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国内ネットブック開発者インタビュー【NEC編】
目指したのは“NECならでは”のネットブック

LaVie Light


 ついに、NECがネットブック「LaVie Light」を発表した。台湾メーカーが先行していたネットブック市場だが、東芝、NECとナショナルブランド製品の登場で、いよいよ日本メーカーの反撃が始まりそうだ。

 NECのノートPCの商品企画を担当するNECパーソナルプロダクツPC事業本部商品企画本部商品企画部・情野謙一マネージャーは、「シェアを獲得できる商品を作りたかった」と話す。NECが考えたシェアが獲得できるネットブックとはどんなものなのか。

●国産商品を待っているユーザーがいる

NECパーソナルプロダクツ 情野謙一氏

 「ネットブックが海外で支持されるのは想定していました。だが国内市場でどう受け入れられるのか、きちんと見極める必要があると考えたのです」。LaVie Lightの企画を担当した情野マネージャーは、NECが台湾勢に比べて遅れてネットブックを投入することになった背景をこう説明する。

 「マニアユーザーだけが利用する一過性のものとなる可能性もある」というのがNECの見方だった。ところが、ご存知の通りネットブックの売れ行きは現在まで止まる気配がない。

 「当社がノートPCを購入予定のユーザーを対象に市場調査をすると、国産ネットブックを期待するユーザーがたくさんいました。しかも、ノートPC市場を侵食しているのではなく、これまでの市場規模にプラスアルファする形で新しい市場ができあがっていることがわかりました。この調査結果から、NECとしてもネットブックを発売するべきだという結論となったのです」。

 NECの調査では、既存のA4ノートPCとネットブックのどちらを購入したいのかを調査すると、ネットブックの購入希望者は11%にとどまった。全てのユーザーが安価なネットブック購入を希望しているわけではなく、きちんとした棲み分けがなされているという結果となった。

 では、国産のネットブック購入希望者はどの程度いるのか。NECの調査では、国内メーカーの製品の購入を希望するユーザーが71%であるのに対し、外資系メーカー製を希望するユーザーは29%にとどまった。国産ネットブック登場以前にこれだけ多くの購入希望者がいることはNECにとっても驚きの結果だったようだ。

 ところで、国産ネットブックを待っている人は、国産製品にどんな期待を持っているのか。その具体的な中身を情野マネージャーは、「サポート力、品質という2点への期待」と指摘する。特にNECにはPCメーカーとして長い歴史と実績があるだけに、ユーザーが求めるのはその看板に相応しいネットブックとなる。それだけ期待を集めているからには、それを裏切らない品質を持った製品を開発することがNECには必須となったのである。

●“道具”にふさわしいシックでシンプルなデザインを採用

 国産商品に期待するユーザーを満足させるためには、デザインも重要な要素となる。

 「既存のネットブックはデザイン性が高いものは少ない。しかし、実際には携帯性が高いだけに、机の上だけでなく色々な場所に置かれることになります。デザインにもこだわりを持つべきだと考えました」。

 デザインについては当初7〜8種類の案があがった。

 「その中から案を絞り込んだのですが、全くネットブックらしくないオモチャのようなデザインもあれば、いかにもネットブックらしいデザインもありました。結局、商品化されたデザインを採用したのは最もシンプルさが際立ったデザインだったからです」。

 シンプルさを重視したのは、「ネットブックとは道具である」という見解があったからだ。道具に相応しく紙を束ねたフォルムのシンプルさ、持ち歩いて色々な場所に置いても浮かないシックな外観が重要と考えた結果、商品化されたデザインに決定した。

 シンプルなデザインではあるが、天板は細かいラメが入ったブラックパール塗装、キーボード周りにはつや消し塗装を施し、側面にもきちんと塗装を行なうなど細部にこだわったデザインとした。

B5の紙を束ねたようなシンプルなデザイン 天板はラメが入ったブラックパール塗装

 「ネットブックとしては後発となるので、あえて全くネットブックらしくないデザインにするという選択もあったと思います。しかし、ネットブックのメインユーザーがPC中/上級者であることを考えると、ターゲット層のお客様に似合うデザインであるべき。細部にこだわったのもそのためです」。

