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GLOBALFOUNDRIES、今後の半導体製造戦略を紹介
~高性能プロセスを中心に提供

ダグラス・グロースCEO

3月23日(日本時間) 開催



 AMDとATIC(Advanced Technology Investment Company)の共同出資により設立された半導体製造会社GLOBALFOUNDRIESは23日(日本時間)、都内で記者会見を開き、同社の現在のサービス展開や今後の戦略について紹介した。

 GLOBALFOUNDRIESは、従来のAMDの製造部門を切り離し、投資会社のATICとの共同出資によって設立された半導体製造を専門とする会社。3月4日に正式に設立され、出資比率はAMDが34.2%、ATICが65.8%となっている。

 GLOBALFOUNDRIESの設立により、ファブにおいてAMD以外の半導体の製造が可能となったほか、今後ますます投資が増えることが見込まれる半導体プロセスの開発資金を比較的潤沢に得ることができるようになる。

 記者会見で来日したGLOBALFOUNDRIESのダグラス・グロースCEOは、「まず、なぜこの不景気の中、新たな半導体製造会社を設立したのか説明しなければいけない」とし、同社のビジョンを明らかにした。

 「長年半導体市場に携わってきて、過去にも不景気を経験したこともあり、今回が特例というわけでもない。確かに今回の不景気は先行きが不透明で、原因も根が深い。しかし半導体は不景気の中でも世界経済を支えてきたものであるし、不景気を抜け出した先には大きな市場がある。その時の市場は、最先端の技術が求められるようになるので、我々が現在立ち上げたというのは正しいことだと思う」と語った。

 半導体の市場動向としては、過去20年間を振り返り、機能やモビリティへの追求により、開発者にとってチップデザインがもっとも重要な要素になっていると指摘。一方でチップ製造と技術の研究開発コストと複雑性は高まる一方であり、ファブレスのビジネスモデルの傾向が高まっていることを指摘した。

 「我々はこの市場傾向にフィットする会社である。なぜならば我々が製造の生産能力とプロセスの開発の資金を負担するため、チップを設計する会社は、それらが得意とするアーキテクチャへの投資が増やせるからだ」とグロースCEOは話した。

 ほかの半導体製造会社と比較してGLOBALFOUNDRIESのアドバンテージは、グローバル展開であること、技術革新があること、敏捷性があること、そして共同開発していることを挙げた。

半導体プロセスの進化に伴う研究開発および製造費用の増大 ファブレス化が現在の半導体業界のトレンド 同社が他社に対する4大アドバンテージ

●GLOBALFOUNDRIESのアドバンテージ

 グローバル展開について、同社バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのジェームス・ドラン氏は、「我々は現在ドイツのドレスデンをはじめ、ニューヨーク州に2カ所、カリフォルニア州に1カ所、テキサス州に1カ所の開発拠点がある」と説明。これにより顧客により近い関係が築けるとした。

 このうち、ドレスデンのFab 1は最先端の300mmウェハ製造技術を持っており、現在は45nm SOIプロセス技術で、月産25,000枚の生産能力があるという。2009年後半には32nmプロセスの高性能バルクプロセス技術も立ち上げ、月産25,000枚の生産体制を整えるとした。

 もう1つの製造拠点として現在投資中のニューヨーク州にあるFab 2では、2012年度の操業を目処に現在建設中である。32nm/22nmプロセスを対象に製造し、月産35,000枚の生産能力があるという。同ファブが操業すれば1,400人以上の雇用が創出できるとした。

 テキサス州にあるセンターでは、主に製造ラインの開発を行なう。一方カリフォルニア州とニューヨーク州にあるセンターでは技術開発や販売とマーケティング、デザインキットとIPの提供、他社との技術提携を行なっていく。

バイスプレジデント 兼 ジェネラル・マネージャーのジェームス・ドラン氏 グローバルに展開する5つの拠点 ドレスデンにあるFab 1。最先端技術をメインとする
現在建設中のFab 2。こちらも32/22nmなどの最先端プロセスを採用 テキサスにある製造開発拠点 カリフォルニア州とニューヨーク州にあるセンターでは研究開発やマーケティングを行なっていく

 一方技術革新については、現在量産体制にある45nm SOIプロセスだけでなく、2010年までにHigh-Kとメタルゲートを採用した32nm SOIプロセスが量産できる体制に整えていることを紹介。過去に他社に先駆けて新しいプロセスルールで高い歩留りを実現できた実績もアピールした。

 また、IBMのバルク技術開発アライアンスにも正式に参加し、32nmバルクプロセスも立ち上げを行なう。2009年後半のテープアウトを目指して現在開発中であるという。さらに液浸露光技術も現在開発中であり、完成すればより高い歩留りを実現できるとした。

45nmと32nmプロセスはいずれもスケジュール通り 32nmプロセスについてはSOIだけでなくバルクも提供していく 他社に先駆けて先端プロセスルールの歩留りを向上
High-Kとメタルゲートも32nmプロセスで採用していく 液浸露光技術も開発し歩留り向上を目指す

 敏捷性においては、独自のソフトウェアスイート「APM Framework」の提供により、顧客は迅速にチップの設計を変更し歩留りを向上できるという。これはプロセス技術が微細化されていくほどに威力が発揮されるといい、過去の実績からみても従来より速いペースで新しいプロセスルールでの歩留りを向上させることに成功したという。

独自の開発者向けソフトウェアスイート「APM Framework」 プロセスの微細化に伴い同スイートの威力が発揮され、歩留り向上を短縮できる

 共同開発について、同社営業・マーケティング部門シニアバイスプレジデントのジム・クペック氏はが説明。研究開発についてはIBMを主導とするアライアンスに参加しており、SamsungやFreescale、STMicro、Chartered、東芝、Infineon、NECなどがこれらの最先端技術の開発に加わっているとした。また、チップ設計の基盤においても包括的なエコシステムを構築して、顧客に提供できるとした。

営業・マーケティング部門 シニアバイスプレジデントのジム・クペック氏 IBMを中心とした半導体開発のアライアンスに参加

 最後にグロースCEOは、「我々がもつ長年の経験と、ハイボリュームな製造基盤をもって、半導体製造企業としてのリーダーシップを発揮し、今後の市場をリードしていきたい」と意気込みを語った。

□GLOBALFOUNDRIESのホームページ(英文)
http://www.globalfoundries.com/
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(2009年3月23日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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