買い物山脈

14.1型ワイド液晶搭載のモバイルノート
富士通「FMV-BIBLO MG/A75N」




品名富士通 「FMV-BIBLO MG/A75N」
購入価格165,155円
購入日2008年5月11日
使用期間約1カ月

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

●6年半ぶりにLet'snote以外のノートPCを買った

 約3年ぶりにノートPCを買い換えた。購入したのは、富士通の「FMV-BIBLO MG/A75N」だ。

 これまで筆者は、1997年6月に発売された「Let'snote N2(AL-N2T515J5)」を発売直後に購入して以降、1998年12月に発売された「Let'snote ace A44(CF-A44J8)」、2002年11月に発売された「Let'snote LIGHT T1(CF-T1RWAXR)」、2005年5月に発売された「Let'snote LIGHT T4(CF-T4GWKAXP)」と、松下のLet'snoteシリーズを長期間利用してきた。

 途中でライオスシステムの「チャンドラ」や、ソニーの「バイオノートSR(PCG-SRX7)」を使っていた時期もあるし、初めて購入したノートPCは、Gateway 2000の「HANDBOOK 486(HB486SX-25)」という製品で、過去Let'snoteシリーズしか使ってこなかったというわけではない。

 それでも、HANDBOOK 486は比較的長期間(約3年半)利用したが、チャンドラやバイオノートSRは1年未満しか使っていないため、筆者がノートPCを利用している期間の大部分がLet'snoteシリーズで占められているのは間違いなく、周りから見ると、根っからのLet'snoteフリークと思われても仕方がないだろう。実際、今回FMV-BIBLO MG/A75Nを買ったと友人に話した時に、「イメージと違う」と言われてしまった。ちなみに、Let'snote以外のノートPCを買ったのは、約6年半ぶりとなる。

 さて、最近まで使ってきたLet'snote T4は、発表と同時に直販サイトである「マイレッツ倶楽部」に発注をかけて購入したものだ。それから約3年、現在でも快調に動作しているし、原稿を書くだけならパフォーマンスも十分なのだが、それ以外のさまざまな場面で処理の重さを感じることが非常に多くなってしまった。画像処理を行なうといった、もともと重い作業の場合には諦めもつくのだが、最近ではWebアクセス時ですら処理が重いと感じることが多くなっていた。また、Let'snote T4に搭載されるCPU(Pentium M 753)はシングルコアCPUで、Hyper-Threadingテクノロジーも搭載されないため、大容量ファイルのコピーや重い作業を始めてしまうと、他の作業がほとんどまともに動作しなくなってしまい、仕事をする上で効率の悪さを感じることも多かった。そこで、今年に入って本格的に新しいノートPCの購入を検討し始めたのだった。

2005年5月に購入し、現在まで使っていた「Let'snote LIGHT T4」。動作は快調だが、処理の重さが気になるようになっていた 筆者が初めて購入したノートPC、Gateway2000の「HANDBOOK 486」。この仕事を始めて数年間は大いに活躍してくれた

●携帯性よりも使い勝手を重視

 今回ノートPCを買い換えるにあたって選択ポイントとしたのは、以下の3つだ。

・キーボードの使い勝手
・WXGA以上の解像度を持つ液晶を搭載
・重量は2kg未満

 まず、キーボードの使い勝手は最も重視した部分だ。筆者は、原稿を書く作業を全てノートPCで行なっていることもあり、キーボードの使い勝手は他の何よりも優先する必要がある。

 次に液晶の解像度。Let'snote Tシリーズでは、12.1型のXGA(1,024×768ドット)液晶が搭載されているため、当然12.1型のXGA液晶を搭載することが最低条件。仕事の効率を高めるという目的があるため、できればそれよりも大型かつ高解像度の液晶が欲しいところ。

 最後に重量。過去筆者が使ってきたノートPCの遍歴を見ると、とにかく携帯性を重視した製品選択をしてきていることがわかるだろう。これは、数年前まで某編集部にカンヅメで仕事をする機会が多く、使い勝手とともに携帯性も重視して製品を選択するようにしていたためだ。しかし、最近ではそういったこともなくなり、仕事のほとんどを家でやるようになったため、以前に比べノートPCを持ち出す機会が激減しており、1kg前後の軽さを求めるつもりは当初からなかった。それでも、取材時などに持ち出すことはあるため、軽いに越したことはない。理想としては上限1.5~1.6kgほどだが、それだと製品の選択肢が一気に狭まるため、とりあえず2kg未満とした。