●シェアをとることを意識したスペックに

 NECらしいネットブックを作るために、最も配慮が必要となったのはスペック選択だ。

 「日本のメーカーであるNECにもネットブックが投入できることをアピールするためには、ボリュームゾーンのスペックを持った商品を投入するべきだという判断がありました。NECがネットブックを発売して、高スペックだが値段も高いでは駄目だと思ったんです。先行する台湾メーカーと正面から勝負していくために、ボリュームゾーンのスペック/価格の商品を発売し、ネットブック市場でもシェアを獲得していく。その意図のもとに決定したのが今回のスペックです。IntelやMicrosoftの意向でこのスペックとなったわけではなく、ユーザーニーズを鑑みて積み上げていったのがこのスペックだったのです」

 IntelのAtomプロセッサを採用し、画面は8.9型のWSVGA液晶、容量160GBのHDDを搭載。インターフェイスとしては3つのUSBポート、SDカードスロット、ミニD-Sub15ピンと、情野マネージャーの言葉通り、現在のネットブックの主流といえるスペックだ。足りないものを指摘するとすれば、Bluetoothくらいだろうか。

 「インターフェイスにBluetoothを搭載していないのはスペース的な問題です。実は開発に最も苦労したのがこのサイズでした。HDDまで入れてこのサイズとするためにバッテリサイズ、ヒンジ周りといった部分まで省スペース化を図っています。それを考えるとBluetoothの搭載はあきらめざるを得なかったのです」

 重量についても、軽量化は必要だが耐久性を重視した。部品を減らせば軽くなるが、持ち歩いて利用されることを想定すると軽量よりも頑丈さを優先しなければならない部分も出てくる。面加圧150kgfをクリアするために、ゴム足をつけ、LCDカバーとLCDクリアランスをとった。

 バッテリ駆動時間は2.6時間で、モバイル利用するには短い印象があるが、「バッテリサイズを大きくすれば駆動時間は長くなりますが、このサイズに収まりきらなくなります。バッテリだけ飛び出してしまうようなデザインとすべきではないと考えました。利用場面も、屋外に持ち出すというよりも、室内であちこちに持って歩いて使うという方が現実な使い方ではないかと考えました」という。

 地味な部分だがこだわったのはキーボードである。ネットブックに限らず、外資系メーカーの製品は日本人が長時間打つことを想定していないキーボードも多い。NECの場合、使いやすいキーボードを搭載しているという定評がある。ネットブックでも同様に使いやすいキーボードとした。

 「横幅はキーボード優先で決定しました。液晶の周囲の額縁サイズが大きすぎるという印象を持たれる方がいるかもしれませんが、これはキーボードサイズを優先した結果、こうなったのです。液晶サイズを8.9型ではなく、10型を採用すべきだったのではないかという意見があるかもしれませんが、10型液晶は潤沢に出回っていません。我々の選択肢には10型液晶は全く入っていませんでした」

●できることを明確にするためシェルメニューを用意

 LaVie Lightを利用することでどんなことができるのか。それを明確に示すために、「LaVie Lightメニュー」というシェルを用意した。メニューを搭載したシェルというと、PCの使い方がわからない初心者向けという印象がある。中/上級者がメインターゲットとなるこの製品にシェルメニューを用意した意図はどこにあるのか。

 「既存のノートPCとネットブックの違いはどこにあるのか、説明が難しいという声が販売店の方からあがっていました。価格が大きく違うので、違いを明確に説明できなくて困るというのです。そこでシェルメニューを用意することでネットブックにできることを明確に示したわけです。また、中/上級者といっても、初めてAtomプロセッサ搭載機を使う人も多いでしょうから、できることをイメージしてもらうことも狙いの1つでした」

 大きなアイコンで表示されたLaVie Lightメニューは、画面サイズが小さいネットブックでは通常の画面表示アイコンが小さく、見づらいことを考慮したという側面もある。

 こうした細かい配慮の積み重ねが、“NECらしさ”を実現するための要素となる。発売された製品が狙い通り台湾勢からシェアを奪っていくことができるのか、「商品を手にとって確認して欲しい」と情野マネージャーは訴えている。

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□製品情報
http://121ware.com/lavie/light/
□関連記事
【10月16日】NEC、同社初の8.9型ネットブック「LaVie Light」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1016/nec.htm
□ネットブック/UMPCリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/umpc.htm

(2008年10月16日)

[Reported by 三浦優子]

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