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日立、グループ会社会長の川村隆氏が新会長兼社長に
~「若返りの時代にベテランで行く」と庄山氏

庄山悦彦会長、川村隆新会長兼社長、古川一夫社長

3月16日 発表



 株式会社日立製作所は、4月1日付けで、日立プラントテクノロジー取締役会長であり、日立マクセル会長である川村隆氏が、代表執行役 執行役会長兼執行役社長に就任する社長人事を発表した。3月16日開催の取締役会および指名委員会で決定した。また、6月下旬に行なわれる定時株主総会において、川村氏の取締役会長就任が決定する見込み。

川村隆氏

 古川一夫取締役代表執行役社長は、取締役代表執行役副会長に就任。取締役会長の庄山悦彦氏は、取締役会議長に就く。また、日立総合計画研究所取締役社長兼日立製作所日立グループCEOの八丁地隆氏と、日立システムアンドサービス取締役代表執行役 執行役社長の三好崇司氏が、4月1日付けで代表執行役 執行役副社長にそれぞれ就任する。

 川村新会長兼社長は、'39年12月19日生まれ、北海道札幌市出身。'62年3月に東京大学工学部電気工学科を卒業後、同年4月に日立製作所に入社。'87年に電力事業部火力技術本部長、'92年に日立工場工場長を経て、'95年に取締役電力統括営業本部長に就任。'97年に常務取締役電力事業本部長、'99年代表取締役 取締役副社長に就任した。2003年には、取締役となり、日立ソフトウェアエンジニアリング取締役会長兼代表執行役、2005年には日立プラント建設(現 日立プラントテクノロジー)取締役会長、2006年には日立ソフトウェアエンジニアリング取締役会長、2007年には日立マクセル取締役会長、日立ソフトウェアエンジニアリング相談役に就任するとともに、日立製作所の取締役を退任していた。

古川一夫氏

 本社に復帰する川村新会長兼社長(69歳)に加え、八丁地新副社長(62歳)、三好新副社長(61歳)が再任するという、異例のトップ人事となった。

 川村新社長が「年齢が若いとはいえないが、気持ちは若々しくいきたい。副社長は、経験を重視した人事。60攻めて、40守るというのが経営だが、いまは40攻めて、60守る形で、守りをきちっとやり、次の攻めに備えたい」と語れば、庄山氏も、「日立が持つ人材の総力をあげて、直面している危機を乗り切る。若返りの時代にベテランで行く。昔の強みを戻すんだという観点から、思い切った強化策を打つ」とし、100年歴史を持つ日立の社風を強く感じさせるトップ人事となった。

 なお、代表執行役 執行役副社長は、森和廣氏、中西宏明氏が留任するほか、高橋直也氏が昇格し、5人体制となる。

 川村新社長は、「10日ばかり前に、打診を受けた。まったく予想をしていない大変なこと。先頭に立って立ち向かい、礎を固めろと言われた。全身全霊、日立の再生に努める。日立には大きな財産がある。100年間の歴史の中で培ったお客様からの厚い信頼、各地にまたがる人材、価値創造への取り組みなど、日立の財産を何倍にも活用したい。日立製作所、グループの経営陣、そして若い力が必要である。経験と勇気を持って、迅速な決断と行動を徹底していく」と抱負を語った。また、自らを「慎重なる楽観主義者」と語り、「元気を出して、日立の仲間とともがんばっていきたい」とした。

庄山悦彦氏

 一方、取締役会議長に退く庄山会長は、「古川社長は、2006年4月の社長就任以来、液晶事業やHDD事業といった課題事業の解決に取り組み、収益を改善。将来の成長分野である環境関連に力を注いだ。また、中国などの新興国市場の開拓、グローバル人材の育成などに成果をあげてきた。こうした成果を大きく花開かせるためには、次の時代に向けて、成長させる力が必要。2010年に創業100周年を迎える日立の次の100年のための礎を築くには、グループの経営を経験し、幅広い経験を持つ川村氏がベストであると判断した。日立に入社してから火力発電所のほか、原子力、水力も含めた電力事業の発展に尽力し、電力事業のグローバル展開にも手腕を発揮した。また、ビルシステム、半導体、自動車などのほか、人事、知財、品質保証、環境を担当するといった幅広い経験がある。必ずや成し遂げてくれると考えている」とした。

 また、副会長に就任する古川社長は、「社長就任以来、協創と収益の経営を目指してきた。課題事業の解決、環境価値経営に取り組んできた。液晶における他社との提携、HDD、電力事業の収益改善、TV事業の構造改革によって、課題事業を解決した。2006年度からの3カ年の取り組みは、当初の2年間は順調にいったが、2008年度は厳しい状況となり、2009年度に回復すると思ったものも、さらに厳しくなるばかり。仕上げとなる2009年度の目標として、営業利益率5%を掲げていたが、現時点ではその達成は極めて厳しいといえる。

 日立が新たな目標に向かうためには、人心を一新し、これまで実行してきた成果とともに、需要が減退した時期でも、安定した収益を確保できるように取り組んでいく必要がある。4月からは、経営改革の徹底、基盤強化08-09の完遂、海外電力プラント建設事業の強化、環境配慮型データセンター事業の推進をミッションとする5つの本部を、社長あるいは副社長が直接掌握する組織として設置し、コスト構造改革や事業ポートフォリオ改革のさらなる加速を図り、顧客との協創活動の強化によるグループワイドでの売上高拡大と、収益基盤の強化に向けた活動の継続的な推進を図る」とした。

 新体制に委ねた再生時期については、庄山会長は、「毎年必死で、再生を尽くす。だが、2009年度は大変だという印象はある。2010年には100周年を迎えることから、然るべき形にしたい」とし、古川社長も「一番早い回復に向けてアクセルとブレーキを踏んでもらいたい」としただけで、具体的な時期、規模、ゴールなどについては明言を避けた。

 一方、日立製作所では、今回の社長人事にあわせて、事業構造改革を発表。コンシューマ事業グループとオートモーティブシステムグループを、分社化することを明らかにした。

 デジタルメディア製品を担当するコンシューマ事業では、日立製作所コンシューマ事業グループ副グループ長の渡邊修徳が社長に就任。2010年度見込みで売上高1,600億円、従業員数750人体制を見込む。連結ベースでは、2008年度見込みでグループ全体で1兆1,000億円の売上高となるが、そのうち一部事業をここに集約する。

 新会社では、国内薄型TVと業務用液晶プロジェクタの開発、製造、販売を行なうとともに、光学ドライブや携帯電話などの製品をパートナーとの協業によって事業を展開していくという。また、国内の家電製品を担当する日立コンシューマ・マーケティングとの連携をさらに強化していく。

 川村新社長は、分社化の狙いについて、「分社化するということは日立製作所本体から、少し距離を置くということになる。日立製作所本体は社会インフラ、社会イノベーションに集中させることになる。分社によって、遠く離れるということではない。だが、グループのなかで各社をどう位置づけるかは、再編成を含めて、さらにやっていく必要がある。各社がそれぞれにがんばるのが基本。グループ全体の最適化をはかり、グループとして一番力が出る形にする。これは早い段階での仕事だと考えている」とした。

□日立製作所のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2009/03/f_0316a.pdf

(2009年3月17日)

[Reported by 大河原克行]

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