多和田新也のニューアイテム診断室

GT200コア採用の新ハイエンドGPU「GeForce GTX 275」
~新機能を実装したGeForce Release 185もリリース




 NVIDIAは4月2日、ハイエンドビデオカードの新製品「GeForce GTX 275」を発表した。本製品は、GeForce GTXシリーズで採用されているGT200ベースのGPUを使用したシングルGPUビデオカードだ。あわせてビデオカード用ドライバのメジャーバージョンアップも行なわれる。これらのパフォーマンスをチェックしていきたい。

●GTX 285のROPユニット削減バージョン

 まずは、今回発表されたGeForce GTX 275の仕様を表1にまとめた。55nmプロセスで製造されるGT200ベースのGPUコアを用いた製品となる。SP数は240基で、この点はGeForce GTX 285と同様であるが、ROPユニットとメモリコントローラ部のクラスタが1基丸ごと削減されており、ROPは28基、メモリインタフェースは448bit、メモリ容量が896MBとなるのが特徴。GPUの仕様としては、ちょうどGeForce GTX 295と同じであり、これのシングルGPU版という見方も可能だ。

【表1】GeForce GTX 275の仕様

GeForce GTX 275 GeForce GTX 295 GeForce GTX 285 GeForce GTX 280 GeForce GTX 260 GeForce GTX 260
プロセスルール 55nm 65nm 65nm/55nm 65nm
SP数 240基 480基(240基×2) 240基 240基 216基 192基
コアクロック 633MHz 576MHz 648MHz 602MHz 576MHz
SPクロック 1,404MHz 1,242MHz 1,476MHz 1,296MHz 1,242MHz
メモリ GDDR3 896MB GDDR3 1,792MB(896MB×2) GDDR3 1GB GDDR3 1GB GDDR3 896MB
メモリクロック 1,134MHz 999MHz 1,242MHz 1,107MHz 999MHz
メモリインターフェイス 448bit 448bit(1GPU当たり) 512bit 512bit 448bit
テクスチャユニット数 80基 160基(80基×2) 80基 80基 72基 64基
ROP数 28基 56基(28基×2) 32基 32基 28基
消費電力 219W 289W 183W 236W 不明 182W

 ただ、GeForce GTX 295に比べると、コアクロック633MHz、メモリクロック1,134MHz(データレート2,268MHz)と、比較的高めのクロックに設定されている。GeForce GTX 285の仕様からも想像できる通り、55nm版GT200はわりと高クロックで安定させることができるのだろう。

 実売価格は249ドル。一足先に発表されたRadeon HD 4890より20ドル安価という、いかにも戦略的な設定になっている。既存のGeForce GTX 260とGeForce GTX 280の間のスペックとなることから、国内価格もその中間程度ということで、2万円後半~3万円強となるのではないだろうか。いずれにしても、Radeon HD 4890とは同じ価格帯でぶつかることになる。

【写真1】GeForce GTX 275のリファレンスボード

 今回テストに用いるのはNVIDIAのリファレンスボードである(写真1)。一見するとGeForce GTX 280に似たクーラーを使った10.5インチサイズのボードである。ただ、微妙に差異がある。

 まず、ブラケット部からTV出力端子が省かれている(写真2)。これはGeForce GTS 250も同様であったが、コスト削減という意味合いもあるだろうし、現状のニーズではHDMIに対応していれば十分という判断もあるのだろう。

 もう1点はクーラーのサイドである。(写真3)。GeForce GTX 275は、クーラーの化粧カバーがプラスチックですべて覆われる格好となっている。GeForce GTX 285では、サイドに金属パーツを用いてヒートシンクとして利用していた。細かい点ではあるが、GeForce GTX 285より安っぽい印象が否めない外観となっている。

 電源端子は6ピン×2の構成(写真4)。GeForce GTX 275のボード消費電力のピークは219Wとされており、6ピン×2でギリギリ足りる容量となる。ちなみに、この219Wという数字について、GeForce GTX 285よりも高い値であることに疑問を抱くかも知れない。NVIDIAによると、これはGeForce GTX 275の最大GPUコア電圧がGeForce GTX 285よりも高く設定されているためだという。

