[an error occurred while processing the directive]

マイクロソフト、旭川市を「Webデザインの街」に
~Silverlightなどを活用

調印後握手する(左から)、マイクロソフトのデベロッパー&プラットフォーム統括本部長・大場章弘執行役、旭川市の西川将人市長、旭川ICT協議会・古川正志会長

10月14日 発表



 マイクロソフト株式会社は14日、旭川市の旭川リサーチセンターにおいて、旭川市および、38社のIT関連企業などが参加する旭川ICT協議会(AICT)との提携を発表。地域産業の活性化に向け、「Webデザインの街・旭川」構想の実現を目指すことを明らかにした。

 また、マイクロソフトは、旭川リサーチセンターに拠点を置く旭川産業高度化センターが新たに設置する「旭川ITジョイントセンター」内に「マイクロソフト イノベーション センター」を開設し、IT技術者育成支援などにも乗り出す。同イノベーションセンターは、調布、岐阜、札幌に次いで、4カ所目となる。

 旭川ICT協議会・古川正志会長は、「旭川市は、道内では札幌に続き、2番目の人口規模を誇るにも関わらず、産業規模や、IT関連の事業規模では、室蘭、函館に続いて4番目となっている。人口規模並の産業規模に成長させることが不可欠であり、そのためにはIT関連技術者の育成や、道外以外からのビジネス獲得が課題となっている」と語る。

協定書にサインするマイクロソフトのデベロッパー&プラットフォーム統括本部長・大場章弘執行役など3氏 3者がサインした協定書 旭川ICT協議会・古川正志会長

 これまでマイクロソフトは、旭川市旭山動物園、旭川ICT協議会とともに、動物の生態を伝えるWebコンテンツの構築で協力してきた経緯がある。

 2007年4月から、旭山動物園のWebサイトの一部として公開した「Mother Earth ~母なる地球」を共同で制作。WPF(Windows Presentation Foundation)を活用することで、動画やアニメーションによる立体的、かつ直感的な動物の生態を表現し、旭山動物園の魅力を伝えるとともに、3Dで再現された地球を通じて、野生にいる動物の生態を表している。

 現在、同サイトには、一日あたり15万ユーザーが訪れ、旭山動物園の動物本来の生態を伝えるというコンセプトに合致したコンテンツが人気を呼んでいるところだ。

Webデザインの街・旭川の考え方 今回の提携による「Webデザインの街・旭川」構想の具体的な取り組み 旭川ITジョイントセンターの役割

 今回のマイクロソフトとの提携では、こうした提携での実績を生かしながら、旭川市旭山動物園とAICTが、角川映画の協力のもと、マイクロソフトの最新Web技術であるSilverlightとPhotosynthを活用し、「旭山バーチャル動物園」をWebコンテンツの第1弾として制作するほか、人材育成の拠点として、株式会社旭川産業高度化センターが、「旭川ITジョイントセンター」を設立。さらに、マイクロソフトの最新Webデザインソフトウェアである「Microsoft Expression」の技術習得機会を用意し、これを経済産業省補助事業を活用した旭川デザイン協議会の方針にあわせたトレーニングとして実施する。

 そのほか、市内にある東海大学芸術工学部、旭川大学情報ビジネス専門学校において、マイクロソフトの最新Webデザイン技術に関するカリキュラムによる人材育成や、総務省関連の情報通信人材研修事業助成金による障害者向けSilverlight素材作成教育事業などの展開を行なう。

 さらに、マイクロソフトは、イノベーションセンターにおいて、Webデザインに関わるIT人材を育成するためのカリキュラムやトレーニング用ソフトウェアの提供などの支援を行なう。

 マイクロソフトのデベロッパー&プラットフォーム統括本部長・大場章弘執行役は、「ITを活用した地域活性化をはじめとする企業市民活動の一環として、また、Webデザインをテーマとするこみとで、インターネットをより使いやすいものへと発展させるという点が、今回の提携のポイント。マイクロソフトは支援する立場であり、この事業を成功へ導くためには、旭川市の方々の強い意志、パッション、リーダーシップに期待している」とした。

旭川リサーチセンターに設置される旭川ITジョイントセンター内に「マイクロソフト イノベーション センター」が置かれる マイクロソフト イノベーション センター。ここではIT技術者育成支援が中心となる マイクロソフトの執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長・大場章弘氏

 一方、旭川市の西川将人市長は、「ICT分野への取り組みが、地域の発展に寄与するものとして期待している。旭川市では、家具が地場産業として、100年以上続いており、この分野においては、デザイン性が追求されている。こうした実績も、Webデザインという領域で効果をもたらすだろう。旭川市のIT関連事業規模は56億円といわれるが、これを将来的には、100億円、200億円へと拡大させたい。そのためには、IT技術者育成が急務であり、Webデザインに関する技術ノウハウの集積も必要になる。まずは、Webビジネスにおいて、実績といえるものを創出し、それを足がかりに成長の地盤をつくりたい」とした。

 旭川市では、「国際家具デザインフェア旭川(IFDA) 」や「旭川デザインマンス」など、デザイン分野において、世界的なイベントを開催している実績もある。

 旭川でデザインに関する仕事に携わるクリエイターが参加する旭川デザイン協議会の伊藤友一専務理事は、「家具のデザインが注目される一方で、その家具を美しく撮影し、それを印刷することが求められている。これが、地元のカメラマンの腕をあげ、グラフィックデザイン産業が発展したという経緯がある。Webデザインにおいても差別化できる部分があるのではないか」と、今回の提携に期待を寄せる。

 AICTは、旭川デザイン協議会と連携を図りながら、人材育成事業や、デザイナーとクリエイターの共同開発などに取り組むほか、障害者に対するデザイン系の研修事業を展開し、技術習得による就労機会の創出を図るという。

 「旭川が強みとするデザインと、ITを融合させたWebデザインの分野で、Webデザインの街・旭川の実現に向けて、IT人材を育成し、Webデザインビジネスの集積を行ない、その結果、地域産業の活性化を目指す」(旭川ICT協議会の事務局を務める旭川産業高度化センターの平島淳嗣氏)としている。

旭川市の西川将人市長 旭川デザイン協議会・伊藤友一専務理事 旭川産業高度化センターの平島淳嗣氏

 一方、会見に参加した旭川産業高度化センター・吉田尚弘社長は、「マイクロソフトの支援によって開設したイノベーションセンターに魂を入れ、世の中に活用してもらえるよう努力したい」とコメント。今回の提携に、教育機関の立場から参加する東海大学芸術工学部・小川博教授は、「Webデザインでは、メディアとしていかに情報を伝達するかも重要な要素。GUIの観点から、ユーザーが求めるインターフェースの開発にも期待している」などとした。

 今回の提携によって、「2010年までに約100人の最先端技術を習得技術者を育成するとともに、来年早々には、マイクロソフトの最新技術を採用した新たなWebサイトを公開するといった実績につなげたい。旭川市には、多くの観光施設があり、こうした技術集積によって、旭川ならではの情報発信ができるのではないか。また、Webビジネスを足がかりにして、道外からの受注拡大といった動きを加速させ、市内のIT関連ビジネス全体の2割以上を、道外から獲得したい」(AICT運営委員共同開発部会長・関仁氏=コンピューター・ビジネス社長)としている。

旭川産業高度化センター・吉田尚弘社長 東海大学芸術工学部・小川博教授 旭川ICT協議会運営委員共同開発部会長・関仁氏

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3555
□関連記事
【2007年4月27日】【山田】空飛ぶペンギン、Webを泳ぐ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0427/config156.htm

(2008年10月15日)

[Reported by 大河原克行]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.