ルネサス、カーナビ用のデュアルコアプロセッサ8月25日 発表
大手マイコンベンダーである株式会社ルネサス テクノロジは8月25日に都内で記者会見を開催し、同社の自動車用半導体事業の概要とカーナビゲーションシステム用マイコンの新製品「SH7786」を発表した。 始めに同社の執行役員を務める三木務氏が、自動車用半導体事業の概要を説明した。世界の自動車市場は今後、台数ベースでは中国、インド、東欧などが牽引し、自動車用半導体市場は2006年~2014年に年率7.4%で安定的に成長する見通しであるという。 同社は半導体事業の重点3分野を「モバイル」、「PC/AV」、「自動車」と定めており、「自動車」向けは売上高全体の約20%を占める。2007年の世界の自動車用半導体市場ではベンダー別の売上高ランキングで4位、車載用マイコンの売上高ランキングで2位につけた。またカーナビゲーションシステム用マイコンのベンダー別売上高ランキングでは世界、日本国内ともトップで、世界市場の60%、日本市場の80%を占めるという。 ルネサスは車載用マイコンの性能を高めるため、以前からマルチコア技術に取り組んでおり、2006年には4個のCPUコアを内蔵するマルチコア技術を発表。2007年に試作チップを学会発表し、2008年に8個のCPUコアを内蔵するマルチコアプロセッサを学会発表した。これらのマルチコア技術をベースに、カーナビゲーションシステム用のマルチコアプロセッサを開発していく計画だ。
続いてマイコン統括本部自動車事業部自動車応用技術第二部長の平尾眞也氏が、カーナビゲーションシステム用マイコンの新製品を紹介した。 始めに背景説明として、ルネサスの車載情報システム用マイコンの製品系列とシステムの対応関係を示した。ハイエンドのナビゲーションシステムには、ハイエンドのCPUコアである「SH-4A」を内蔵したマイコンが対応する。このほか、ポータブルナビゲーションデバイス(PND:Portable Navigation Device)には「SH-MobileR」で、ローエンドのオーディオには「SH-2A」や「M32C」などで対応する。 今回発表するのはハイエンドのカーナビゲーションシステム向けで、「SH-4A」コアを2個内蔵するデュアルコアプロセッサ「SH7786」である。動作周波数は最大533MHz。演算処理性能は1920MIPS。製造技術は65nm CMOS。2008年10月にサンプル出荷を始める。サンプル価格は8,000円。量産開始は2009年12月とかなり先である。当初の量産規模は5,000個/月。2012年4月には量産規模が20万個/月になる見通し。 「SH7786」はSMP(対称型マルチプロセッシング)とAMP(非対称型マルチプロセッシング)の両方をサポートする。SMPに対応するため、スヌープコントローラを搭載した。またDDR3メモリコントローラとPCI Expressバスインタフェースを内蔵した。PCI Expressバスインタフェースは、4レーンと1レーン、あるいは、2レーンと1レーンと1レーンの2通りの構成を選べる。 2次キャッシュは256KBの共有メモリである。AMP構成のときに、アクセスできるメモリ領域をCPUコアごとに分離する仕組みを設けている。
□ルネサス テクノロジのホームページ (2008年8月25日) [Reported by 福田昭]
【PC Watchホームページ】
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