 ここからは筆者の想像だが、GeForce GTX 285はわりと良いダイを選別して利用しているのはないかと思う。GeForce GTX 275はROPの一部を制限できることから、多少素行の悪いダイを用いている可能性がある。こうしたダイでは規定のクロックに達するのに高い電圧を必要とする可能性があるため、最大コア電圧を高く設定しているのではないだろうか。

 GeForce GTX 275の発表と同時に、NVIDIAはビデオカード用ドライバのメジャーアップデートとなるGeForce Release 185もアナウンスした(画面1)。このドライバは、高負荷時のパフォーマンス改善とともに、「Ambient Occlusion」という機能をサポートした。これらの挙動については後述したい。

【写真2】ブラケット部。TV出力はなく、DVI×2のみ。DVI-HDMI変換アダプタによるHDMI出力はサポートされる 【写真3】GeForce GTX 285ではヒートシンクとして使われたクーラーのサイドは、プラスチックの化粧カバーで覆われた状態になっている
【写真4】電源端子は6ピン×2。ピーク消費電力はGeForce GTX 285を上回る点に要注意 【画面1】GeForce GTX 275のシステム情報。規定クロック通りであることが分かる。テストでは、GeForce Release 185.63を使用

●NVIDIA&ATIの新GPUと新旧ドライバを比較

 それでは、ベンチマークの結果をお伝えしたい。テスト環境は表2に示した通り。Radeon HD 4890の結果は、直前回の流用である。比較に用いたビデオカードは写真5~6に示す。

 今回、主にチェックするのは次の2点だ。1つは、GeForce GTX 275の性能で、同セグメントの対抗製品となるRadeon HD 4890と、上位モデルのGeForce GTX 285との性能差をそれぞれ見てみたい。もう1つはGeForce Release 185の性能改善がどの程度のものか、という点である。こちらは、旧ドライバでGeForce GTX 275が動作しないため、GeForce GTX 285を用いての比較となる。

【写真5】Radeon HD 4890を搭載するGIGABYTEの「GV-R489-1GH-B」 【写真6】GeForce GTX 285のリファレンスカード

【表2】テスト環境
ビデオカード GeForce GTX 275 GeForce GTX 285 Radeon HD 4890
グラフィックドライバ GeForce Release 185.63 GeForce Release 185.63
GeForce Release 182.06
Driver Package Version.
8.59-090204a-076050E
CPU Core 2 Extreme QX9770
マザーボード ASUSTeK P5Q Pro(Intel P45+ICH10R)
メモリ DDR2-800 1GB×2(5-5-5-18)
ストレージ Seagete Barracuda 7200.11(ST3500320AS)
OS Windows Vista Ultimate Service Pack 1

 「3DMark Vantage」(グラフ1~2)は、GeForce GTX 275がRadeon HD 4890に対して優位性を見せつける結果となった。フィルタ非適用時で1割弱、適用時で2割以下といったあたりで、非常に明確な差がついている。Feature Testにおいては、SPにおける特定の演算能力が問われるようなテストでRadeon HD 4890が飛び抜けた性能を見せている一方、3D描画のレンダリングパイプラインに直結したテストではGeForce勢が圧倒。フォーカスしているポイントの思想差がありそうな結果である。

 GeForce Release 185は現状のR182.06の結果に対して微増といったところ。誤差程度という見方のできるほどの差で、ここでは性能改善の効果を確信することはできない。

【グラフ1】3DMark Vantage Build 1.0.1(Graphics Score)
【グラフ2】3DMark Vantage Build 1.0.1(Feature Test)

 「3DMark06」(グラフ3~5)は、3DMark Vantageとは異なる傾向が出ており、SM2.0テストでGeForce GTX 275、HDR/SM3.0テストでRadeon HD 4890が良いスコアを出す結果となった。とくにフィルタ適用時で、この得手不得手の傾向差が色濃く出ている。

 Feature TestではピクセルシェーダテストのみGeForce勢が良い結果を出したが、ほかはRadeon HD 4890が圧倒。R185ドライバの効果も薄く、ドライバのチューニングを積極的に行なっていない印象を受ける結果である。

【グラフ3】3DMark06 Build 1.1.0(SM2.0)
【グラフ4】3DMark06 Build 1.1.0(HDR/SM3.0)
【グラフ5】3DMark06 Build 1.1.0(Feature Test)

 「Call of Duty:World at War」(グラフ6)はGeForce GTX 275が強さを見せている。UXGAとWUXGAのフィルタ非適用時に、Radeon HD 4890との差が小さくなるものの、フィルタを適用することで差を広げる格好となっており、優位性のある結果だ。

