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MemCon 2008レポート
DRAM縮小、NANDフラッシュが伸び悩むメモリ市場

MemConの講演会場

会期:7月21~24日(現地時間)

会場:米国カリフォルニア州サンタクララ
   Hyatt Regency Santa Clara



Denali SoftwareのMemory Market Analystを務めるLane Mason氏

 半導体メモリに関するカンファレンス「MemCon 2008」が21日(現地時間)、開幕した。まずはMemConの恒例ともいえる、メモリ市場の動向に関する講演の概要をお届けする。Denali SoftwareのMemory Market Analystを務める、Lane Mason氏による講演である。

 2008年の半導体メモリ市場は、あまり好調とは言えない。半導体メモリ全体の市場規模は510億ドルで、2007年の580億ドル弱に対してマイナス成長になると予測する。DRAMの市場規模が縮小することが大きい。2007年の310億ドル強から、2008年は250億ドルに下がる。これまでメモリ市場を力強くけん引してきた、NANDフラッシュメモリも金額では伸び悩む。2007年の140億ドルから、2008年は150億ドルと一桁成長にとどまる。NORフラッシュメモリは2007年の80億ドル弱から、2008年は70億ドル弱へと漸減する。

 Mason氏は半導体メモリの主役といえるDRAMとフラッシュメモリのそれぞれについて、個別に市場動向を解説した。DRAMは2007年にビット換算の需要が非常に大きく伸びた。過去15年間で最も高い、90%の伸びを示した。DRAMベンダー各社は製造コストの低減につとめ、2007年に40~45%のコスト削減を達成した。ところがDRAMの価格は2007年に80%も下がってしまった。DRAMベンダーにとって非常に苦しい状況で、2008年もコストの削減に勉めなければならない。

 DRAMの主力品種はDDR2-667であり、1GbitのDDR2-667チップの価格はおよそ2ドルと、きわめて低い。このためDDR3への移行がさらに先送りになっているとMason氏は指摘した。2008年は、DDR2-1067への移行が進むと見る。

半導体メモリ市場の最近の動向 DRAM市場の最近の動向
DRAMベンダー各社の微細化動向 DDR2からDDR3への移行に関連する最近の動き

 NANDフラッシュメモリは2008年に市場規模が伸び悩むものの、半導体メモリ市場のけん引役であることに変わりはない。過去の実績が雄弁に物語る。2001年~2002年には20億ドル程度だった市場規模が、2007年には140億ドルを超えるまでに拡大したのだ。しかもビット当たりの価格が1年で半分以下に下がるという、ものすごい値下げ(製造コストの削減)を継続しながら、である。

 NANDフラッシュメモリの製造コスト削減には、微細化で半導体製品の先頭を走ってきたことが大きく寄与している。今後も微細化の勢いはとまらない。SanDiskと東芝が共同で微細化と製造能力の拡大に突き進んでおり、Samsung Electronicsと激しく競合するだろう。

 またNANDフラッシュメモリは、SLC(シングルレベルセル)、2bit/セルのMLC(マルチレベルセル)、3bit/セルのMLCと異なるメモリセル技術による製品が混在するようになってきた。これらの製品はNANDフラッシュメモリでひとくくりにされているが、実は最適な用途がそれぞれ違うので、注意が必要であるとMason氏は述べた。

NANDフラッシュメモリ市場の最近の動向 NANDフラッシュメモリ市場の推移(2000年~2007年、金額ベース、単位10億ドル)
NANDフラッシュメモリベンダー各社の微細化動向 NANDフラッシュメモリの将来動向。スライドの1行目に×3とあるのは3bit/セル、×4とあるのは4bit/セルのこと

 NORフラッシュメモリではNumonyxとSpansionの2社で市場(金額ベース)のおよそ80%を占めるという、寡占化に近い状態が出現した。IntelとSTMicroelectronicsが事業を統合し、Numonyxを設立したためである。ただし、両社ともNORフラッシュメモリ事業ではここ数年、赤字を出し続けており、苦しい状況にある。

 このほか、半導体メモリベンダー(特にNANDフラッシュメモリベンダー)の異常とも言える大規模な設備投資が継続していることをMason氏は指摘した。販売額では半導体市場全体の27%しか占めていないにもかかわらず、半導体メモリの設備投資額は半導体全体の設備投資額の半分を超えている。2007年には330億ドルもの設備投資が実施された。巨大な設備投資の負担によるリスクを軽減するため、事業の統合や提携などが活発である。

NORフラッシュメモリの最近の動向 そのほかの半導体メモリの最近の動向
半導体メモリの設備投資に関する動き DRAMベンダー各社とフラッシュメモリベンダー各社の事業統合や提携などの動き

□MemCon 2008のホームページ(英文)
http://www.denali.com/en/memcon/2008/
□関連記事
【7月22日】MemCon 2008前日レポート、DRAMやNANDフラッシュ、SSDなどの将来を議論
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0722/memcon01.htm

(2008年7月23日)

[Reported by 福田昭]

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