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MACWORLD Expo/San Francisco 2000 前日レポート
Expo開幕を祝うイベント「Warm Up Rally」
ミレニアムムードの中、MACWORLDがいよいよ開幕

会期:1月4~8日(現地時間)
会場:San Francisco Moscone Convention Center


 2000年カウントダウンのミレニアムムードがまだ覚めやらぬ中、Macintosh最大の展示会「MACWORLD Expo/San Francisco 2000」が5日に開幕を迎える。
 4日には、David Pogue氏、Bob “Dr. Macintosh” Levitus氏、AndyIhnatko氏などのMacエキスパートらが、今回の展示会やワークショップ、セミナーなどの見所を紹介しながら、Expo開幕を祝うイベント「Warm Up Rally」が行なわれた。開幕前日にもかかわらず、数百人が収容できる会場に観客が詰め掛け、会場の後ろや両サイドには立ち見客があふれる熱気ぶりとなった。


■David Pogue氏:「Appleの死」を予言した人々は今どこに?

David Pogue氏
 雑誌「Macworld」のコラムニスト、David Pogue氏は「'76年の創設以来から2000年まで、Appleは様々な危機に直面し、そのたびに会社は崩壊の危機にさらされたが、それをつなぎ合わせる役目を果たしたのはCEOだった。とくにジョブズ氏のここ2年間の健闘ぶりは素晴らしかった」と語った。それと同時に、Appleが最大の危機に瀕した'96~'97年、大手メディアの記者、有名評論家、アナリストなどはこぞって「Appleの死」を書きたてたとし、これらの記事を読み上げ、皮肉った。

 同氏は「'96年2月2日付けのTIME誌では、『Appleに未来はない』と断言している。未来がないのは、この著者の方だろう! この著者は、ベンチャーキャピタリストとして有名だ。みなさん、ベンチャーキャピタリストの役目とは何か知ってる? それは、ハイテク企業の未来を予測することだ」と語った。


 また、'96年1月1日付けのNew York Times紙には、インターネット市場調査会社のForrester Researchのアナリストの引用「Appleは、ひどく打ちのめされた古典的で悲愴な例だと言える」、'96年2月2日付けのFortune誌では「長期的な投資を考える人は、Apple株は避けたほうがいいだろう」と書かれていた。同氏は「Apple株を避けた方がいいだって? そのときに株を買った人は、今では600%の成長率を楽しんでいる。長期的な目があるのはどちらだろう?」と皮肉った。

 さらに、「Appleを救う101の方法」という特集を行なった'97年6月号のWIRED誌では、101の方法の中でもトップアドバイスは「ハードウエアビジネスから撤退すること」というものだった。同氏は「しかし、実際にAppleを救ったのは、斬新なデザインで超ヒット製品となったiMacを始めとする、G3、iBook、G4などの革新的なハードウェア製品だった」と語った。

 同氏は、「Macs for Dummies」などのMac関連書籍を多数出版している他、音楽にも精通し「Opera for Dummies」などの著書を記している。今回の講演でも、Mac関連のパロディソングを発表すると期待されていたが、「Priceline.comで飛行機チケットを買ったので、安い代わりに制約がいっぱいあって、キーボードを持ってこれなかったんだ」と語った。ちなみに、チケット代は3ドル50セントだったそうだ。


■Dr. Macintosh:Appleの未来を予測する

Bob "Dr. Macintosh"
Levitus氏
 「Dr. Macintosh」や「WebMaster Macintosh」など多数のMac関連書籍を出版し、Mac博士として親しまれているBob “Dr. Macintosh” Levitusは、明日の基調講演でジョブズ氏が何を発表するかを予測した。同氏は「明日、スティーブが何を発表するだろうか? いろんなWebサイトや雑誌から、Appleの新発表についての噂や予測をかき集めて、6つの予測にまとめてみた。これらは、17インチ版のiMac、コンシューマ向けのMac OS X、Mac OS 9.1、PowerBookの新製品ライン、iMac DVに類似したスペックを持つiBook DVD、QuickTime 4.1だが、どうだろうか」と語った。会場からは、その他の予測も積極的になされ、新たなキーボードとマウス、マルチプロセッサのG4サーバーなどの声も上がった。



 同氏はまた、観客のMacユーザー度合いをチェックするとし、「MACWORLD Expoに初めて出席した人は?」、「Macユーザー暦が2年以内の人は?」などの様々な質問を観客にぶつけた。Macユーザー暦が2年以内の人々は、会場のほぼ30%を占め、Mac OS 9を使用している人は会場の75%を占めるという高率になった。「Mac OS 9が好き?」という質問には会場は大きな拍手と歓声で答えた。同氏は「他のユーザーグループでは、自分のマシンが好きだと答える人は3%程度だ。『Dellが大好き!』なんて人はまずいない。こうしたユーザーの絶対的な満足度を得ているのはMacくらいだ」と語った。ただし、「丸いマウスが好き?」の質問にはブーイングがあがった。

 さらに、「Windowsを使っている人は?」の質問には数人しか手が上がらなかった。「Windowsが邪悪だと思う人は?」、「ビル・ゲイツが邪悪だと思う人は?」との質問には、ほぼ全員が手を上げ、会場からは勝利の歓声が上がった。

 同氏は、'99年を振り返り、Appleにとって'99年は驚くべき好調な年だったとした。同氏は「Appleを各分野別に評価すると、株価と製品ラインは最優秀ランクのA++だ。株価は現在、108ドルで推移しているし、Apple製品はiBookに始まり、あまりに高速でペンタゴンが輸出禁止にしたG4、iMac DV、Mac OS 9、このうえもなく贅沢なApple Cinema Displayと目白押しだった」と語る。しかし、技術サポートに関しては、「存在するの?」と会場からブーイングが飛び、ランクはDに、説明書はさらにひどく、Fランクという結果になった。

 ユーザーインターフェイスに関して、同氏は「Appleは、'84年に『ヒューマンインターフェイス』という優れた本を出版した。この本の内容は、現在でも通用する優れたものだが、最近のApple UIデザインはこれを忘れたようだ。新たなQuickTime、DVDプレイヤーなどのコンシューマを強調したシルバールックは正直言ってひどいね」と語った。それでも、Bと評価していた。


■Andy Ihnatko:Newton時計はいかが

Andy Ihnatko氏 会場
 カウボーイ姿で登場した「MacUser」誌の人気コラムニスト、Andy Ihnatko氏は、この2年間のAppleの復活劇を振り返り、革新的な技術を次々と開発してきたAppleは今後も様々な製品を生み出してくれると期待を寄せた。同氏は「MACWORLD Expo/SanFrancisco最後の年になるだろうと言われた'97年から、Appleは大きく飛躍した。'98年は、Appleのプライドを取り戻す年だった。そして、'99年は、Appleの傲慢さを取り戻した年だ。2000年は、AppleのRecklessness(向こう見ずさ)を取り戻す年になる!」と語ると、会場から喝采を受けた。



 同氏はまた「Microsoftの雑誌広告では、ディスプレイ上で文字を表示する『ClearType』技術をとりあげ、同社がいかに革新的な企業かを強調している。しかし、Apple IIでは、72dpiを200dpiに見せる解像度を高めるソフトウエア技術をすでに持っていた」と語った。また、Microsoftの未来を予測するタイムテーブルには、「2004年、タブレットPCが登場し、人々は文字認識などのパワフルなアプリケーションを使って文字入力したり、本を読める」と書かれているが、これと同様なことがNewtonで行なえるとした。

 同氏は「Newton 2100にはWebブラウザも電子メール機能もついており、FTPでWebページにデータをアップロードすることもできる。これを革新と呼ばずして、何と呼ぶのだろうか」と語った。また、時計のように誰もが身に着ける小型デバイスに、Newton OSを搭載してネットアプライアンスにするというアイデアも披露した。

「PalmPilotと同じ機能を提供するNewtonベースの時計ができれば、便利だろう。時計にあと2つボタンをつけ、USBポートに1MBのメモリを搭載、HTML 1.0に対応する時計を想像してみよう。Newtonは、非常に優れたOSだ。PalmPilotはその当時、ライバル製品がなかったので、あの価格がついたが、本来は80ドルでも妥当な製品だ。こうした時計は安価で提供できる」と語った。


 Expo開幕を祝うイベント「Warm Up Rally」の終了後、観客の多くは1週間にわたり開催される多数のワークショップやセミナーに出席するため、Marriotホテルに向かった。若者の多くは、彼らにとってのヒーローであるこれらの講演者たちにサインを求めていた。

 昨年までは、開幕前日にはApple幹部らが登場するタウンミーティングが開催されていたが、今年は予定を変更して、スティーブ・ジョブズ暫定CEOの基調講演の後にタウンミーティングが開かれることになった。その理由としては、ジョブズ氏の基調講演を聴く前に、いろんな予測を行なうのは無意味だとのこと。明日のジョブズ氏基調講演には、早朝6時から長蛇の列ができることが予想されている。

□MACWORLD Expo/San Francisco 2000のホームページ
http://www.macworldexpo.com/mwsf2000/index.html

(2000年1月5日)

[Reported by HIROKO NAGANO, CA]


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