ゲーミングPC Lab.

マウスコンピューター「MDV ADVANCE ST 6100S」
~低予算でCore i7を導入できるショップブランドPC




MDV ADVANCE ST 6100S
※ディスプレイは別売


 マウスコンピューターからCore i7搭載BTOパソコンが早くも予告された。それが「MDV ADVANCE STシリーズ」だ。11月18日に発表され、現在ダイレクトショップにてデモ機の展示も開始している。

●Core i7のエントリーモデル

 今回借用した、「MDV ADVANCE ST 6100S」(以下、ST 6100S)の評価機は、CPUにCore i7のエントリー向けモデル「920」を採用し。そのほかマザーボードにIntel X58 Expressチップセット搭載製品、2GBのPC3-10600メモリを3枚で計6GB、1TBのHDDやGeForce 9800 GT、OSにVista Home Premium SP1 64bit版などを搭載する。この構成で価格は159,600円。おそらく正式販売となれば同社の従来製品同様、構成のカスタマイズに対応してくるものとみられる。

【表1】MDV ADVANCE ST 6100S評価機のスペック
CPU Core i7 920
メモリ PC3-10600 2GB×3
HDD 1TB
チップセット Intel X58 Express
GPU GeForce 9800GT(512MB)
光学ドライブ スーパーマルチDVDドライブ
OS Windows Vista Home Premium 64bit
価格 159,600円

 このほかゲーミング向けモデルにCore i7 940とともにGeForce 9800 GTX+のSLI構成、Blu-ray Discドライブ、Vista Ultimete SP1 64bit版などを組み合わせた「MASTERPIECE V1000EV1-WS」もある。

搭載CPUはIntelの最新クアッドコアプロセッサCore i7 920(2.66GHz) HyperThreadingテクノロジにより、デバイスマネージャからは8つのコアを持つプロセッサとして認識される

 ST 6100Sはミドルタワー筐体だ。カラーリングはブラックで、一部はピアノブラック、ほかの部分はアライン加工されており質感も良い。ちなみに、MASTERPIECE V1000EV1-WSは筐体が異なる。ST 6100Sの筐体はシンプルなのが特徴だ。ただし内部スペースは広く、Core i7用のひとまわり大きなマザーボードも十分に搭載できる。また、ベイは5インチが4基、3.5インチが3+2で計5基備えており、拡張性も十分だ。電源は容量580Wのものを搭載している。

4基の5インチベイを搭載しているが、4段目のベイにはスイッチやインターフェイスに用いられている。全体的にはピアノブラック的なカラーリングで、フロントスイッチパネル部にはヘアライン加工も施されており質感も良い 本体下部のロゴシール。Core i7搭載をアピール 本体背面。ATXフォームファクタに準拠しており、上部に電源、I/Oパネル横にファン、下部に7基分の拡張スロットというオーソドックスなスタイルだ
ケース自体には特にギミックは無く比較的シンプル。大型なマザーボードを搭載可能としつつコンパクトにまとめている印象だ 3.5インチシャドウベイは5段。間隔に余裕のある下3段がHDD用で、その直上2段はやや間隔が狭いもののHDDの搭載も可能だ 電源は容量580W。また、PCI Expressグラフィックスカード用に6ピン補助電源コネクタ1基を備えている。このあたりは将来的により高性能なGPUへと交換を検討している場合にやや心許ないかもしれない。また、背面ファンは12cmサイズの大型ファンを搭載

 評価機に搭載されていたマザーボードはMSI製の「Eclipse SLI」。MSIのIntel X58マザーボードの中では上位の製品にあたり、3本のPCI Express x16スロットによるマルチGPU、もしくは2枚構成までのSLI/CrossFireXに対応しているのが特徴だ。メモリスロットは6本ある。ただ、モジュール自体はDDR3-1333対応とされているが、CPU-Zから動作モードを確認したところ、DDR3-1066動作となっていた。このあたり製品版でどうなるのか気になるところだ。ビデオカードはGeForce 9800 GT。セグメント的にはミドルレンジだが、コストパフォーマンスの高さが魅力だ。HDDはSATAインターフェイスで容量1TBのHGST製「HDS721010KLA330」。光学ドライブは日立LG製の「GH20NS10」。SATA接続でDVD-R書き込み速度は20倍速。そのほかEclipse SLI付属のSound Blaster X-Fi Xtreme Audioサウンドカードが搭載されている。

