セイコーエプソン、第3四半期決算は減収減益
2月25日 発表 セイコーエプソン株式会社は25日、2008年度第3四半期(2008年10~12月)連結決算を発表した。売上高は前年比23.7%減の2,905億円、営業利益は86.0%減の46億円、経常利益は70.8%減の100億円、当期純利益は99.1%減の1億円となった。 情報関連機器事業セグメントの売上高は前期比21.5%減の2,059億円、営業利益は61.7%減の139億円。 プリンタ事業は、インクジェットプリンタが円高の影響や低価格品の構成比が上昇したこと、販売数量が減少したことがマイナス要因となったほか、ドットマトリクスプリンタとターミナルモジュールが、同様に景気後退の影響、円高の影響を受け、さらに、ページプリンタも市場低迷や競争激化により販売数量が減少したという。プリンタ事業全体では、前年同期比21.9%減の1,768億円と大幅な減収になった。 同社経営管理本部長の久保田健二常務取締役は、「インクジェットプリンタは、市場全体では20%程度の落ち込みとなっているが、当社の場合は、新製品の販売が好調で、市場全体の落ち込みよりも下落率は低い。だが、前年を上回るという目標のような状況にはなっておらず、通期でも数%の数量減になる」として、年間1,500万台の目標販売台数を下回るとの見通しを示した。 映像機器事業では、液晶プロジェクタの数量は増加したものの、円高および価格下落の影響で、こちらも大幅な減収となった。 電子デバイス事業セグメントの売上高は、前年比29.1%減の747億円、営業損失は前年同期の10億円から58億円に拡大した。 ディスプレイ事業では、携帯電話端末市場の減速があったものの、PDAフォンやポータブルメディアプレーヤーなどの特定機種向けにαTFT液晶の販売が一時的に増加。一方で、LTPSはデジタルカメラ向け、携帯電話端末向けの需要が減少した。また、液晶プロジェクタ向けのHTPSもプロジェクタ市場の鈍化の影響を受けて、マイナスとなった。事業を終息するMD-TFT液晶ディスプレイと、生産体制を大幅に縮小する予定のカラーSTN液晶ディスプレイは数量が減少した。 水晶デバイス事業は景気後退の影響、携帯電話端末、デジタルカメラ、デジタル家電向けなどの多くのアプリケケーションにおいて急激な生産調整があったため、大幅な減収となった。 半導体事業では商品構成を転換する事業戦略の一環で、携帯電話用LCDドライバの数量が減少したこと、景気後退によるシリコンファウンドリの数量減少が影響したという。 精密機器事業セグメントは、売上高は前年比17.6%減の180億円、営業損失は前年同期の8億円の黒字から、1億円の赤字となった。ウォッチの価格低下と数量減少、ICハンドラの数量減少により、大幅な減収となった。 また、同社では、1月27日に公表したブラジルおよびメキシコの連結子会社における不適切な経理処理の内容について、調査結果を明らかにした。 同社では碓井稔社長を責任者とする社内調査委員会を設置し、調査を行なってきた。ブラジルの子会社においては、当期を含む9年間に渡り、売掛金過大計上および財務報告の調整などにより累計4,200万ドルの利益を過大に計上した。これに関しては、ブラジルの会計基準と、米国会計基準との間で、必要な調整処理を誤ったことを発端に、その経理処理ミスを隠蔽するために売掛金の過大計上を行なったことが原因であり、動機としては自己保身目的で行なったとした。 一方、メキシコの子会社では、当期を含む4年間に渡り、累計410万ドルの売掛金を過大に計上。遅延債権が減少しているように見せかけるために行なった操作であり、実行者が自己保身的に行なったと見ている。 両社で44億円(過年度影響分31億円、当年度影響分13億円)の特別損失として一括計上した。また、ブラジル子会社では関与者は3人、メキシコ子会社では関与者は1人。当事者、上司を対象に解雇、降格を含む処分に着手したという。 同社では、1月30日付けで、2008年度の業績見通しを下方修正している。売上高は、2008年10月29日の公表値に比べて1,250億円(前年比15.6%)減の1兆1,380億円、営業利益は390億円(89.6%)減少となる60億円、経常利益は400億円(79.5%)減少の130億円、当期純損失は310億円悪化の40億円の赤字とした。 情報関連機器事業セグメントの売上高は前回予想に比べて760億円減少の7,840億円。営業利益は220億円悪化の410億円。そのうちプリンタ事業の売上げ見通しは、600億円悪化の6,560億円とした。 久保田常務は、「2009年度を初年度とする新中期経営計画の策定を開始しており、事業構造改革として、高い収益力、強靱な体質に転換するための諸施策を実行する考えだ。プリンタを中心とした情報関連機器の力をつけるなどの成長領域への投資のほか、課題となっているデバイス各事業の方向性を明確にしたい。あらゆる選択肢を検討してきたが、これまでの延長線上の施策では限界がある。いま一歩踏み込んだ対策を行なう必要があり、人員配置の転換、設備の再編、不要施設の減損処理などを行ない、固定費を削減した身軽な形で新中期経営計画に取り組みたい」とした。 □セイコーエプソンのホームページ (2009年2月26日) [Reported by 大河原克行]
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