「紙に書いた内容をがそのままPCへ入力できれば便利!」と思っている人も多いと思う。その希望を叶えてくれる入力デバイスが、今回紹介する「ぺんてる airpen MINI」だ。 ●ご対面! 編集部から届き蓋を開けたところ、一番驚いたのは「まるでPC周辺機器に見えない」ところだ。多分、USBケーブルとCD-ROMが無ければ普通のペンと少し高級感のあるB5の下敷きがある程度にしか思わなかっただろう。それほどPCとは無縁に見えるパッケージだった。実は同時にいくつか他の機器も送られて来たので「これは関係ないかも……」と思い、一番最後に回したほどだ。 読み取り方式は「赤外線/超音波検知方式」、2MBのフラッシュメモリを搭載し、筆記可能領域はA4まで、A5で100ページ相当の記録が可能だ。デジタルペン部分はSR41電池×2を使い連続筆記90時間程度、メモリユニットはUSBからの充電式で、充電時間3.5時間/連続15時間使用可能となっている。 対象となるエリアがA4であれば用途的に十分。バッテリ駆動時間も使用頻度にもよるだろうが、通常、これだけ持てば特に問題にはならない。注意点としては、用紙の周囲約2~3cm程度はエリア外となるが、このエリアにはあまり文字を書かない(落書きはするかも)ため大丈夫だろう。 下準備は、デジタルペンに電池を入れ、メモ用に使うならペン先をリフィルに入れ替え、メモリユニットの充電、そしてアプリケーションのインストールと、たったこれだけ。拍子抜けするほど簡単だ。早速どんな感じなのか試してみたい。 ●使い方1/オフライン(モバイルモード) このairpen MINI、PCと接続しない「オフライン」での使い方と、USB経由でPCへ接続する「オンライン」での使い方、2パターンに分かれる。まずは「オフライン」。右側のボタンを長押しし電源ON。革製下敷きに、B5のコピー用紙を挟み文字を書いてみる。この時、端が折れ曲がっている紙や、シワになっている紙は使えない。ペン先に「独自設計の感圧スイッチ」を使っているらしいが、普通のボールペンで書くのと書き心地は変わらず、なかなか優秀なスイッチだ。この状態ではメモリユニットにデータが蓄積されるだけで、普通に紙へ何かを書く作業と同じである。 このミニノートとメモリユニットの組み合わせは結構お気に入りで、カバンが無くても、この時期なら皮ジャンやGジャンのポケットなどにデジタルペンと共にスッポリ入り、普段ほとんどカバンを持たない筆者には丁度良いコンビネーションになっている。少し使ってPCへ接続、オンラインを試そうとしたところ……問題が発生した。 ●使い方2/オンライン(オンラインモード) 問題と言っても、airpen MINIの問題ではない。筆者の問題だ。つまり字が汚く、絵心も無いため、何を書いても記事として使えるメモのサンプルを作れないのだ。すでに製品の写真撮りも終わっていて、あとは使用中の写真と画面キャプチャを残すのみなのだが、これがなかなか進まない。……と困っている時に、たまたま別件で女の子数人が事務所に集まったので、その中に1人に書いてもらったのが、下の上段となる。 右の画面キャプチャは、ページ毎にサムネイル小/中/大を表示するモードだ。一覧性もよく目的のページを探しやすい。データのエクスポートは文字か画像かにもよるが、対応しているフォーマットは、TXT、RTF、BMP、JPG、GIF、TIFF、PDF(手書きストロークのみ)、SVG(手書きストロークのみ)、PNTとなかなか豊富だ。もちろんストロークのまま保存もできる(拡張子apn)。 アプリケーション的にもこなれており操作性は良く、スッキリしていてわかりやすい。少しPCに詳しいユーザーであればマニュアルいらず。今回テストにはAtom 230プロセッサ搭載のPC上で操作しているが、重い雰囲気は無く、快適に動いていた。ネットブックと組合せるのも面白いだろう。 オンラインモードでは、デジタルペンがマウスになったり、airpenNOTEのエディタで画面を見ながら書くこともできるが、筆者はどうも感性が追いつかないのか、微妙なタイムラグからなのか、画面を見ながらだとうまくペンを扱えない。オフラインモードで普通にボールペンとして書き、それをPCへ転送する方が何をするにもうまく行った。この点は慣れやペンとして使うのか、スタイラスとして使うのかにもよるだろう。日頃タブレットを使っているユーザーの方が違和感が少ないかも知れない。 デジタルペンとメモリユニットがコンパクトなので普段簡単に持ち歩くことができ、ノートを頻繁に使う人にとっては、なかなか強力なツールになりえる入力デバイスだ。本体色にこだわらなければ、14,800円の通常版で十分だろう。欲を言えば、値段が値段なのでもう少しデジタルペンに高級感が欲しい。 このairpen MINI、以前紹介したpomeraとは、方やペン派=アナログっぽい、方やキーボード入力派=デジタルっぽいと、対極をなす入力デバイスと言える。どちらも良くできたデバイスであり、元々のマーケティングが違うため優劣付ける性格のものでもなく、用途に応じて使い分ける性質のものだ。ただ「楽しむ」という意味では、今回のイラストを見ればわかるように、airpen MINIだろうか。 ●総論 痛感したのは、字が汚く、絵心の無い筆者にとっては猫に小判。自分をバージョンアップ(無理かも)しないと、なかなかうまく使いこなせないデバイスだったりする。
□airpen MINI製品情報 (2009年2月27日) [Reported by 西川和久]
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