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ソニーのPC向け指静脈認証技術採用の企業内認証システム
~大塚商会、インスパイアと協業で提供

PCに付属した指静脈認証端末の試作品

2月2日 発表



携帯電話での指静脈認証の様子。ヒンジ部にセンサーを搭載し、それで読み取る

 株式会社大塚商会株式会社インスパイアは、ソニーが開発した指静脈認証技術「“mofiria”(モフィリア)」を採用したBtoB領域での市場開拓および、サービス開発で協業すると発表した。

 大塚商会は、“mofiria”を利用したSI構築ビジネスや、ASPプラットフォームでの各種サービスを開発し、76万社の同社顧客基盤を対象に、企業向けセキュリティサービスを提供。インスパイアは、企業向け導入コンサルティングの提供と同時に、ASPプラットフォームの開発を行なう。

 ソニーの“mofiria”は、PCや携帯電話などのモバイル機器に搭載が可能な指静脈認証技術で、小型ながらも高速認証を実現しているのが特徴だ。

 “mofiria”では、LEDから発光された近赤外光を指静脈にあて、体内で散乱した光をCMOSセンサーで効率的に撮像する独自の反射散乱方式を採用。LEDの光を一方向から斜めに指静脈に当てて撮像しているため、平面での配置が可能で、機器に組み込む際のデザインの自由度や小型サイズを実現できるという。

 また、撮像された指静脈画像から静脈パターンを抽出し、さらに静脈パターンのデータを約1/10に圧縮してメモリへ蓄積するため、モバイル機器にも搭載可能な小容量の照合データを実現。加えて、独自の光学メカニズムとアルゴリズムを採用することにより、指位置を自動補正。指位置を厳密に固定する必要がなく、撮像された指静脈画像からすばやく正確に静脈パターンを抽出し、かざされた指位置の補正も同時に行なう。これにより、認証処理時間は、PCを使用した場合で約0.015秒、携帯電話では約0.25秒となり、認証精度は、本人拒否率(FRR)が0.1%、他人受入率(FAR)0.0001%という高速、高精度を実現できるという。

静脈を3つのテンプレートとして登録し、認証する。指の角度などの誤差も吸収する 携帯電話で認証した際のデモストレーション PCで認証し、起動させたところ

 “mofiria”は、事前に静脈をテンプレートに複数登録しておき、指の置き方と近かったものを認証パターンとして照合する仕組みとしており、PCの起動や携帯電話のセキュリティなどに利用できるほか、人差し指をかざすとWebブラウザ、中指をかざすとPowerPointといったように、指ごとに異なるアプリケーションを設定し、それぞれに簡単な操作で起動させる「アプリケーションランチャー」としても利用できるようになる。

 また、1台のPCを複数のユーザーが利用する場合も、指をかざすだけで別のアカウントに移行するユーザースイッチの環境も提供できる。

 指静脈認証技術は、指の静脈パターンにより本人確認を行なう認証方式であり、その静脈パターンは、個人ごとに異なるほか、各指によっても異なっている。また、経年変化も起こさないため、成りすましが困難であり、他の生体認証と比較して、高精度の認証が可能になるのが特徴だ。

 指静脈認証技術と企業内の統合認証システムを連携させることで、内部統制対策、セキュリティ管理を一元的に強化できるとしている。 

 ソニーのB2Bソリューション事業本部FeliCa事業部FVA事業開発室・天貝佐登史室長は、「ITソリューションプロバイダー最大手の大塚商会と、新規事業開拓やベンチャー支援分野における最有力企業であるインスパイアが、この技術に賛同していただいたことで、両社の経験を生かして、ソリューションを開拓することができる。経験で顧客が喜ぶソリューションを展開したい。これを足がかりに、他のマーケティングおよびセールス系の各社にも伝搬し、世の中に役に立たせたい」とした。

mofiriaの主な特徴 mofiriaによる成長市場の創出
B2B市場サービスの領域 大塚商会とインスパイアのそれぞれが展開するソリューション

 大塚商会とインスパイアは、当初は、クライアント認証の販売およびSIサービスから提供を開始。個人の行動を特定できる特徴を生かして、企業内の入退出管理、PCなどのIT資産管理、アンチウイルスソフトや暗号化ソフトなどのセキュリティソフトの利用状況の監視、サーバーや印刷などの情報アクセス管理、バックアップおよびリモートデータ消去などを提供する。

 具体的なサービスとして、“mofiria”とActive Directoryとの連携によるIT資産や施設へのアクセス統合を実現する「企業ネットワークサービス」、“mofiria”とWindowsログイン認証を入口として、モバイルを含めたクライアントPCに対するアンチウイルスサービス、モバイルPCの盗難、紛失時の情報漏洩を防ぐ遠隔データ消去サービスなどの「端末向けサービス」、“mofiria”によるIT資産管理サービス、ライセンス管理、セキュリティパッチの適用やポリシー運用の状況確認などの随時確認などの「管理業務向けサービス」、サイバートラストの証明ソリューションと“mofiria”を組み合わせた個人証明サービスにより、DRMサービスや時刻認証サービスなどの「企業間ネットワーク向けサービス」などの提供を計画しているという。

 また、今後は、トレンドマイクロ、綜合警備保障(ALSOK)、サイバートラストなどとのパートナー各社との連携により、共同でサービス提供のための標準フレームワークの開発、サービス提供を行なう考えだ。

 インスパイアの高槻亮輔代表取締役社長は、「“mofiria”は、快適な操作性、超高速、高精度、超小型を実現した、これまでの静脈認証の常識を変えた技術であり、本人認証をユビキタス化することができる。まったく新しい市場を創出できるだろう」とした。

 また、大塚商会の片倉一幸取締役兼専務執行役員は、「さまざまな生体認証を研究した結果、静脈認証は技術的に成りすましの可能性が低いと考えている。これまで移動系機器には、高額なセキュリティ投資が必要となっていたが、“mofiria”を利用することで、これを解決できる。Biz Security Serviceによるシングルサインオン基盤の提供、Social Securityによる高度セキュリティ認証基盤を提供する。現時点では、“mofiria”は、技術発表に留まっているが、ソニーからの製品化のタイミングを待って、どのアプリケーション、どのメーカーと手を組むかを明らかにしたい」としている。

mofiriaを利用したビジネス展開 mofiriaを基板とするビジネスサービスの可能性
大塚商会が提供するサービス 企業内ネットワーク向けサービスとマネジメントサービスでmofiriaを展開

□大塚商会のホームページ
http://www.otsuka-shokai.co.jp/
□インスパイアのホームページ
http://www.inspirecorp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.inspirecorp.co.jp/newscenter/2009/0202/
□関連記事
【2月2日】ソニー、小型で高速高精度な指静脈認証技術
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0202/sony.htm

(2009年2月3日)

[Reported by 大河原克行]

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