本城網彦のネットブック生活研究所

第11回 画面が大きくなった新しいLaVie Light




●老舗NECの2代目ネットブック

 NECといえばワンボードマイコンのTK-80、パソコンの元祖PC-8001、そしてPC-9801と日本のパソコンの歴史を語るのになくてはならないメーカーだ。筆者も随分お世話になった。そのNECが作ったネットブックが、このLaVie Light。いろいろ制約が多いネットブックを、どのように味付けしたのか見てみたい。

「LaVie Light SA6」
ソリッドブルー
付属品一式。ACアダプタが他社のネットブックと比較すると大きめ。リカバリCDは付属しない

 主な仕様は、多くのネットブックと同じで、CPUにAtom N270(1.60GHz)、メモリ1GB、HDD 160GB、チップセットにIntel 945GSE Express、10.1型ワイド液晶、OSにWindows XP Home Edition ULCPC版を搭載している。インターフェイスはUSB 2.0×3、ミニD-Sub15ピン、IEEE 802.11b/g無線LAN、Ethernet、SDカードスロット、131万画素Webカメラ、音声入出力を備えている。パワーオフUSB充電機能が、目新しいぐらいで、標準的な仕様だ。ここまでは旧型とまったく変わらない。

 バッテリ駆動時間は約3時間。本体サイズは250×176.5×31.3〜36.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.16kg。8.9型の前モデルもサイズが同じで、駆動時間が約2.6時間、重量は1.17kgだったから、ごくわずかであるが、バッテリ駆動時間が延び、重量も軽くなっている。

 実際持った時も片手でひょいと持ち上がり、ズッシリした雰囲気ではない。これは丁度Eee PC 901-Xと似た感覚で、同じ10.1型でも一回り以上も大きくドッシリ重い1000H-Xとはかなり異なる印象だ。8.9型の901-Xと比較して少しだけ大きくなっているものの、逆にこのサイズと重量で10.1型なのはバランス的にも良くまとまっているのではないだろうか。

 ボディのデザインはシンプルで、安っぽくもないが高級感もない。ただ以前、エプソンダイレクト「Endeavor Na01 mini」の時にも書いたが、長期に使っても飽きがこない仕上がりではある。天板は少し指紋が目立つものの、ほかの部分はマットになっているため気にならない。

 更に今回のモデルから、従来の「パールブラック」に加えて、「フラットホワイト」、「ソリッドピンク」、「ソリッドブルー」と4色から選べるようになった。これも幅広いユーザーに対応するには見逃せないポイントだろう。今回届いたのはソリッドブルーなのだが結構可愛い感じでなかなか良い。また満員電車でも安心な面加圧150kgfをクリアする高い堅牢性も日本の特殊事情にマッチする。

 もともと17mmのキーピッチを保つため、前モデルでは8.9型液晶にも関わらず、ボディのサイズを少し大きめに作り余裕を持たせていた。その分、パネルの周りが空いてしまいデザイン的にはイマイチで、'90年代のPC98ノートみたいだったが、今回のモデルでは10.1型のパネルに変わり、全体的にうまくまとまった感じがする。カラーバリエーションの追加もあって、新鮮な印象を受ける。

 そこまで拘ったキーボードの感触であるが、かなり打ちやすい。ストロークは浅めで軽く、筆者の好みとは異なるものの、一般的には好む人も多いだろうと思える感触だ。タッチパッドの位置も良く、ホームポジションに手を置き入力を始めるとジャストフィットする。

 日頃使っている、Eee PC 901-Xや1000H-Xとキーボードを比較した場合、キーの小さい901-Xに比べると圧倒的にLaVie Lightの方が打ちやすい。

 ただ1000H-Xと比較した場合は、1000H-Xのキーボードがしっかり固定されているのに対して、901-XとLaVie Lightは全体的に若干たわむ。この点は改善を望みたい。また、キー数が1000H-Xに比べると少なく、1000H-Xでは独立している[PrintScreen]キーがLavie Lightでは[Fn]キーとの組み合わせになってしまう。使用頻度の低いキーなので実用的には問題ないが、余裕の差があるということだろう。

