TSMC、2008年第2四半期の業績を発表
8月1日 発表 半導体ファウンドリ(受託生産)サービスの最大手企業である台湾TSMCの日本法人TSMCジャパンは8月1日に東京で記者会見を開催し、2008年第2四半期(2008年4~6月期)の業績を発表した。 業績は全体に好調である。売上高は前年同期比17.6%増、前期比0.8%増の881億4,000万台湾ドル(日本円換算で約3,085億円、1台湾ドルを3.5円で換算)。純利益は前年同期比12.9%増、前期比2.2%増の288億台湾ドル(約1,008億円)。売上高純利益率は32.6%と高い。8インチ(200mm)ウェハ換算の出荷数量は232万9,000枚で、前年同期に比べて25.5%、前期に比べて6.0%の伸びを示した。 応用分野別では民生(Consumer)が好調で、前期比24%増の売り上げを獲得した。売上高全体に占める割合は21%である。コンピュータ(Computer)は前期比8%減とふるわなかった。売上高全体に占める割合は31%である。通信(Communications)は同2%減とほぼ横ばい。売上高全体に占める割合は41%である。 微細加工技術別では、65nm技術の割合が順調に伸びている。売上高に占める65nm技術の割合は2008年第1四半期には15%、同年第2四半期には18%となった。 全体の生産能力は2008年の1年間で約13%伸ばし、特に銅(Cu)配線技術による先端(Advanced)ラインの能力は、27%拡大する。 続いてTSMCジャパンと日本市場の状況を説明した。累計の量産受託実績は900件を超えた。最近では銅(Cu)配線技術による先端(Advanced)プロセスの受注が増えている。微細加工技術別では、180nm(0.18μm)技術の割合が受託数、売上高とも最大である。最先端の65nm技術の割合が、最近は徐々に増えてきた。 また顧客は過去、半導体生産ラインを所有する垂直統合型の半導体ベンダー(IDM)がほぼすべてを占めていたが、ここ2~3年は生産ラインを持たない企業(Non-IDM)の割合が増加してきた。2008年上半期には、Non-IDMの割合が2割を超えた。 応用分野別では世界市場に比べ、日本市場は民生(Consumer)が大きく、コンピュータ(Computer)が小さい。また通信(Communications)の大半は携帯電話機向けだという。 また日本市場における試作サービスの状況も報告した。累計のテープアウト数は520件に達した。その中で大学がおよそ4割強を占めている。2008年6月までの大学向け実績は27校、247件である。
また今回の記者会見では、半導体産業の現状認識から、TSMCにおけるギガファブ(巨大工場)戦略を少し詳しく説明した。半導体市場は2001年の急激な調整局面の後、2002年から2007年まで6年連続で拡大してきた。今後も年平均で8%程度の成長が続くとみる。また市場が成長する地域は中国とインドといったアジア地域だけでなく、ほかの地域にも広がっているとした。 半導体産業が抱える課題の1つには、微細化とともに設備投資額が急速に増えるということがある。TSMCでは、非常に巨大な規模の生産ライン「ギガファブ」を構築することでこの問題に対処する。 TSMCジャパンの解説によると、300mm(12インチ)ウェハを月間1万枚程度処理するラインを「ミニファブ」、25,000枚程度処理するラインを「メガファブ」、10万枚程度処理するラインを「ギガファブ」と呼ぶ。「ギガファブ」は設備投資の絶対額そのものは大きくなるものの、ウェハ1枚当たりの処理コストが低い、生産数量の柔軟性が高い、サイクル時間が短いといった点で有利だとする。 「ギガファブ」の実例として台湾新竹の「Fab12」と台湾台南の「Fab14」を挙げ、生産ラインの稼働状況と新規ラインの立ち上げ状況を報告した。
□TSMCのホームページ(英文) (2008年8月4日) [Reported by 福田昭]
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