デル「Inspiron mini 9」フォトレビュー
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デル「Inspiron mini 9」 |
5月末に「ミニノートを計画中」と話題になったデルの「Inspiron mini 9」がようやく正式発表された。そのテスト機を入手したのでさっそく紹介したいと思う。なお、今回入手したものは、下位モデルの試作機。また、OSにUbuntu(Dellカスタマイズ版)を採用したものなので、実用面でのベンチマークなどは行なわず、外観やキーボードの使い勝手などを中心にインプレッションをお送りする。Windows搭載製品版のレビューは後日お届けする。
本体サイズは閉じた状態で232×172×16.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1,035g。手に持ってみたところ、コンパクトでかなり軽く感じた。重心位置もよく、抱えて移動する時は特に重さを感じない。本体色は、今回借りた光沢仕上げのパール・ホワイトとオブシディアン・ブラックの2つが用意される。高級感あふれる仕上げなので赤色やピンクなども追加して欲しいものだ。このかっこよさはもっと前に出すべきだと思う。
基本スペックは以下の通りで、ネットブックではまだ例の少ないBTOにも対応しているので、自分の用途に合わせてスペックを選ぶことができる。BTOの老舗ならではのプランニングといえよう。
OS | WindowsXP HomeEdition SP3/Ubuntu 8.04(デルカスタマイズ版) |
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CPU | Intel Atom N270 1.6GHz |
メモリ | 512MB DDR2-SDRAM/1GB DDR2-SDRAM |
SSD | 4GB/8GB/16GB |
グラフィック | Intel GMA950 |
無線LAN | IEEE 802.11b/g |
Bluetooth | オプション |
カードリーダ | SDカード(SDHC)/メモリースティック(PRO)/MMC |
本体色 | オブシディアン・ブラック/パール・ホワイト |
CPUはAtom N270、ストレージはSSD、グラフィックはGMA950と基本的なスペックは他のネットブックと変わりない。もちろん、SDカード(SDHC)/メモリースティック(PRO)/MMCに対応したカードリーダも搭載している。無線を見てみると、IEEE 802.11b/gを標準搭載。オプションにはBluetoothとウェブカメラがある。
BTOならではのメリットで、SSDが4GB、8GB、16GBと選べるので、OSは4GBのSSDに入れてあとはSDカードに入れておくというスタイルから、持ち歩く分だけ8GBのSSDにすべて入れておく、あるいは16GBのSSDとSDカードで巨大ファイルも持ち歩くこともできてしまう。SSDに関して、これまでの他社製品では選択肢が少なかったのでうれしく思うユーザーも多いだろう。
バッテリには4セルリチウムバッテリを採用し、最大で3時間40分の駆動時間が可能となっている。写真を見てもわかると思うが、4セルバッテリがキレイに収まるデザインとなっているので、6セルバッテリの登場はあまり期待できなさそうだ。電源アダプタは「サンプル」の文字が記載されていたので、本採用のモデルかは不明。少し出っ張りが目立つ形状だが、重量は約185gとすこぶる軽い。
横幅が短い4セルバッテリ | 本体へはこんな感じで取り付けられている | 電源アダプタは少し大きめだが、約185gと軽い。またコンセントに挿しやすいようプラグの向きも考えられている |
キーボードは英語配列となっているが、日本語配列のレイアウトも用意される。今回触ったモデルは英語配列で、キーサイズはA~Zまではフルサイズとほぼ同等の14.5×14.9mmと余裕がある。ストロークは約1.2mmだが、短い文章を打ってみた感じでは、想像以上に打鍵がしやすい。反対にShiftや「?」など頻繁に使わないと判断されたキーのサイズは11.1~12.3×14.9mmと狭く、数値からも感じる通りで、打ちにくかった。日本語配列ではさらにキーが増えることになるが、英語配列と同様に頻繁に使うキーのピッチは広く、頻度の少ないキーのピッチは狭くというスタンスは継承される。人を選ぶであろうEnterキーの形状は英語/日本語配列ともに同形状だが、ASDFG列にあるので少なくとも「小指でEnter」派は戸惑うことはないと思う。
今回入手したテスト機は英語配列 | 使用頻度の高いキーは14.5mm×14.9mmとフルサイズキーボード並だ | 逆に使用頻度が低いと思われるキーは11.1~12.3mm×14.9mmと小さめ |
タッチパッドの面積は可能なかぎり大きく取られている。クリックボタンも大きく押しやすい |
タッチパッド回りもよくできている。作りがいいようで、Ubuntu上での操作はとても快適だった。Windowsでも同様と考えてよさそうだ。個人的な好みもあるが、タッチパッド表面の処理は重要で、つや消し加工がされすぎていたり、ザラザラしすぎたりすると変に力を入れてしまいやすい。が、Inspiron mini 9の場合はほどよいバランスで、マウスカーソル移動が楽だ。また、クリックボタンも変に抵抗が強くなく、むしろちょっと柔らかい感じで、手持ち状態であってもクリックしやすい。こういった細かい配慮はとてもうれしい。
液晶ディスプレイは8.9型のLEDバックライト方式で、解像度は1,024×600ドット(WSVGA)となっている。表面には光沢処理がなされており、モニタはキレイに見えるのだが、蛍光灯などの映り込みが気になってしまう。ただそれ以外の映り込みはさほど気にならないレベルなので、場所を選べば問題はあまりないだろう。
ドットピッチは当然狭く、0.19mm。Ubuntuの画面では予想以上に見やすかったが、WindowsのUIになると視認性が悪くなるだろう。同じく8.9型液晶を搭載するASUS「Eee PC 901-X」などと同じように、モバイルという特性のために視認性を犠牲にしている形だ。
8.9型解像度1,024×600ドット。表面には光沢処理がなされている | 暗いところではやはり映り込みが激しい | 視野角もかなり広く、視認性は高い |
今回はOS抜きで実質外観回りのレビューとなったが、ネットブックの利点「出先でちょっと」をしっかりと押さえつつ、入力面でも最大限の努力をしていると感じたし、Windows版を触りたいと強く思った。またBTOに対応することもあり、選択の幅が増えたこともメリットだ。多数発表されるネットブック群を前に悩んでいた人はさらに困ってしまうことになるが、本製品も強く推奨できる。そう思わせてくれるよくできたネットブックだ。
□デルのホームページ
http://www.dell.co.jp/
□関連記事
【5月30日】Dell、ミニノート「Inspiron Mini」を計画中
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0530/dell.htm
(2008年9月5日)
[Reported by 林 佑樹]