[an error occurred while processing the directive]

【WinHEC 2008】基調講演レポート

強固な基盤を提供するWindows 7

Windows Core Operating System Division担当上級副社長Jon DeVaan氏

会期:11月5日~7日(現地時間)

会場:米国 Los Angeles Convetion Center



 前週のPDCに引き続き、米ロサンゼルス・コンベンションセンターにおいて、11月5日(現地時間)から3日間、Microsoftのハードウェア開発者向けのカンファレンス「WinHEC 2008」が開催されている。規模こそPDCの半分強程度だが、クラウド関連の話題が目立ったPDCに比べ、内容的にはほぼWindows 7一色に染まった印象のセッション群に、ソフトウェア開発者とハードウェア開発者のスタンスの違いが感じられる。

 今年で14回目を迎えるWinHECだが、初日の基調講演は、まず、General Managerとして、Windows Planning and PC Ecosystem Teamを統括するMike Angiulo氏がステージに上がり、観衆であるハードウェア開発者に対し、Windows 7に向けて、一丸となって成功させようと檄を飛ばした。

●強固なファウンデーションを提供するWindows 7

 Aniulo氏の紹介で、最初のキーノートスピーカーとしてステージに登場したのは、Windows Core Operating System Division担当の上級副社長Jon DeVaan氏だ。DeVaan氏はWindowsは、多くのデバイスをサポートすることによるエコシステムで成り立っていることを示唆、つまり、ハードウェアパートナーあってのWindowsであることを明確にした。

VistaはSP1のリリース以降、急激にクラッシュレートが下がっていることを示すグラフ

 Windows Vistaの出荷当時を振り返りつつ話を始めたDeVaan氏は、VistaがSP1以降でクラッシュレートが激減していることを説明し、それがWindows 7の信頼性につながっていることをアピールした。その土台がそのまま7の土台になっていることが改めて確認され、マイルストーン3ビルドの信頼性、堅牢性、安定性が、この段階で相当強固なものになっていて、開発基盤として、安心して使えることを強調した。また、これによって、Windows 7を高品質な状態でオンタイムにリリースできる自信を見せた。

 Vistaでは、ドライバモデルが変更されたために、互換性の問題が発生し、移行に際してはさまざまな問題が発生したが、7ではそのようなことが起こらないとも断言、Windowsを支えるハードウェア業界のエコシステムが、以前のように完全に機能するようになるだろうとした。

 続いて、Vistaと7の比較に入ったDevian氏は、2つのスクリーンで起動の速さを比較するブートレースのデモを見せ、7がVistaよりも数秒速くブートすることを明らかにした。その理由としてデバイスドライバが並行してロードされる点、また、起動時に開始される各種のサービスがまさにオンデマンドで必要なものが先に動き始めることでブートスピードの向上に貢献していることを説明した。

 ステージでは引き続き、スクリプトによって大量のウィンドウを開く拷問テストのデモが行なわれた。Vistaと7で多くのウィンドウを開いた様子が比較され、クラッシュしてしまうVistaに対して、7はメモリの使い方の改良などでビクともしない堅牢性を実現している。

 また、DVD再生時の消費電力の比較デモでは、最適化の結果、7が13.4WでVistaが17.9Wと、ノートPCのバッテリ消費減に大きく貢献していることが示された。

 Devian氏は、多くのノートPCにおいて、公称値よりも実際のバッテリ駆動時間が少ないことに言及、本来の実力が出し切れていないことに触れた。7では、ノートPCにおける消費電力に関する改良については深くメスが入れられ、CPUの使い方がVistaに比べて大幅に最適化され、それがバッテリ駆動時間の延長につながっていることを、数々のデータを元に説明した。また、powercfgコマンドに、分析用の新たなオプションが用意され、バッテリ消費の犯人を突き止める新たな方法が提案されている。

 こうしたデモを見る限り、以前よりも、バッテリ運用時間について、相当気を遣って7の開発が進められていることがわかる。消費者がバッテリでの運用時間について、余計にコストをかけてもいいと感じていることに触れ、そこを徹底的に追求すれば、新たなビジネスチャンスが生まれるとまで言い切った。さらに、停止に応じない低品質なサービスがシャットダウンに要する時間を長くしたりすることにも留意し、デバイスドライバ等の開発の注意を促した。

 DeVaan氏は、特に米国内において64bit環境への移行が急速に始まっていることにふれ、デバイスドライバを開発するハードウェアパートナーに向け、その対応を要請した。

 ブートシーケンスから、運用中の安定度、そして、ノートPCのパワーマネジメントまでを極限まで考慮した新たな配慮、そしてシャットダウンに至るまでの7のファンデーション部分を駆け足で説明したDeVaan氏は、最後に、ノートPCとバッテリライフの重要性をもう一度確認した上で、早期に7を使って開発を進めてほしいとして、スピーチを終えた。

□WinHECのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/whdc/winhec/
□Microsoft PDC 2008レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/pdc.htm

(2008年11月7日)

[Reported by 山田祥平]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.