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2009 International CESレポート【SDXC編】

2TBの大容量と300MB/secの高速を実現するSDXC

SD Associationのブースに展示されていたSDXCの最大容量2TBのモックアップ

会期:1月8日〜11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center/The Venetian



 SDカードの規格の策定、普及などを目指すSD Associationは、International CESにおいて新しいSDカードの規格であるSDXCの仕様を策定したことを明らかにした。SD AssociationはPanasonic、SanDisk、東芝の3社により創始された団体で、SDカードの規格の策定の他、ロイヤリティの管理、SDカード普及に向けたマーケティングなどを行なっている。

 今回はSD Association マーケティング共同議長 中野一典氏(東芝 セミコンダクター社 技術企画部 システム技術企画部 システム技術企画担当 参事)にSDXCの規格が策定された背景や技術的な詳細などを伺ってきた。

●ユーザーの大容量化のニーズに応えることができるSDXC、最大で2TBに対応

 中野氏によれば、今回のSDXCの仕様が策定された背景には既存のSDHCでは実現できない大容量化、高速化という2つの背景があるという。

 「既存のSDHCではファイルフォーマットにFAT32を採用しており、32GBまでしか対応できない。しかし、ここ数年、特にビデオカムコーダ、一眼レフデジタルカメラなどを中心により大容量化のニーズが高まってきており、新しい規格としてSDXCを策定することになった」(中野氏)との通り、例えば一眼レフデジタルカメラで撮った写真をRAWで記録する場合には、1つのファイルでも巨大な容量になり、既存の32GBのSDHCでもすぐ一杯になってしまう可能性がある。例えば報道のプロカメラマンなどであれば、大容量化してほしいというニーズがあるのだろう。

 もう1つはデジタルビデオカムコーダのように、大容量のマスストーレジとしてのニーズも充分に考えられる。ここ数年、ビデオカムコーダは従来のテープからHDDやSSD、SDカードなどのメモリカードへの移行が進んでいる。特にストレージにメモリカードを利用した製品は、製品自体にストレージを装着する必要がないため、低コストで製造することが可能になるため、製品としては増えつつある。そうした製品でも、できるだけ長時間録画したいというユーザーニーズを満たすためには、メモリカード自体が大容量化するに越したことはない。

 また、PCユーザーにとっては、ネットブックのようにメインのストレージが8GBや16GBのSSDなどとあまり強力ではないノートPCを利用する場合、内蔵されているカードリーダーに16GBや32GBのSDカードを挿入して利用するというニーズもある。例えば、AcerのAspire oneにはSDカードスロットが2つ最初から用意されており、うち1つはセカンダリのストレージで使われることを前提にした設計が行なわれている。現時点では最大32GBと充分な容量ではないが、今後64GB、128GBと増えていけば、家で利用しているノートPCから、出かける前にSDカードにコピーし、それをネットブックやミニノートなどと一緒に持ち歩くなどのニーズも実現できるだろう。また、後述するような高速化が実現されれば、SDXCカードをSSD的に使うというニーズも充分に満たすことができる。

 こうしたニーズをふまえ、SDXCでは最大で2TBまで対応することができる。「現時点ではこの2TBの壁がいつ破られることになるのかはわからないが、それなりの期間をカバーできることができると考えている」(中野氏)とのことだが、フラッシュメモリがムーアの法則を上回る1年で倍になる速度で進化していることを考えても、2008年のSDHCカードが最大32GBとして2TBに到達するのは2014年という計算になる。今のペースが維持されると考えても今後5年間は大丈夫な計算だ。

SD Association マーケティング共同議長をつとめる東芝 セミコンダクター社 技術企画部 システム技術企画部 システム技術企画担当 参事 中野一典氏 SD Associationのブースに展示された64GB〜2TBまでのSDXCカード

●ファイルフォーマットにはexFATに対応、既存のPCでも対応できる可能性はあり

 ただし、新しい規格ということで、既存製品との互換性に関してはユーザーとしては気になるのではないだろうか。中野氏によれば「SDHCのときもそうだったが、今回も下位互換性を重視している。つまり、新しいSDXCに対応したホストではSDXC、SDHC、SDのすべてが利用できるが、既存のSDHCまでに対応したホストではSDXCは利用することができない」とのことで、基本的には下位互換性の実現となる。

 SDXCの仕様ではホスト側(PCやカメラなどの機器)のコントローラのバージョンが新しくなっており、後述する速度も含めたSDXCの機能をフルに利用しようと考えているのであれば、SDXCに対応したコントローラを搭載したホストが必要となるのだ。

 ただし、既存のSDHCに対応したホストでも、OS側が新しいSDXCで利用されるファイルフォーマットに対応している場合には、SDXCカードが読み書きできる可能性はある。「SDカードではFAT16、SDHCではFAT32というファイルフォーマットを採用してきており、SDXCでは下位互換性を実現するためにFAT32の拡張版となるexFATを採用している。ホスト側のOSなどがexFATに対応しているのであれば、既存の製品でもSDXCカードを読み書きできる可能性はある」という。