 この時点で7製品ほどに絞り、そこから最終的な製品選択を行なったのだが、まず最初に落としたのが、12.1型ワイド液晶を搭載する製品(LOOX RやLaVie Jなど)だ。確かに重量は軽いし、キーボードにも余裕があって選択肢としての魅力は高いのだが、12.1型ワイドでWXGA(1,280×800ドット)という解像度では表示される文字がかなり小さくなってしまう。実際にレビュー記事執筆などで触ってみたが、液晶の表示品質は申し分ないものの、やはり表示される文字の小ささに、これはメインの仕事用として常用するのはキツイと感じたからだ。

 また、Let'snoteシリーズも今回は落とすことにした。Let'snote T7は、これまでと使い勝手もほとんど変わらなくていいのだが、さすがにこれだけ長期間使ってきて飽きてきていたのも事実。Let'snoteシリーズのウリであったファンレス仕様ではなくなったことで、他の製品と差がなくなってしまったという点もある。さらにLet'snote Y7は、キーボードのカーソルキーが1段下がっておらず、右Shiftキーが小さくなっているために落とした。筆者は右Shiftキーを多用するため、この仕様のキーボードだけはどうしてもダメなのだ。同様の理由で落とした機種は他にも多数ある。

 以上の理由を含めて考え、スペック的にはFMV-BIBLO MG/A75Nがベストという結論に行き着いた。ただ、カタログスペックだけで決めるわけにもいかないので、何度か量販店に足を運び、実際にキーボードを触ったり、手に持って重量を確認したうえで、他の機種とも比較しつつ、最終的にFMV-BIBLO MG/A75Nに決めたのだった。

●直販サイトでカスタマイズして購入

 FMV-BIBLO MG/A75Nの詳しいスペックはこちらで確認してほしい。ただ、筆者が購入したのは、富士通の直販サイト「富士通 WEB MART」で扱われているカスタムメイドモデルのため仕様が固定ではない。そこで、ここでは筆者が購入したスペックを紹介しておこう。

 CPUは、Core 2 Duo T8100/T8300/T9300の3種類から選択可能だが、筆者のノートPCの使用状況を考えると、CPUパワーはどれを選んでも十分すぎるぐらいなので、バッテリー駆動時間重視でCore 2 Duo T8100とした。メインメモリは2GBまたは4GBからの選択となるが、これも用途を考えて2GB。HDDは120GB/160GB/250GB/320GBの4種類から選択可能だが、500GBのHDDも登場済みだし、将来そちらへの交換も視野に入れ、コストを抑えるために250GBとした。

 次に液晶パネル。FMV-BIBLO MG/A75Nでは、液晶パネルとして13.3型WXGA液晶と、14.1型WXGA液晶が選択できるが、当然大きい方が視認性に優れるため、14.1型を選択。ただ、14.1型液晶では、解像度はWXGA+(1,440×900ドット)でも良かったように思う。とはいえ、さすがに文字の視認性や発色などは文句の付け所がなく、表示領域が拡がったことで作業もやりやすくなり、非常に快適だ。

 ちなみに、液晶はどちらを選んでも、光沢パネルの「スーパーファイン液晶」となり、外光などの映り込みが懸念される。これは、FMV-BIBLO MG/A75N購入を決断する前の最大の懸念事項だったが、実際に量販店店頭で確認したところ、外光の映り込みは我慢できる範囲内に収まっていると判断した。実際に使ってみても、確かに角度によっては天井の照明が写り込むものの、普段利用する角度では映り込みはなく、自分の姿や背後の映り込みも背景色が黒の場合以外は全く気にならなかった。

 それよりも気になったのは、輝度の強さだ。LEDバックライトを採用しているからか、とにかくまぶしいぐらいに明るい。最高輝度では目が痛くなるほどで、普段は3段階ほど輝度を落として使用している。それでも、これまで使っていたLet'snote T4の液晶の最大輝度状態よりも明るい。もちろん、輝度を落とせばいいだけなので、問題ということではない。

 無線LAN機能は、IEEE 802.11a/g/b対応とIEEE 802.11nドラフト2.0対応の2種類から選択可能だが、ここはせっかくだからとIEEE 802.11nドラフト2.0対応を選択。筆者宅の無線LANアクセスポイントはIEEE 802.11nドラフト2.0対応ではないが、今後対応製品への交換を検討しようと思っている。