 また、実用的なフレームレートという点を考慮すれば、GeForce GTX 285との差は大きいものはいえず、本タイトルとGeForce GTX 275はコストパフォーマンスの良い組み合わせだと思う。さらに、R185ドライバも非常に高い効果を見せており、解像度、フィルタの有無に関わらず約5%の伸びとなった。

【グラフ6】Call of Duty :World at War

 「Crysis Warhead」(グラフ7)も同じくGeForce GTX 275が強さを見せた。低解像度ではGeForce GTX 285との差もわずかだが、さすがに描画負荷が高まるにつれ、その差は開く傾向にあり、GeForce GTX 285が強さを見せる。

 一方、R185ドライバの効果はほとんど見られない。実は、NVIDIAの資料においてCrysis WarheadはR185ドライバで性能を改善したタイトルとして紹介されているのだが、テストでは効果を確認することができなかった。

【グラフ7】Crysis Warhead

 「Enemy Territory: Quake Wars」(グラフ8)は、Radeon HD 4890が素晴らしい結果を見せた。低解像度での差だけでなく、WUXGA/フィルタありという高負荷条件でも上位セグメントのGeForce GTX 285を上回るほど。

 GeForce GTX 275は解像度やフィルタの有無による性能差が小さいことから、頭打ち感のある結果となっており、ドライバの影響が大きいと想像できる。また、R185ドライバの効果も確認できない。

【グラフ8】Enemy Territory: Quake Wars(Patch v1.5)

 「Far Cry 2」(グラフ9)はGeForce GTX 275が非常に良い結果を見せている。R185ドライバの効果も目立っており、大きくフレームレートを引き上げている。面白いのは、R182ドライバを使ったGeForce GTX 285の結果を、R185ドライバを使ったGeForce GTX 275が上回る点で、R185ドライバの効果の大きさを端的に示す良い例といえる。

【グラフ9】Far Cry 2(Patch v1.02)

 「Left 4 Dead」(グラフ10)は、低負荷ではRadeon HD 4890、高解像度/フィルタ適用時にはGeForce GTX 275が良い結果を見せる結果となった。全体に軽負荷なアプリケーションであるため、CPUによる頭打ちも目立つが、UXGAやWUXGAのフィルタ適用条件では明確にスコアを落としており、この当たりは各製品の能力が試された格好といえる。

 R185ドライバについては、効果がないどころか、むしろ性能が低下する傾向が見て取れる。主に高負荷時のパフォーマンスが改善されるというR185ドライバだが、軽負荷では逆に下がる可能性があることは留意しておきたい。

【グラフ10】Left 4 Dead

 「LOST PLANET COLONIES」(グラフ11)もGeForce勢がが安定した強さを見せている。R185ドライバについては、低負荷時にはスコアを大きく落とすという傾向がある一方、トータルで見ると微増といったところ。効果にはバラツキもあるが、多少の導入効果は期待できそうである。

【グラフ11】LOST PLANET COLONIES(DX10,Patch v1.0.2.0)

 「Tom Clancy's H.A.W.X」(グラフ12)もGeForce勢が強さを見せている。とくにフィルタ適用時にその差は際だっており、実用的な面でもGeForce GTX 275に分がある格好になっている。

 ただ、このフィルタ適用時のスコアはR185による底上げもありそうだ。GeForce GTX 285によるR185とR182の比較で、フィルタ適用時に大きくスコアを伸ばす傾向があるからだ。Far Cry 2同様、このテストのフィルタ適用条件時にもGeForce GTX 275+R185の組み合わせが、GeForce GTX 285+R182を上回る結果を見せている。

 一方、フィルタを適用しない条件においては、やはりR182ドライバの方が良い結果を見せる傾向にある。新ドライバに変更することで、目立ったパフォーマンスロスが発生しているのは気になる点だ。

【グラフ12】Tom Clancy's H.A.W.X

 「Unreal Tournament 3」(グラフ13)もGeForce勢が良い結果を残す傾向を見せている。ただ、むしろ目に留まるのはR185ドライバのスコアである。いくつかのタイトルで見せていたように、低負荷時にはパフォーマンスを落とす傾向が色濃く出ている。R185ドライバのこうした性格は気に留めておくべきだろう。