 特にPCのようにOS自体がバージョンアップできる機器などの場合、OS側がexFATに対応すれば速度に関してはSDHCと同等ながらSDXCを読み書きできる可能性がある。実際、MicrosoftはWindows Vista Service Pack1においてexFATに対応済であり、SP1以降のOSを搭載しているPCであればSDXCが読み書きできる可能性がある。

 「可能性がある」と書いたのは、必ずしも機器メーカー側やSD Association側では保証の限りではないからだ。特に、デジタルカメラやビデオカムコーダ、TVのような家電機器の場合にはOSではなくファームウェアになっており、ファイルフォーマットに関しては変更がきかない場合がほとんどだからだ。このため、デジタルカメラやビデオカムコーダに関しては対応の新しい製品を購入する必要があるが、PCに関してはそのまま利用できる可能性がある、と理解しておけばいいだろう。

●まずは50MB/sec、104MB/secを実装し、遅れて300MB/secの仕様を策定

 SDXCのもう1つの特徴は、転送速度の向上だ。中野氏によれば「SDXCでは、50MB/sec、104MB/sec、300MB/secという3つの転送モードが規定されている」とのことで、従来のSDHCの最大20MB/secに比べて大幅に高速化されているのが特徴となっている。ただし、この転送速度は理論値であり、実際の転送速度は内部のフラッシュメモリのスピードなどにも依存するので、「実際には半分程度が想定されている」とのことだ。

 なお、3つの転送速度のうち、最初の段階のSDXCで実現するのは50MB/sec、104MB/secの2つの転送モードだ。「現在策定を進めている最初のSDXCの仕様では50MB/sec、104MB/secの2つの転送モードを実装する。300MB/secに関しては年末までに策定する次のリビジョンで対応したい」としており、最初に発売されるSDXC対応製品では300MB/secのモードはサポートされない。これは、開発のリードタイムを重視したためで、まずは104MB/secを実現し、今年末の300MB/secの仕様策定後に登場する製品で300MB/secを実現しようと考えているのだ。

 ただし、104MB/secや300MB/secのような高速な転送モードをサポートする場合、転送バス自体が高クロックになるため、「(消費電力が)W単位で上がってしまう場合もある」という。

 このため、実際に仕様上用意されても、デジタルカメラやデジタルカムコーダなどのモバイル機器では、高速モードに対応するのはハイエンド製品などに限られる可能性がある。これに対して、PCやTVなどの据え置き機器の場合には、消費電力はさほど問題ではなく、大容量のデータを高速に転送できるメリットは小さくないので、積極的に実装され利用されることになるのではないだろうか。

 なお、SDHCではClass 6やClass 4、Class 2といった転送速度に応じてクラス表示がされ、ユーザーに性能がわかりやすく表示されていたが、SDXCでどうするのかはまだ議論中であるとのことだった。「現行のSDHCのクラス表示がエンドユーザーに浸透しているのかも含めて、SD Associationの中で議論をしている」とのことで、今のところどうなるのかは決定していないとのことだった。ただ、「何らかの形でわかりやすい表記は考えたい」と、表記自体は用意される方向とのことだ。

●第1四半期中に最終的な仕様を策定し、その後対応製品が登場へ

SD Assocationに展示されたSDカードのロードマップ

 なお、SD Associationが配布している資料にはminiSDXCに関する記述はないが、中野氏によればminiSDXCの規格自体は仕様書に存在しているという。「仕様上はminiSDXCも実現可能だ。ただし、すでにminiSDに対応した機器がほとんどなく、microSDに移行している現状の中で、積極的にマーケティングしていく理由がないと考えている」としており、実現の可能性は低い。

 中野氏によれば、300MB/secの転送モードを除くSDXCの最終的な仕様は第1四半期中に策定される予定だという。気になるのは対応する機器がいつ出るかだが、「我々はセットメーカーではないので、機器がいつ登場するかをお話することはできない。しかし、仕様策定が終了すればいつ製品が登場しても不思議ではない」とのことなので、第2四半期以降に対応機器やカードが登場すると考えておけばいいだろう。

 カード側に関しては、大容量のフラッシュを搭載しexFATでフォーマットするだけでよく、すでに16GBのmicroSDHCが登場していることを考えれば、64GBのSDXCカードに関してはいますぐでも実現可能だろう。機器側に関してはSDXCに対応したコントローラが必須だが、それさえ揃えば難しいことではない。中野氏は「一眼レフデジタルカメラのメーカーなどがこうした大容量の規格には前向きだと考えている。最初の製品はそのあたりになるのではないだろうか」と語った。

□SD Association(英文)
http://www.sdcard.org/
□関連記事
【1月8日】最大2TBを実現するSDカード上位規格「SDXC」(AV)
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20090108/sdxc.htm

(2009年1月13日)

[Reported by 笠原一輝]

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