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Intel Developer Forum 2008

Eric Kim基調講演レポート
~SoCによるインターネット+TVを提案

デジタルホーム事業本部部長で上席副社長のEric Kim氏

会期:8月19日~21日(現地時間)

会場:米San Francisco Moscone Center West



 Intel Developer Forum 2008の2日目に登場したデジタルホーム事業本部のEric Kim上席副社長の基調講演のテーマは「I Love TV」。デジタルホーム事業部は、一般向けのPCを担当する部署であるが、今回の基調講演の主題は、組み込み系、特に家電、TV向けの組み込みデバイスについてだ。

 Kim氏は、スタートレックなどの米国の著名なTV番組のセリフを語りながら登場、「我々は、みんなTVが好きだ」とスピーチを始めた。

 Kim氏は、若いとき、韓国やアイルランド、アラスカでカニを採る漁船で働いていたことがあるという。この時期、ひまなときにずっとTVを見て過ごしたという。そして、TVのプロデューサーが知っていることを学んだという。それは「成功したければ視聴者が望むものを放送しろ」ということだという。

 そこで、Kim氏は「The Viewer is Right」というクイズ番組を始める。回答者は、IDFの参加者3人。このクイズで、Kim氏は、TV視聴とインターネットの関係やリモコンによるシンプルな操作などを解説した。

「The Viewer is Right」(視聴者は正しい)というタイトルのクイズ番組風のイベントで、インターネットとTV視聴の関係などを解説 世界初のTV用ワイヤレスリモコンにはボタンはいくつあったか? 答えは2つ。これは分かりやすくするためにシンプルさを追求した結果なのだという

●家電向けSoCによるTV+インターネットを提案

 Kim氏によれば、TVとはリッチで、社会性があり、そしてシンプルなものなのだという。社会性とは、TVを大勢で見たり(米国ではフットボールの試合などを大勢で見るのが普通だという)、TVについて話し合うことを指し、シンプルとはリモコンによる操作を指す。

 そこでKim氏が提案したのが、「Television Plus Internet」。つまり、インターネットアクセス機能のあるTVである。これまでも「インターネットTV」などのようにブラウザを組み込んだ製品はあったが、今回Intelが提案するのは、少し違ったもののようだ。

 まず、プロセッサとしてIntel Architecure(IA)であるMedia Processor CE3100を紹介した。これは、以前にCanmoreと呼ばれていたSoCデバイスだ。CE3100は、音声、映像のデコーダハードウェアやグラフィックスエンジン、映像加工エンジンを内蔵したSoC(System on a Chip)である。

 CE3100は、映像処理をハードウェアで行なうことができる。デモでは、2番組を同時に表示しながら、早送りなどをしてもコマ落ちすることなどが起こらないことを見せた。

 CE3100は、TVやセットトップボックス、デジタルビデオレコーダなどのさまざまな分野の製品に1つで対応するが、2009年には、TVやセットトップボックスなどの各製品カテゴリ向けに構成を変えたものを登場させる予定だという。このときには45nmプロセスを採用しSilverthorneをIAコアとして使う。その最初の製品のコードネームは、Sodavilleである。

CE3100は、SoCで、IAコアのほかに映像処理や音声、動画のデコーダ、グラフィックスエンジンなどを集積している CE3100は、1つでTVやセットトップボックスなどの複数カテゴリの製品に対応するが、次の段階では、各製品カテゴリに最適化したSoCを提供する予定だという

 さらに、米Yahoo!が開発したWidgets Channelを紹介。これは、ブラウザではなく、インターネット接続を利用するミニアプリケーションWidgetsを画面の一部で動作させるもの。Yahoo! Widgetsがベースになっていると思われる。今回の提案の一番の違いは、ブラウザを動作させるのではなく、画面の一部に必要に応じてWidgetsを配置、Widgetsがインターネットアクセスを介して、情報を提供するという点だ。また、Adobeも、Flash Lite 3を提供する予定だ。

 ステージには、Yahoo!でConnected TVのプロジェクトを担当するPatrick Barry氏が登場、Widgets Engineについて解説を行なった。

Yahoo!のWidgets Channelを使ったTVシステムのデモ。インターネットといってもブラウザを使わせるのではなく、インターネット接続を利用して情報を表示するWidgetsを画面下には位置、必要に応じて、メニューや詳細な情報を表示する構成にした

 そしてIntelは、LinuxベースのシステムとCE3100のリファレンスデザインなどを含めたオープンなアプリケーション構築フレームワークを提案。TVやセットトップボックスのメーカー、放送局などが同じフレームワークでセットやその上で動作するアプリケーションを開発できる体制を整えるという。そこで、Kim氏は、メーカーや放送事業者などを集めた座談会「Meet the Player」をステージで開始した。今回は、すべてがTV番組風のコーナーでまとめられていた。

 最後に、Kim氏は、ジャーナリストのEdward R. Murrow氏が'58年に述べた言葉を引用した。Murrowは、「この装置(TV)は、人々を教育し、啓発し、刺激することができる。しかし、それは、我々がそのように使おうと決意したときにだけ可能になる。そうでなければ、ただの電線と箱の中の光にすぎない」といった。Kim氏は、聴衆に対して、「単なる技術プロジェクトとしてTVを発展させるだけで、視聴者が持っている感情を無視したなら、『ただの電線と箱の中の光』で終わってしまいます。なぜなら、みんなTVが好きなのですから」と述べスピーチを終えた。

□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□IDFのホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/
□IDF Spring 2008 レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/idfs.htm
□関連記事
【3月10日】【海外】IntelのAtomプロセッサとSoC戦略
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0310/kaigai425.htm
【2007年9月21日】【笠原】ViivからCanmoreへと主力製品を切り替えるIntelのデジタルホーム事業
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0921/ubiq197.htm

(2008年8月22日)

[Reported by 塩田紳二 / Shinji Shioda]

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