【グラフ13】Unreal Tournament 3(Patch v2.0)

 最後に消費電力の計測である(グラフ14)。冒頭でも触れた通り、GeForce GTX 275の公称消費電力は、GeForce GTX 285よりも高いわけだが、今回の測定においては、そうした傾向は見られなかった。ROP削減とクロックダウンの値を考えれば、差が小さい印象を受けなくもないが、減っていることは事実だ。

 ただ、コアの個体差という可能性も考えられる。今回の機材はそれほどコア電圧が上がらないまま規定のクロックを実現できているのかも知れない。悪くないテスト結果が出ているものの、確信は持てないというのが率直な感想だ。

 Radeon HD 4890との差では、アイドル時はGeForce GTX 275がよく抑えられている一方で、ピーク時にはGeForce GTX 275の消費電力が大きくなっている。Radeon HD 4890のアイドル時の数値については前回記事でも触れたが想像以上に大きい値であり、ライバル製品との差でも分が悪い結果となった。しかし、ピーク時の電力が小さいというのは大きな魅力といえるだろう。

【グラフ14】消費電力

●新ドライバでサポートされた「Ambient Occlusion」

 次に、GeForce Release 185で追加されたAmbient Occlusionについて、簡単にチェックしておきたい。Ambient Occlusionとは、特定の光源ではなく、周辺全体の環境光が生み出す影を表現するというもの。例えば、壁と壁、草と草の間には、その物体同士が生み出す光の反射や、それに伴う柔らかい影が存在する。そうしたものを表現するのがAmbient Occlusionである。

 R185ドライバで導入された本機能の面白いところは、こうした陰影の描画をレンダリング中ではなく、ポストプロセスで作り出すことにある。つまり、レンダリングされたフレームを分析して、そこに影を追加するというアプローチを採るのである。

 とはいえ、ゲームごとに異なる処理が必要となるため、ドライバ側でAmbient Occlusionに対応したプロファイルを持っているゲームでないと、利用することはできない。現時点で対応しているゲームは下記の通りとなる。

・Assassin's Creed
・BioShock
・Call of Duty 4
・Call of Duty 5(World at War)
・Call Of Juarez
・COMPANY of HEROES
・Counter-Strike Source
・Dead Space
・Devil May Cry 4
・F.E.A.R. 2
・Fallout 3
・Far Cry 2
・Half Life 2シリーズ
・Left 4 Dead
・Lost Planet: Colonies
・Lost Planet: Extreme Condition
・Mirror's Edge
・Portal
・Team Fortress 2
・Unreal Tournament 3
・World In Conflict
・World of Warcraft

 Ambient Occlusionは、NVIDIA Control Panelから有効/無効を切り替えることができる(画面2)。また、各ゲームタイトル別のカスタマイズ画面で個別に切り替えるのも可能で、こちらの画面を参照すると、対応/非対応ゲームを調べられる。例えば、Far Cry 2は対応しているので設定が可能だが、Crysis Warheadは非サポートということで設定を変更することができない(画面3、4)。

【画面2】GeForce Release 185で実装されたAmbient Occlusion。NVIDIA Control Panelから有効/無効を切り替えられる。デフォルトでは無効になっている 【画面3】対応アプリケーションであるFar Cry 2は個別設定画面で切り替え可能 【画面4】非対応アプリケーションのCrysis Warheadは、Not Supportedになっている

 このAmbient Occlusionの効果のほどだが、ここでは「COMPANY of HEROES OPPOSING FRONTS」、「Far Cry 2」、「Half-Life 2: Episode Two」の3タイトルで確認してみたい。

 画面5~6に示したCOMPANY of HEROESの画面は、靄がかかったシーンにおいて、その奥にあるオブジェクトが浮かび上がってきたシーンである。若干不自然さも感じられるが、おそらく靄に反射した光が木々を照らすと分析されたものと思われる。ただ、Ambient Occlusionを適用したことによって手前にある草が消えてしまっている。描画を変化させる際に、こうした弊害が発生する可能性があることは気に留めておきたい。

【画面5】COMPANY of HEROES OPPOSING FRONTS、Ambient Occlusion無効 【画面6】COMPANY of HEROES OPPOSING FRONTS、Ambient Occlusion有効

