新ビデオチップであるNVIDIAのGeForce 256搭載カードなどと比べてもそれほど見劣りしない。従来のRAGE 128 GLを搭載しているRAGE MAGNUMと比べると、最大36%ほど性能が向上していることがわかる。また、アーキテクチャ的にはRAGE 128シリーズよりも新しい製品であるSavage2000(Viper II)よりも高いパフォーマンスを実現している。2D描画性能に関しては、特に不満はないレベルである。

【WinBench 99 Version 1.1】
1024x768 16bpp1024x768 32bpp
Business Graphics WinMark 99High-End Graphics WinMark 99Business Graphics WinMark 99High-End Graphics WinMark 99
RAGE FURY PRO291819287795
RAGE FURY MAXX292829276812
RAGE MAGNUM249785211755
Viper II262580235659
3DBlaster GeForce Pro295838293830
3DBlaster GeForce294835285827
SPECTRA 5400 PE294835286824
Millennium G400296848287831

(2)DirectX 7対応ベンチマークプログラムによるDirect3D描画性能

 次に、最新のDirectX 7環境に対応しているベンチマークプログラムを用いて、Direct3D描画性能を測定してみた。ベンチマークプログラムとしては、MadOnion.Comの3DMark2000およびZiff-Davis,Inc.の3D WinBench 2000を用いた。

 まずは、3DMark2000の結果だが、さすがにGeForce 256搭載カードやTNT2 Ultra搭載カードには及ばなかったものの、Viper IIとほぼ同等のパフォーマンスは持っているようだ。RAGE MAGNUMに比べると、最大で約71%も性能が向上している。特に、高解像度・多色環境になるほど、性能向上割合が大きいようだ。

【3DMark2000/3DMark】
1,024×768 16bpp1,024×768 32bpp1,280×1,024 16bpp1,280×1,024 32bpp
RAGE FURY PRO2,2461,8181,4731,122
RAGE FURY MAXX3,5113,1312,5992,190
RAGE MAGNUM1,4321,104 895 654
Viper II2,2101,8861,4271,136
3DBlaster GeForce Pro4,5393,4813,2472,188
3DBlaster GeForce3,9182,6512,7231,619
SPECTRA 5400 PE3,2562,4202,2261,389
Millennium G4002,7182,2871,8641,369

 3D WinBench 2000の結果も、3DMark2000の結果と似た傾向を示しているが、こちらはViper IIの値がかなり高くなっている。その代わり、Millennium G400との性能差は小さくなっている。特に32bitカラーモードでは、Millennium G400をわずかに上回る値を出している。

【3D WinBench 2000/3D WinMark 2000】
1,024×768 16bpp1,024×768 32bpp1,280×1,024 16bpp1,280×1,024 32bpp
RAGE FURY PRO36.533.523.020.7
RAGE FURY MAXX60.351.142.234.2
RAGE MAGNUM26.419.417.911.6
Viper II61.350.141.430.8
3DBlaster GeForce Pro92.370.763.142.5
3DBlaster GeForce78.952.352.531.0
SPECTRA 5400 PE59.741.538.923.5
Millennium G40046.433.231.120.0

 アーキテクチャの設計が古いため、ハードウェアレベルでサポートされていない機能もあるが、どちらのベンチマークプログラムでもほぼ問題なく描画されていた。通常の用途なら、それほど不満のない3D描画性能を持っているといえるだろう。

(3)DirectX 6.1対応3Dゲームにおける3D描画性能

 DirectX 7が登場したとはいえ、現時点で販売されているDircetX対応ゲームは、まだDirectX 6.1ベースのものが多い。そこで、DirectX 6.1対応ゲームである「Turok 2:Seeds of Evil」を利用して、3Dゲームにおける描画性能を計測してみた。

【Turok 2】
1,024×768 16bpp1,024×768 32bpp1,280×1,024 16bpp1,280×1,024 32bpp
RAGE FURY PRO73.865.749.940.6
RAGE FURY MAXX80.080.074.362.5
RAGE MAGNUM55.441.833.422.0
Viper II 正常動作せず正常動作せず正常動作せず正常動作せず
3DBlaster GeForce Pro80.378.977.560.1
3DBlaster GeForce79.170.073.341.9
SPECTRA 5400 PE78.465.164.737.0
Millennium G40072.768.658.943.9

 結果を見ればわかるように、そこそこ悪くない性能だ。特に、1,024×768ドットモードでは、TNT2 Ultra搭載カードやMillennium G400と比べても遜色ない結果となっている。1,280×1,024ドット16bitカラーモードではやや値は見劣りするものの、1,024×768ドット32bitカラーモードではTNT2 Ultra搭載カードのSPECTRA 5400 PEを上回る値を出している。1,280×1,024ドットモードでも、十分快適にプレイできる性能だといえる。

(4)OpenGL対応3Dゲームにおける3D描画性能

 最後に、OpenGL対応3DゲームソフトであるQuake III Arenaのデモ版「Quake III Arena Demo 1.09」を利用して、OpenGL環境での3D描画性能を測定してみた。

【Quake III Arena 】
1,024×768 16bpp1,024×768 32bpp1,280×1,024 16bpp1,280×1,024 32bpp
RAGE FURY PRO32.727.520.917.1
RAGE FURY MAXX59.852.340.433.2
RAGE MAGNUM23.717.814.9 9.7
Viper II56.448.535.928.6
3DBlaster GeForce Pro82.960.752.532.6
3DBlaster GeForce70.140.938.723.0
SPECTRA 5400 PE46.634.228.919.4
Millennium G40039.732.924.918.8

 こちらは、残念ながらRAGE MAGNUMを除く全てのビデオカードよりも下回る結果となったが、それでもMillennium G400に近い性能は出ている。しかし、Quake III Arenaのような重い3Dゲームソフトを高解像度・多色環境で快適にプレイするには不満は残る。


■やはり時期を逸した感は否めない

 実売2万円を切る価格で登場したRAGE FURY PROだが、果たして買いの製品なのだろうか? 筆者が当初予想していたよりは高いパフォーマンスを持っているようだが、それでもやはり登場が遅かったという印象を拭うことはできない。DVD再生支援機能が充実しているなどの利点もあるが、2万円出せるのであれば、TNT2搭載カードはもちろん、安いGeForce 256搭載カードを購入することもできる。ビデオキャプチャ機能が正しく動作すれば、評価も変わるだろうが、残念ながら今回の製品ではうまく動作しなかった。もちろん、ドライバが更新されれば、ビデオキャプチャ機能を利用できるようになる可能性も高いが、現状であえてRAGE FURY PROを選ぶ必要性は感じられない。

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【2月26日号】ようやくRAGE FURY PROがバルクで登場
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20000226/etc.html#ragefurypro

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(2000年3月2日)

[Text by 石井英男@ユービック・コンピューティング]


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