 ところで、FMV-BIBLO MG/A75Nのカスタムメイドモデルでは、14.1型液晶を選択すると、本体カラーとして「シネマブラック」と「レザーホワイト」(光沢のないマット調のホワイト)が選択できるが、筆者はレザーホワイトを選択した。シネマブラックは、店頭販売モデルで採用されているカラーだと思うが、店頭で見たときにこの色はあまり好みではなかったからだ。実際に届いた製品を見ても、思っていたよりもスマートなイメージで、この選択は正解だったと思っている。

 以上の仕様で発注をかけたのが、ゴールデンウィークまっただ中の5月1日。当然間に休みが入ってしまうために出荷までにはやや間があいてしまい、到着は5月11日と10日かかった。6月6日時点でチェックしてみたところでは、同じ仕様で約10日とほぼ同じ日数がかかるようで、ゴールデンウイークを挟んでいたものの、それほど長い時間がかかったというわけではないようだ。

天板はフラットですっきり。カラーはレザーホワイトを選択したが、思っていたよりもスマートなイメージで正解だった フットプリントは幅316mm×奥行き235mm。DOS/V POWER REPORT誌との比較でもひとまわり以上大きく、サイズはA4ノートに近い Let'snote T4との比較、やはりかなり大きい印象だ
厚さは24.3mm~34mm。手前部分はLet'snote T4とほぼ同じ厚さだ それに対し後部はFMV-BIBLO MG/A75Nのほうがかなり薄い 正面。無線LANのON/OFFスイッチやIEEE 1394、ヘッドフォン・マイクの各端子がある
左側面。Gigabit Ethernet、D-Sub15ピン、PCカードスロット、SD/MS/xD対応のメモリカードスロットがある 背面。端子類や出っ張りなどはなくすっきりしている 右側面。DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×3、モデム端子がある
液晶は14.1型を選択。解像度はWXGAだが、このサイズならWXGA+が選択できてもいいように思う 光沢パネルのため、角度によっては天井の照明がはっきり写り込むが、実際にはそのような角度で利用することはなく、自分や背後の映り込みもほとんど気にならない FMV-BIBLO MG/A75Nの液晶は輝度が非常に強く、3段階ほど輝度を落としても、筆者が使っているLet'snote T4より明るい

●OSをWindows XP Professionalにダウングレード

 FMV-BIBLO MG/A75Nは、OSとしてWindows Vista Home PremiumまたはWindows Vista Businessが選択可能となっている。筆者の選択はWindows Vista Business。なぜなら、当初からWindows XP Professionalにダウングレードして利用しようと考えていたからだ。というわけで、マシンが届いて最初に取りかかったのは、Windows XPへのダウングレードだった。

 ただここで問題が。もともとFMV-BIBLO MG/A75NはWindows XPでの動作が考慮されておらず、Windows XP用ドライバやツール類も富士通から一切配布されていないのだ。チップセットやグラフィック、LANなどはデバイスメーカーから手に入れればいいが、指紋認証ツールやHDD待避ツールなど、独自ツールはそうはいかない。

 とはいえ、LIFEBOOKブランドで海外展開されているモデルでは、Windows XPモデルも用意されているはずと考え、海外の富士通サイトをチェックしてみたところ、「LIFEBOOK S6510」がFMV-BIBLO MG/A75Nをベースとするほぼ同じ仕様の製品であり、さらにシンガポールの「富士通アジア」(Fujitsu Asia Pte)のサイトでWindows XP用ドライバやツール類が配布されていることを事前に確認していた。そこには、指紋認証ツール「Omni Pass」や3次元加速度センサーを利用したHDD待避ツール「Shock Sensor Utility」なども用意されており、これなら問題なくダウングレードが可能と判断したのだ。

 ところが、実際に製品が届いて、ダウングレード作業を開始したところ、実は富士通アジアで配布されているWindows XP用ドライバやツールは不必要だとわかった。なぜなら、製品付属の「アプリケーションディスク」に収録されているドライバはほとんどがWindows XP用のものを含んでおり、最低限必要となるツール類もWindows XP上で正常に動作するものばかりだったのだ。Omni PassやShock Sensor Utilityに加え、キーボード上のワンタッチボタンの機能を設定するツール、80%の充電でバッテリの寿命を向上させる「バッテリーユーティリティ」なども、Windows XPで正常に動作した。そのため、事前に富士通アジアのサイトからダウンロードしておいたツール類は全く利用することがなかった。

