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MACWORLD Expo/San Francisco 2000
展示会場レポート第一弾! Apple Computerブースの全貌
最大規模のシアターコーナーで、Mac OS Xをプレビュー

会期:1月4~8日(現地時間)

会場:San Francisco Moscone Convention Center


 既報のとおり、正式にApple ComputerのCEO(経営最高責任者)に就任したスティーブ・ジョブズ氏の基調講演では、新しいハードウェアのお披露目はなされなかった。講演のなかで多くの時間が割かれたインターネットのポータルサイトを目指す同社のインターネット戦略と次期OSであるMac OS Xが、同社ブースではどのように位置付けられているのか。展示会場レポートの第一弾は、Apple Computerブースの出展内容を紹介する。


■隠されていた垂れ幕の正体は、AQUAの『X』

コンベンションセンターのエントランスに用意されていたふたつの垂れ幕が『X』へと変わった。今回のMACWORLDだけでなく、2000年をとおしての重要なテーマでもある 南ホールを入って正面のApple Computerブースにも『X』の大きな幕。その奥に用意されたシアターコーナーはこれまで最大の規模だが、立ち見であふれんばかりの盛況が続く
 たくし上げられていた垂れ幕が明かされると、そこには半透明なブルーの『X』が現れた。展示会場内のApple Computerブースはもちろん、コンベンションセンターのエントランスに用意されていたふたつの垂れ幕もすべて同一の内容。新しいハードウェアの発表を期待していたユーザーには拍子抜けだったかも知れないが(買う気満々でのぞんだワタシも肩すかしを食ったが)、昨年から何度となく語られているように、2000年におけるApple Computerの最大のテーマは、次期OSの市場投入と現行OSからのスムーズな移行であることは間違いない。そうした点からみれば、この年頭に『X』の存在を大きくアピールしておくことは重要で、ほかのリリースに注目を分散させないという考えも働いているのだろう。

 Mac OS Xのロードマップによれば、春には最終β版をリリース、夏に製品版を出荷し、2001年の1月にはすべてのMacにMac OS Xがプリインストールされて出荷されることになるという。これまでは、従来のMac OSとMac OS Xがしばらく共存するような見方や、コンシューマ向けとプロ向けに住み分けるという考え方もあったが、基調講演での「シングルOS」というジョブズ氏のコメントとこのスケジュールを見る限り、移行はかなり性急に進められそうな気配である。ちなみにスケジュールを言い換えると、最終β版がリリースされる春は、「WWDC(WorldWide Developers Conference):会期 5/13~5/17」、製品版の出荷が始まる夏には「MACWORLD Expo/New York 2000:会期 7/18~7/21」、すべての製品へのプリインストールが完了する2001年の1月は「MACWORLD Expo/San Francisco:会期未定」がそれぞれ開催される予定で、いずれもMac OS Xを大きくフィーチャーした内容になるものと予測される。


■メイン展示はシアターコーナーでのMac OS Xプレビュー

 いつもは製品中心の展示となるためブースの隅に設置されることが多いシアター形式でのデモンストレーションステージだが、今回はブースの中央に過去最大規模のコーナーが設置された。ここでは、Mac OS Xのプレビューのほか、iMac DVとiMovieのソリューション、そしてapple.comのポータルサービスの3つが、絶え間なくデモンストレーションされている。なかでも人気はMac OS Xで、多いときにはほかの展示エリアにまではみ出して立ち見の来場者がでるほど。初めて公開されたMac OS Xのユーザーインターフェイス「AQUA」がプレゼンテーションされる度に、驚きの声や歓声があがっていた。残念ながら、来場者が実際に操作できるMac OS Xがインストールされたマシンは展示されていないため、このステージが唯一の情報源となる。
 また今日からスタートしたポータルサービスだが、ブース内のマシンを利用して、早速ユーザー登録を行なう来場者を多数見ることができた。基調講演でジョブズ氏が「ゴールド・ラッシュ」とたとえたように、『○○○@Mac.com』のメールアドレスは早い者勝ちになるため、いち早く希望のアドレスをゲットしようという思惑である。残念ながら、このポータルサービスを利用できるのは米国あるいはカナダ在住で、Mac OS 9の所有者に限られる。日本における同等のサービスの提供は日本法人であるアップルコンピュータのアナウンス待ちということになる。