 タッチパッドのボタンは左右にあるタイプで、正直使い辛い。タップで左ボタン、タッチバッドの設定/タップゾーンでパッドの四隅を右ボタンに割り当てられるのでこれを多用することになる。個人的にはこの四隅をタップゾーン、端を使いスクロールするパターンより、MacBookやEee PCのように3本指でタップすると右ボタン、2本指でスクロールするジェスチャー式の方が好みである。

キーボードは、キーピッチ17mmを確保した88キー。タッチパッドのボタンは左右にあるタイプだ 周囲と中央にあるネジ9本、バッテリを外した部分にあるネジ3本を外すと、メモリとHDDにアクセスできる。バッテリは11.1V/2,300〜2,400mAh 本体右側面。メディアリーダ、USB×2、Ethernet、電源入力
本体左側面。ヘッドフォン。マイク、USB、VGA出力、ロックポート パワーオフUSB充電の設定パネル。本体がパワーオフでもUSBのバスパワーはオンのままで、iPodなど周辺機器の充電ができる 新旧のボディは、まったく同じで液晶パネルのサイズだけ違う

 プリインストールしているアプリケーションは、いかにも同社らしく、初心者に優しい設定だ。中でも、サポート情報、PC診断、アップデート情報、おトク情報などを管理する「121ポップリンク」、簡単にやりたい事にアクセスできる「LaVie Light メニュー」、わかりやすい解説の「サポートナビゲーター」、この3つは同社のノウハウが生かされている部分で海外勢には無い気配りのように思う。

 なお、リカバリCDは付属しない。リカバリイメージとしてHDD内に別パーティション、3.75GB/FAT32が割り当てられている。セキュリティ関係は「Symantec AntiVirus」と「ウィルスバスター2008」(90日期間限定版)が付属する。

121ポップリンク LaVie Light メニュー サポートナビゲーター
スピーカーが正面を向いているのはネットブックとしては珍しい

 筆者的に興味深かったのはスピーカーの位置だ。多くのネットブックはフロントを薄くした結果、スピーカーが側面に入らず、底の左右に配置しているケースが多い。机の上に置いて使っていれば音は机に反射し手前に出てくるのだが、膝の上などで操作した場合、音が下方向へ抜け聞きにくかったり、音量不足になったりする。しかしこのLaVie Lightはあえてフロントの側面を薄くせず、そこへ各種インジケータと左右にスピーカーを配置している。従って常にスピーカーは前を向いているので音が非常に聞きやすい。設計担当者はキーボード、添付ソフト、そしてこの部分に拘ったのではと勝手に想像している。

 若干気になるのは、左側中央にある排気口。割とファンの音が聞こえ、冬場でも暖かいエアーが排出されている。積極的にファンを回すタイプのようだが、もう少し静かな方が良い。逆によく冷やしているためか、PC本体のどこかが熱くなるようなことはなかった。

●8.9型搭載機と10.1型搭載機の違い

 8.9型液晶パネルモデルと10.1型液晶パネルモデルでどのように違うか見ていこう。あえて冒頭で触れなかったのだが、この10.1型液晶モデルは、画面の解像度の縦方向が減り、576ドットしかない。これはハイビジョンの16:9の比率に合わせた解像度。もともと8.9型モデルは1,024×600ドット(WSVGA)で、一般的にウェブサイトなどは1,024×768ドット(XGA)に合わせて作られているものが多く、縦600ドットでも168ドットも不足となり、縦方向の一覧性を鈍らせている。それが24ドットとは言え更に減るのは非常に痛い。実際どの程度の違いが出るのか、写真でご覧頂ければと思う。

 筆者自身、この1,024×576ドットと言う解像度は今回初めて。WSVGAの1,024×600ドットでも少しでも見えるよう、タイトルバーを細く、ブラウザでツールバーやステータスバーをOFFにしたり、[F11]キーで全画面表示にするなど、できるだけ広くする工夫をして使っている。そこにマイナス24ドット。表示するフォントにもよるが、1.5〜2行分減ることになる。

 ところが意外に使ってみると明らかに狭くなったという印象はない。確かに2台を並べて比較すると狭いのだが、ネットでいろいろなページを表示しても、もともとWSVGAの狭い画面に慣れているせいなのか、更に24ドット狭くなっているとは感覚的に思わなかった。逆に画面が大きくなった分、見やすいと感じた。

 輝度や色に関しては10.1型の方が明るくコントラストも高い。ただ色はどちらも微妙で、10.1型は青っぽく更にグリーン被り、8.9型はマゼンタ被りだ。いずれにしてもLaVie Lightに限らず、多くのネットブックの画面の色はかなりいい加減だ。これから初心者が購入するケースも増えると思われるので、もう少し工場出荷状態でsRGBに近い色で調整してほしい。

画面のプロパティの比較。10.1型(左)、8.9型(右)。使ってみるとこの24ドットの差は意外と小さい
同じWebページを表示した状態。画面のCrystalDiskMark 2.2の数字が丁度半分欠けているのが解る
少し曲がってしまったが、10.1型では文字の高さが約3mm、8.9型では約2mmぐらいで、わかるぐらいの差はある ディスプレイの反射の違い。10.1型は強烈にキーボードが映りこんでいる。これはさすがに使い辛い

 それより気になったのは液晶パネルの反射の方だった。8.9型液晶はノングレアタイプであまり映り込みを気にしないで済んだのだが、この10.1型はグレアタイプで、まるで鏡のように映り込む。比較している写真をご覧いただければわかると思うが、キーボードがはっきりと映っている。光らない物体がこれだけ映りこむのだから、蛍光灯など光源が背景にあるときはハッキリと写り込んでしまう。

 一言で言えば、8.9型の前モデルはメールなどの文字作業向け、10.1型の新モデルは映像向けになったということだ。ただ、ネットブックの場合、動画再生能力などに制約があるので、液晶だけ先走ってAV志向にされても困ってしまう。メールとWebを中心に考えるのであれば、ノングレアタイプの採用を考えて欲しい。

 ただ、このグレアタイプの10.1型1,024×576ドット液晶は他社でも採用しているケースが増加している。16:9を優先する別の用途があってコストが安いなど、何らかの事情があると思われる。どうせ16:9にするのであれば、ネットブックへの制約を少し緩めて、1,280×720ドットが標準になって欲しいものだ。

 速度面で違いが無いか念のため、両機種でのベンチマークテストを行なった結果は以下の通りだ。ご覧のように全く同じと言っても良い値なので、ハードウェア的には液晶パネルだけが違うと考えて間違いないだろう。

左が旧型、右が新形のHDBenchの結果だがほとんど差はない。HDDはどちらも東芝MK1652GSX

●安心感のあるネットブック

 同社のノウハウを生かしたネットブックのLaVie Light。初めて使った印象は、おおむね良好な印象だった。

 初心者を意識したパッケージングやアプリケーション、そして裏蓋が簡単に外れ、メモリやHDDに簡単にアクセスでき、メモリの増量やSSD化なども安易と、初心者から上級者まで楽しめ、NECとしてのサポートも期待できる。LaVie Lightは、10.1型ネットブックとして幅広い層にお勧めできる製品だ。

 あえて言えば、新しく採用された10.1型液晶の解像度と反射については、ちょっと残念なところもあった。デザインのバランスは良くなっているので、液晶については実機に当たられることをお勧めしたい。

□関連記事
【1月13日】NEC、10.1型液晶と4色カラバリの新型「LaVie Light」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0113/nec1.htm
ネットブック/UMPCリンク集(NEC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/umpc.htm#nec

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(2009年2月2日)

[Reported by 本城網彦]


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