マザーボード部分の拡大。マザーボードは、DrMOSのロゴや拡張スロットレイアウトから、MSI製の「Eclipse SLI」であることがわかる。Eclipse SLIは6本のメモリスロット、黒い2本のPCI Express x16スロットに青い1本のPCI Express x16スロット(x4帯域)によるマルチGPUが構成可能。SLI、CrossFireXの双方に対応するとされている 3枚搭載されているメモリは、トランセンド製のDDR3-1333(PC3-10600)モジュール。製品のシールからはCL9動作であることがわかる CPU-Zからの情報ではメモリはDDR3-1066動作となっていた。その関係か、アクセスタイミングもCL8だ
ビデオカードはGeForce 9800 GTを搭載。ファンシンク表面にシールが貼られていないが、シールなどの情報からおそらくECS製の「N9800GT-512MX」と思われる。もっとも、このあたりは製品ロットによって変わる可能性もある HDDは7,200rpm、容量1TB。搭載されていたのはHGSTのDeskstar 7K1000シリーズ「HDS721010KLA330」。容量的に今は1TBが一番コストパフォーマンスが高くなってきている 拡張スロット最下段にはEclipse SLI付属のSound Blaster X-Fi Xtreme Audioカードが搭載されている。高音質で定評のあるサウンドカードだ

●パフォーマンス

 ST 6100Sの場合、Core i7のエントリー向けと言えるのだが、それでも最新プラットフォームだけあってパフォーマンス的には十分なものである。実際のベンチマークスコアを見ていこう。

【表2】ベンチマーク結果
Lost Planet Extreme Condition(DX10) Snow Cave
1,920×1,200ドット 38 50
1,600×1,050ドット 49 66
1,280×800ドット 75 92
Crysis(DX10) CPU GPU
1,920×1,200ドット 14 21
1,600×1,200ドット 17 25
1,280×1,024ドット 22 33
World in Conflict(High)
1,920×1,200ドット 28
1,600×1,200ドット 32
1,280×1,024ドット 40
3DMark06
1,920×1,200ドット 10321
1,600×1,200ドット 10936
1,280×1,024ドット 12688
FINAL FANTASY XI Official BenchMark
High 8805
Low 10603

 DirectX 10タイトルでは画質設定をHighにしている。ロスト プラネット エクストリーム コンディション,ではプレイに十分なスコアを出しており、国内メジャータイトルを楽しむぶんには申しぶんない。CrysisやWorld in Conflictのスコアを見ると、こちらはGeForce 9800 GTではやや心許ない結果だ。このクラスのタイトルを楽しむには画質設定、解像度をやや下げた方がよいだろう。DirectX 9以前の環境では、FINAL FANTASY XI Official BenchMark、3DMark06ともに十分なスコアを出している。

●低予算で新プラットフォームを導入したい人向け

 総評として予算のかさむ新プラットフォームの移行を低価格からというST 6100Sのコンセプトを評価したい。159,600円という予価が出ているが、OSを32bit版に、メモリを3GBに、HDDを500GBに抑えた「MDV ADVANCE ST 6100B」もラインアップされており、こちらも注目だろう。Core i7導入としてはエントリー向けとされるST 6100Sだが、最新FPSゲームタイトルを除いてパフォーマンスは十分ある。

 最新FPSゲームタイトルをより高解像度、より高画質で楽しみたいという場合には上位モデルのMDV ADVANCE GT 7000シリーズやMASTERPIECE V1000EV1-WSが候補になるだろう。MDV ADVANCE ST 6100SではSLIおよびCrossFireXをサポートするEclipse SLIを採用しているのだが、ネックとなるのが電源ユニットだ。標準搭載のCOMPUCASE HEC-580TD-TFは静音で、この構成では十分なコネクタと容量ではあるのだが、デュアルビデオカード構成では容量と、補助電源コネクタの数に不安がある。将来的に拡張する際は、電源ユニットの交換が迫られると思われる。ただし、ベースが自作PCパーツであるため、電源ユニットすらも容易に交換できる点から、あまり問題となるわけではないことも付記しておこう。

□マウスコンピューターのホームページ
http://www.mouse-jp.co.jp/

(2008年11月18日)

[Reported by 石川ひさよし]


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