シアターで紹介されるMac OS Xのユーザーインターフェイス「AQUA」。iMac以来、透過しているデザインはお馴染みだが、OSにまで採用されることになるとは…… ファイルをセーブする時のダイアログボックス。ダイアログボックスが透過して、背後に位置する画像がうっすらと見えている OPENSTEPのファイルブラウザから進化したFinder。従来のMac OSライクなファイル表示に加えて、ウェブブラウザライクな操作やファイルのプレビュー機能などを統合
いわゆるデスクトップの中心的な存在となるDock。アプリケーションやファイルが格納される。利用時のポップアップ(と言っていいものかどうか)は、Mac OS Xのグラフィックパフォーマンスを象徴するもののひとつ Bomb.app(意図的にクラッシュするアプリケーション)を使った、完全なマルチタスク環境のデモ。「ミッションインポシブル2」のムービーを再生しながら、Bomb.appをクラッシュさせても、ムービーの再生に影響を与えない



■キラーアプリとなりうるiMovieへブースあげての注力も

 Mac OS X以外で、最も力が入った展示となっているのはiMac DV。こうしたイベントでは初の展示となるが、CANON製のDVカメラをiMac DV一台につき一個ずつ設置して、iMovieのソリューションをデモンストレーションした。それに合わせて、ブース内に掲示されているThink differentのポスターが、チャーリー・チャップリン、フランシス・コッポラなど映画監督で統一されていたのも印象的で、ジョブズ氏がキラーアプリケーションと位置付けるiMovieへの注力がうかがえる。この展示コンセプトが2月に幕張で開催されるMACWORLDでも継承されるなら、やはり「黒澤明」の登場となるのだろうか(小津安二郎も捨てがたい……?!)。

 ほかには、おなじみとなった円形の展示エリアにPowerMac G4、iBook、PowerBook G3、QuickTimeの4つの製品別コーナーが用意されていた。ここでは、USBやFireWire対応の周辺機器など、サードパーティ製品にいくつか新しいものを見ることができる。これらは、ほかの周辺機器とともに第二弾のレポートでお伝えすることにする。

ずらりと並んだiMac DVには、すべてDVカメラが接続されている。来場者は思い思いにiMovieを体験できるが、なかには早速ポータルサービスへの登録を試みる来場者も 米国では2月から79ドルで出荷がはじまる「AppleWorks 6」。プレゼンテーションをはじめ、100以上の新しい機能が追加されているとのこと。日本での現行製品はいまだに「クラリスワークス4.0」なので、早急なローカライズが望まれるところだ PowerMac G4の展示コーナー。米国で12月から出荷がはじまったChinema Display をはじめ、FireWire対応機器などハイエンドの製品のデモが行なわれている
iBookの展示コーナーでは、USB対応機器などのデモンストレーションが中心。AirPortについては、別に専用の展示コーナーが設けてある 今回モデルチェンジが噂されたPowerBook G3も健在。プロ向けということで、CardBus対応のFireWireカードなどと組み合わせたソリューションなどをデモ QuickTimeは、Apple Computerのインターネット戦略を支える重要な技術。インバージョンのQuickTime 4.1をはじめとしたデモを展開


MACWORLD Expo/San Francisco 2000ホームページ
http://www.macworldexpo.com/mwsf2000/
Apple Computerのホームページ
http://www.apple.com/
Apple ComputerによるMACWORLD Expo/San Francisco 2000情報
http://www.apple.com/hotnews/
スティーブ・ジョブズ氏による基調講演のQuickTime中継ページ
http://www.apple.com/quicktime/showcase/live/mwsf00/
□関連記事
【1月6日】スティーブ・ジョブズ CEO基調講演レポート
「正式CEO」になったジョブズ氏が「Mac OS X」で未来を先取り!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000106/macw_03.htm

(2000年1月6日)

[Reported by 矢作 晃]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp