今回はタイマーIC「555」を使ってみましょう。 まず基本的な回路でLEDをチカチカさせた後、拡張してブザーを鳴らしてみます。最後にLED回路とブザー回路をつなげて、リズムマシーンを作ります。
555には2つの動作モードがあります。 1つは単安定動作モードと呼ばれ、時間を1度だけ測ります。ラーメンタイマーのようなものを作るときに使います。 もう1つは無安定動作モードです。「無安定」という言葉はこの連載の第6回にも登場しました。無安定マルチバイブレータ回路と同じように、ONとOFFを繰り返すのが、555の無安定動作モードです。 今回は無安定動作モードを利用して、LEDやブザーを動かします。まず、LEDを点滅させる回路をみてください。
電源は3V(ボルト)です。乾電池を2本使いましょう。回路図中のコンデンサC1の記号が、電解コンデンサではなく、普通のコンデンサ(たとえば積層セラミックコンデンサ)のものになっていますが、1μF(マイクロファラド)ならば、どちらでも使えます。LEDは赤色タイプにしてください。
電池をつなぐと、LEDがチカチカしはじめるはずです。我々が作った回路の場合、およそ3秒間に2回のペースでLEDが光りました。 しばらく眺めたら、改造に取りかかりましょう。抵抗器を半固定タイプに交換し、点滅スピードを変えられるようにします。
我々の回路では、一番ゆっくりチカチカしているときに、毎秒1回の周期で点灯しました。つまり1Hz(ヘルツ)です。半固定抵抗器のツマミを回すと、徐々にチカチカが速くなっていきます。 そして、あるレベルまで速くなると、チカチカではなく連続した光として感じられるようになりました。 もし、あなたのテスターに周波数を測る機能があるならば、チカチカが感じられなくなるときの値を調べてみると面白いでしょう。555の3番ピン(OUTPUT)に赤、1番ピン(GND)に黒のプローブを当てて測ります。個人差や周囲の環境による違いがあるはずです。
点滅スピードを上げていくと、この回路では毎秒60回近くまで達します。つまり60Hzです。この領域ではもうON/OFFを目で感じません。でも、視覚に代えて聴覚を利用すれば、さらに上の周波数まで感じることができます。 点滅スピードを最高にした状態でブレッドボードからLEDを抜きとり、代わりにブザーのリード線を挿してみましょう。低い音でブーと鳴るはずです。
次の回路図は半固定抵抗器で音の高さを変えられるようにしたものです。LEDがブザーに換わり、コンデンサC1は、より高い周波数が出るように小容量のものになっています。 C1に電気が溜まるスピードが周波数を決めています。C1を小さくするとすぐに電気が溜まるので周波数が上がります。R1、R2を小さくすると、C1に流れ込む電流が増えて、やはりすぐに電気が溜まるようになって周波数が上がります。
我々が作った回路では、可変抵抗器のツマミを回すと、100Hzから4700Hzの範囲で音が変化しました。周波数をいっぱいまで上げるとかなり耳障りですが、中間の領域では、なんとなく音楽的に感じられる音もあります。今回作った回路を組み合わせて、楽器を作ってみましょう。 まず2つ目の回路(可変速LEDチカチカ)をもう一度作ってください。それを3つ目のブザー回路に接続します。合体技により、LEDチカチカに合わせてブザーが鳴るリズムマシーンのできあがりです。
あるICの出力を別のICの入力とすることで、より複雑な回路が実現できます。ここでは、LEDチカチカの信号を、ブザー回路のリセット端子に入れています。LEDが光っている間はブザー回路が動作するので、音が出ます。LEDが消えている間はリセットがかかった状態となり音が出ません。 リセット機能をこんなふうに使うのは邪道な気もしますが、ほんのわずかの改造で楽しい機能ができあがりました。
最後に今回使った部品をまとめておきます。部品代は500円ほどでした。次回はこのリズムマシーンをさらに拡張して、もっと電子楽器らしく遊べるものにグレードアップしてみましょう。 【表】今回購入したもの
(2008年10月23日)
【PC Watchホームページ】
|