 画面7~8に示したFar Cry 2の画面は、中央にある大きな木の葉の陰影が濃くなることを確認できるほか、手前の灌木や、小さな構造物、その下にある石ころ付近に新しい影が追加されている。全体に陰影が濃くなったことで見映えが良くなっており、印象の良い画面になった。

【画面7】Far Cry 2、Ambient Occlusion無効 【画面8】Far Cry 2、Ambient Occlusion有効

 画面9~10に示したHalf-Life 2は、画面全体に渡り、内向きの角部分に対して柔らかい影が追加されており、画面がグッと引き締まった印象を受ける。今回のサンプルのなかでも、もっとも効果が分かりやすい例となっている。

【画面9】Half-Life 2: Episode Two、Ambient Occlusion無効 【画面10】Half-Life 2: Episode Two、Ambient Occlusion有効

 ただし、Ambient Occlusionは追加の処理が必要となるわけで、パフォーマンスが低下することは避けられない。そこで、今回取り上げたタイトル3種について、Ambient Occlusionの有効/無効でそれぞれパフォーマンスを調べた結果を表3に示す。

 この結果を見ると、大きいところでは半分以下のパフォーマンスにまで落ち込んでしまっている。また、アンチエイリアスなどと同様、解像度が高いほどパフォーマンスの落ち込みも大きい傾向が見て取れる。程度の大小はあれ、パフォーマンスは確実に低下するので、このデメリットはしっかり理解しておく必要がある。

【表3】Ambient Occlusionの使用によるパフォーマンス変化


Ambient Occlusion無効 Ambient Occlusion有効 無効時を100としたときの相対値
COMPANY of HEROES
OPPOSING FRONTS
1,280×1,024ドット/4xAA 116.2fps 93.6fps 80.5
1,920×1,200ドット/4xAA 85fps 57.8fps 68
Far Cry 2 1,280×1,024ドット/4xAA 64.09fps 47.1fps 73.4
1,920×1,200ドット/4xAA 52.47fps 33.88fps 64.5
Half-Life 2:
Episode Two
1,280×1,024ドット/4xAA 181.5fps 126.7fps 69.8
1,920×1,200ドット/4xAA 160.1fps 78.4fps 48.9

●性能は十分のGTX275、R185は高性能ハードウェア向け

 GeForce GTX 275については、アプリケーションによって多少変化はあるが、おおむねRadeon HD 4890を上回る傾向にあるといって差し支えないだろう。さすがに同じドライバを用いたGeForce GTX 285には及ばないが、決定的な差がつくのは高負荷時の条件の場合であり、ある程度の負荷までなら同程度の性能を出せている。動作クロックの差があるとはいえ、SP数が同じことが功を奏したのだろう。実際の販売価格次第ではあるのだが、アナウンスされている価格からすると相当にコストパフォーマンスの良い製品となりそうだ。

 ただし、消費電力は最低でもGeForce GTX 285並みは覚悟しなければならない。製品選択時にどの程度ウエイトを置くか次第ではあるが、消費電力に対する比重が大きいユーザにとっては、Radeon HD 4890の方が魅力的に映るだろう。

 GeForce Release 185の性能面は、高負荷、それもとくにフィルタ適用時に性能を飛躍的に伸ばす結果が、いくつかのアプリケーションで見られた。ただし、低負荷条件で旧ドライバよりもパフォーマンスが下がるケースがあるのは惜しいところ。また、新たに導入されたAmbient Occlusionを有効にした際に発生するパフォーマンスインパクトも小さくない、

 この新ドライバは、旧ドライバとはかなり性格が変わっている。このドライバが威力を見せるような高負荷条件でゲームを楽しんでいる人や、クオリティ向上を狙ってAmbient Occlusionを適用しても一定以上の性能をキープできるようなハードウェアを持っている人に対して、限定的に価値があるドライバという印象を受けている。

 いずれにしても、ハードウェアとしては3万円前後のラインに両社の新製品が同時投入された格好。手が出せない価格ではないという面白いセグメントでの競争はユーザーにとっても歓迎できることで、ビデオカードをアップグレードする絶好の機会になりそうだ。

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【4月2日】【多和田】Radeon HD 4870の高クロックモデル「Radeon HD 4890」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0402/tawada167.htm
【1月27日】【多和田】NVIDIAの55nmハイエンドGPU「GeForce GTX 295/285」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0127/tawada163.htm

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(2009年4月2日)

[Text by 多和田新也]


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