 ただし、無線LAN機能だけは事情が異なった。FMV-BIBLO MG/A75Nに搭載されるIEEE 802.11nドラフト2.0対応無線LAN機能は、Atherosの「AR5008X」だが、アプリケーションディスクにはXP用ドライバが含まれず、富士通アジアのサイトでもXP用ドライバが配布されていなかった。また、Atherosのサイトでも配布されていないため困ったのだが、いろいろ探してみた結果、こちらのサイトで配布されていることを発見。どうやらここは、Atherosの公式サイトではないようだが、とりあえずダウンロードして導入。これで、主な機能はほぼ全て問題なく利用可能となった。

 ちなみに、その後SP3の導入や更新プログラムの導入などを行なっているときにわかったことだが、AR5008Xのドライバは、Microsoft Updateで「カスタム」を利用して更新プログラムを確認すると、「追加選択(ハードウェア)」の項目から入手可能だった(ただし、事前に先述のサイトからダウンロードしたドライバを導入しておく必要はある)。そのため現在は、Microsoft Update経由で入手したドライバを利用している。

FMV-BIBLO MG/A75Nとほぼ同じ仕様のマシンは、海外では「LIFEBOOK S6510」として販売されている(ベースは2007年秋冬モデルのようだ) FMV-BIBLO MG/A75Nでは、標準でSATAがAHCIモードとなっているため、Windows XPにダウングレードする前にBIOS設定を開いてIDEモードへと変更
付属の「アプリケーションディスク」に、Windows XP対応のドライバやツールが含まれていた このように、主要なツール類も付属のアプリケーションディスクからインストールすることでWindows XP上でも利用可能だった

●バッテリ駆動時間は、それほど長くない

標準バッテリは、5,800mAhのリチウムイオンバッテリを搭載。公称では約7.5時間の駆動時間があるとされている

 FMV-BIBLO MG/A75Nのバッテリ駆動時間は、公称値で約7.5時間と、比較的長時間となっている。とはいえ、通常の利用時で公称値のバッテリ駆動時間が実現されるはずがなく、ある程度の時間短縮は仕方のないところ。そこで、HDDに置いた動画ファイル(MPEG-4形式・1,280×720ドット・ビットレート1,773Kbps)を連続再生させながらバッテリ駆動時間を計測してみた。

 まず最初に、液晶のバックライトを最大輝度に設定し、CPUのEnhanced Intel SpeedStep Technology(EIST)機能などの省電力機能も切り、無線LAN機能を有効にし、Windows Live Messengerを起動して常にLANアクセスを発生させた状態で計測。再生時のCPU使用率は15~25%ほどで、HDDへのアクセスもほぼ終始発生するため、比較的過酷な条件だと思う。結果は、バッテリ100%充電時で約2時間21分と、公称値の1/3以下だった。

 さすがにこの条件は厳しすぎるということで、次に、普段筆者が利用している環境に戻して同じ方法で計測してみた。筆者が普段利用している環境は、EISTを有効にし、液晶輝度を最大輝度から3段階下げた状態だ。それ以外の環境は先ほどと同じ。この場合では、100%充電時で約3時間5分であった。なんとか3時間は超したものの、まだ公称の半分にも満たない。

 そこで、文字入力などを問題なく行なえるギリギリのレベルでも試してみることにした。液晶の輝度を最低から1段階上げた状態に設定し(最低輝度では暗すぎて作業が厳しい)、無線LAN機能を切りWindows Live Messengerもシャットダウン、DVDスーパーマルチドライブも取り外した。この状態で、100%充電時で約3時間43分と、なんとか公称の半分にたどり着いた。

 もちろん、コンスタントにCPUのフルパワーに対して15~25%ほどの負荷がかかり続け、HDDへのアクセスもほぼ途絶えることなく発生するという状態はかなり厳しいはずで、その状態で3時間43分ほどの駆動時間なら納得できる範囲内と言っていいだろう。おそらく、テキスト入力などを行なうだけであれば、4時間以上は余裕で動作する可能性が高い。

 これを長いと考えるか短いと考えるかは、用途によって大きく変わってくるとは思うが、筆者は満足できる範囲内と考える。加えて、DVDスーパーマルチドライブと排他利用の増設用内蔵バッテリユニットを利用すれば、さらに2時間ほど上乗せして、最低でも5~6時間ほどは駆動できるようになると思われるので、これだけあれば十分なはずだ。

