CeBIT 2009現地レポート【冷却機器編】 マザー全面が水冷ブロックというコンセプトPC
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デモ機に装着されたCPUクーラーが「Freezer XTREME PRO」。このほかデモ機には550W電源「Fusion 550」、メモリクーラーの「Arctic RC」とそれに装着するクリップファン「RC Turbo Module」、Radein HD 4870 X2に対応するVGAクーラー「Accelero Xtreme 4870X2」などの同社製品も装着されていた |
会期: 3月3日~8日(現地時間)
会場: 独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)
Intel P55 Expressチップセット搭載マザーボードの展示が解禁されたことで、現在どの冷却機器メーカーも対応CPUクーラーを開発しているものと見られる。そんななか、対応第1弾を飾ったのはArctic Coolingの製品だった。
●Arctic CoolingはLGA1156クーラーも準備OK?
Arctic CoolingがIntelの次世代メインストリームCPUに採用されるLGA1156にも対応するCPUクーラーを展示していた。「Freezer XTREME PRO」は12cmファンをサンドイッチしたヒートパイプ式CPUクーラー。冷却能力は最大160Wとされ、LGA1156のほかLGA775/1366、Socket 939/AM2/AM2+/AM3にも対応する。
●CoolIT Systemsの新型水冷ユニットとコンセプトPC
一体型水冷ユニットを販売しているCoolIT Systemsブースでは、水冷コンセプトPCを展示していた。CPUにCore i7 Extreme 965を用いたシステムとのことだが、一見すると水冷ヘッドも何も無いように見える。このシステムでは、マザーボード全体をCPU、メモリも含めてカバーしており、この内部で水冷している。つまりこの部分全体が水冷ブロックというわけだ。唯一拡張スロット部分だけが空けられており、ここにビデオカード2枚が装着されていたが、これもやはり水冷。ラジエータはケースのカバー側に装着されている。あくまでコンセプトであって発売は考えていないとのこと。
CoolIT Systemsが参考展示していた水冷コンセプトPC | 一見マザーボードが搭載されていないようにも見えるが、2枚のグラフィックスカードの間にPCIスロットの上部だけが見えているとおり、マザーボード上を全て覆っているためだ | コンセプトPCに組み込まれた水冷ユニットはOS上から制御可能 |
同社の実際の新製品は「DOMINO A.L.C.」。CPU専用の水冷ユニットだが、完成済み一体型でメンテナンスフリー。液晶ディスプレイでステータスを監視できるほか、ディップスイッチによりモードを切り替えて利用することも可能だ。対応ソケットはLGA775/1366およびAM2+。約80ドルという低価格も魅力の製品だ。
●サイズから巨大クーラーシリーズ続々登場予定
サイズのブースでは、発売間近のCPUクーラー、VGAクーラー、そして製品化に向けて開発中の製品が展示されていた。CPUクーラーの新製品では、「KATANA 3」、「BIG Shuriken」、「KABUTO」、「ZIPANG 2」など。KATANA 3は傾斜したスタイルが特徴の9cmファン搭載クーラー。KABUTOとZIPANG 2はMUGEN 2をベースとしたトップフロー型で、KABUTOが12cmファン搭載モデル、ZIPANG 2が14cmファン搭載モデル。BIG Shurikenはトップフローの低背クーラーShurikenを大型化したモデルである。
「BIG Shuriken」(左)と「KATANA 3」(右)。KATANA 3は間もなく販売開始予定。BIG Shurikenは5月の連休前後の発売を目指しているとのこと | 「ZIPANG 2」(左)と「KABUTO」(右)。KABUTOは間もなく販売開始予定 |
参考展示のコーナーにあるのがマザーボード面を覆うほど巨大なCPUクーラー「GODHAND」。これは発売を前提としたモデルであるとのこと。その固定用に用いられているワイヤも発売予定。大型クーラーを得意とするサイズだが、大型クーラーを固定する際の補助ワイヤーが欲しいというお客さんの声に応え、「NINJA WIRE」としてリリースする予定だ。同じマザーボードに装着されたVGAクーラーは「Setsu Gen」。一見ファンレスにも見えるが、チップ側にクーラーを、外側にフィンというように、通常とは逆転させた構造が特徴だ。これにより、隣接スロットに拡張カードを挿した際にも十分なエアフローが得られるとしている。
CPU、その周辺を一気に冷やす巨大CPUクーラー「GODHAND」と、厚みを抑えつつ冷却性能を高めたVGAクーラー「Setsu Gen」。そして大型クーラー用の固定ワイヤー「NINJA WIRE」 | 「Setsu Gen」はボードに近い側にファンを、その上にヒートシンクをレイアウト | VGAクーラー「Musashi 120」。薄型12cmファンを2基を搭載 |
●ASUSのCPUクーラー4製品、最大180Wの高性能モデルなど
高性能クーラーのメーカーとしても知名度を高めてきたASUSTeKでは、4つのCPUクーラー新製品が展示されていた。「Triton 88」「Troy Square」「Twister Knight」「Tmplar Knight」で、いずれもLGA775/1136およびSocket AM2/AM2+/Fをサポートしている。「Triton 88」と「Troy Square」は180W CPUにも対応するクーラー。Triton 88はフィンの間にファンを挟んだ構造、Troy Squareは9cmファンを側面に取り付けた構造のクーラーだ。
フィンの間に12cmファンを挟んだ「Triton 88」。動作音は20dBAと抑えられつつ最大180Wまでの冷却性能を持つ。フィンのみアルミだが、他は銅を用いている | 側面に9cmファンを搭載する「Troy Square」。動作音は20dBAで最大180Wまで対応するという仕様はTriton 88と同等 |
「Twister Knight」と「Tmplar Knight」は全銅製のクーラー。銅製フィンのベースとなるヒートパイプは、Twister Knightは8の字を描き、Tmplar Knightでは逆U字を描くレイアウト。先のTriton 88、Troy Squareのように高TDPへの対応はうたっていないが、こちらの2製品の方が静音であり、"Silent Overclocking"向けと提案されている。
「Twister Design」が特徴の「Twister Knight」。搭載するファンは12cmサイズで、動作音は16dBA。全銅製で質量が900g | 逆U字に通したヒートパイプがテンプル騎士団の兜っぽい「Tmplar Knight」。搭載するファンは9cmで、動作音は19dBA。全銅製で質量は860g |
□CeBITのホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
(2009年3月9日)
[Reported by 石川ひさよし]