 ちなみに、バッテリーユーティリティを利用して、バッテリを80%充電モードで使用した場合、フルパワー時で約2時間4分と、ほぼ比率通りの駆動時間であった。

【表】HDDに置いた動画ファイル(MPEG4形式/1,280×720ドット/1,773Kbps)を連続再生させた場合のバッテリ駆動時間

テスト条件充電時間駆動時間
フルパワー時(EIST:OFF、輝度:最大、WLAN:ON、Windows Live Messenger起動)100%充電2時間21分
80%充電2時間4分
通常パワー時(EIST:ON、輝度:最大-3、WLAN:ON、Windows Live Messenger起動)100%充電3時間5分
低パワー時(EIST:ON、輝度:最低+1、WLAN:OFF、Windows Live Messenger停止、DVDドライブ外す)100%充電3時間43分

●全体的には満足、いくつか気になる点も

 使い始めて約1カ月、ほぼ環境も整い、本格的にメインマシンとして活用を始めたFMV-BIBLO MG/A75N。特に大きな問題は発生せず、Windows XPも問題なく動作している。キーボードは19mmフルピッチの正方形キーで無理な配列も一切ないため非常に扱いやすく、テキスト入力でストレスを感じることはない。Let'snoteシリーズのキーボードより若干大型化しているために、使い始めは少々使いにくく感じる場合もあったが、現在では完全に慣れてしまった。とにかく、全体的には十分満足できている。

 ただし、気になる点が全くないというわけではない。

 まず、ポインティングデバイスのフラットポイントだが、カーソル操作中にカーソルが予期しない場所に飛んでしまうことがたまにあるのだ。加えて、ACアダプタを抜き差しすると、カーソルが見えなくなってしまう(テキスト入力フィールドなど、カーソルがI型に変化する部分を通過させると見えるようになる)。OSをWindows XPにしていることもあり、これらについてはあまり深く言及はしないでおくが、この点はかなり気になっている。

 また、使っているとパームレストおよびキーボードが結構温かくなる点も気になる。今のところは熱いというほどではないものの、これから夏にかけてどの程度熱を持つのか不安だ。

 さらに、ACアダプタが巨大という点。Let'snote T4のACアダプタと比較すると、体積は3倍近く大きくなっており、本体と同時に持ち歩くのはきつそうだ。

 それに対し、空冷ファンの騒音は購入前の想像に反してそれほどうるさくはなかった。電源投入直後はフル回転でかなりの騒音が発生するが、普段利用している状態ではファンが停止している状態のほうが多く、ファンが回っても特にうるさくは感じない。これまでファンレスのLet'snote T4を利用していたこともあり、ファンの騒音は覚悟していたのだが、いい意味で予想が裏切られた点だ。

 本体重量はDVDスーパーマルチドライブ搭載時で1,806g(実測値)、DVDスーパーマルチドライブ非搭載時で1,695g(実測値)と、これまで買ったノートPCの中で最も重いマシンとなった。もちろん、実際に手に持ってもかなりずっしりと重く感じられ、持ち運ぶ機会は減っているものの、数少ない持ち歩き時にしんどく感じそうだ。とはいえ、パフォーマンス、液晶表示、キーボードなど全体的な使い勝手は大幅に向上し、仕事の効率も従来とは比較にならないほど改善された。また、いくつか挙げた気になる点も、致命的なものではない。

 数多く登場している2スピンドルモバイルノートの中で、FMV-BIBLO MG/A75Nは、あまり話題に上らないように思う。確かに華のあるマシンではない。しかし、仕様にこれといった穴がなく、実際の使い勝手も非常に快適で、話題に上らないのが不思議な感じだ。少なくとも個人的には、買って正解だったと感じている。おそらく今回は、短期間でLet'snoteシリーズに舞い戻る可能性は低いかもしれない。

キーボードは、無理な配列は一切なく、ストロークやタッチなど、筆者の好みに非常に近い ピッチは19mmで、アルファベットキーはもちろん、主要キーは一定のピッチを確保している フラットポイントは、たまに操作時にカーソルが飛ぶことのある点が気になる。クリック中央の指紋認証センサーは大いに活用している
付属のACアダプタはかなり巨大。下はLet'snote T4のACアダプタだが、容積で3倍ほど大きい感じだ 大きいだけでなく、重量も368g(実測値)とかなり重い 本体重量は1,806g(実測値)。DVDスーパーマルチドライブを外すと1,695g(実測値)まで軽量化できるが、覚悟していたとはいえやはり重い

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□関連記事
【4月2日】富士通、FMV-BIBLO夏モデルは2GBメモリ標準に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0422/fujitsu2.htm

(2008年6月12日)

[Reported by 平澤寿康]

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