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【WWDC 2008 前日レポート】
Appleの開発者会議「WWDC 2008」が9日に開幕
~確実視される新iPhoneの発表

会期:6月9日~13日(現地時間)

会場:米San Francisco「Moscone Center West」



基調講演をはじめとして、すべてのセッションが開催されるMoscone Center West。この会場でのWWDC開催も六年目をむかえて、この時期になると壁面に描きだされるアップルロゴもお馴染みの光景となった

 米Appleが「Mac OS X Leopard」と「OS X iPhone」の開発環境や技術情報などを開発者に紹介するWWDC(Worldwide Developers Conference:世界開発者会議)が、6月9日(現地時間)から米国サンフランシスコで開幕する。オープニングの基調講演は、今年もスティーブ・ジョブズCEOと同社のエグゼクティブを中心に行なわれることがすでに発表されている。基調講演は、9日午前10時(日本時間10日午前2時)から始まる予定だ。

 WWDC開幕を控えて、3G対応iPhoneの正式発表はすでに確実視される状況となった。製品自体が注目を浴びることは間違いないが、エンドユーザー向けのMacworld expoとは違って、WWDCにおける直接のターゲットは世界各国から訪れる開発者ということもあり、基調講演でのメッセージはプラットフォームとしての魅力と充実した開発環境を強くアピールするものになるはずである。

 特に開発者の視点からなら、ハードウェアとしての3G対応以上にOS X iPhoneが現行の1.1.xから2.0になることが見逃せない。2.0からはサードパーティ製アプリケーションのインストールが解禁され、App Storeでの配信が行なわれる。3G対応端末が発表されても、GSM(2G)端末がなくなるわけではなく、既存のユーザーも順次2.0ソフトウェアへの移行が進むはずで、デベロッパとしては魅力的なマーケットになる。あくまで推測に過ぎないが、3G製品と同時にGSMのみに対応する既存のiPhoneの製品ラインも、スペックアップ等でリニューアルされる可能性はかなり高いと思われる。

 既報のとおり、ソフトバンクモバイルは先週4日に日本国内におけるiPhoneの年内発売をアナウンスしている。筆者は、この発表のタイミングにはApple側の思惑が強く働いているものと推測している。WWDCの開幕と同時に新たにiPhoneを発売する各国のキャリアを明らかにするという手法も一見華々しいわけだが、各国事情によっては取り扱うキャリア側に注目が集まってしまう恐れがある。特にドコモとソフトバンクの2社で獲得競争をしていた日本においては、Apple側がWWDCでの発表における本質と考えている要素以上に、獲得したキャリアへの話題が集中してしまったことだろう。そうした国々では、WWDC前にiPhoneを取り扱うキャリアを明らかにしていったん熱を冷ましておき、再度WWDCにおいてiPhoneそのものとプラットフォームに注目を集めたいと考えたはずだ。

 一方ソフトバンクモバイルとしても、同社の夏モデルとiPhoneの獲得を同時にアナウンスしてしまっては、すぐにも売りたい夏モデルの話題が、発売日や製品の詳細すら明らかにできないiPhoneの報道に隠れてしまうというリスクがある。一見唐突と思える4日というタイミングは、ソフトバンクモバイルの夏モデル発表後、そしてWWDC開催前という唯一の落としどころであったのだろう。

 iPhoneでのアプリケーション開発を目指すモバイルデベロッパが新たに数多くWWDCに訪れることで、今年はWWDC史上初めて、カンファレンスの参加チケットが完売するという事態が発生した。もちろん昨年までも基調講演会場に入れない参加者がでるほどに盛況ではあったのだが、それでも会場には当日に参加費を支払って現地でレジストレーションが行なえるカウンターが用意されていた。しかし今年は5月半ばには完売が公式に発表されるほどで注目度の高さがうかがえる。

 こうしたモバイルデベロッパ向けには、カンファレンスセッションにiPhoneトラックが新設された。正式版となる(であろう)iPhone SDKや、アプリケーションをiPhoneやiPod touchのユーザにワイヤレス配信するApp Storeを含む、OS X iPhone 2.0ソフトウェアの機能を活用するためのセッションやハンズオンラボが行なわれる。

 今年はiPhoneプラットフォームへの注目度があまりにも高いために、昨年までの主役だったMac OS Xプラットフォームが、話題性という点ではちょっと影に隠れてしまいそうになっている。Mac OS X Leopardの発売が昨年10月末であったことを考えると、なかなかデベロッパとしてもユーザーとしても「さぁ、次だ」とは言いにくいタイミングだ。Appleのリリース文書でも「初めて参加する人にも経験豊富なベテランにも役立つ技術基盤やテクニックが伝授されます」といった具合にiPhone関連のそれに比べるとややトーンは低い。言うならば、Leopardとしての充実期とでも位置づけられそうな気配だ。とはいえ、Mac OS Xに関してまったくの新情報がないということも考えにくいので、次期OSのコードネームぐらいは明らかにされるのではないかと期待を寄せている。基調講演のなかで、Mac OS Xにどれぐらいの時間が割かれることになるのかも注目しておきたい。

 開幕を控えて、会場となるMoscone Center Westでは着々と準備が進んでいた。設営状況は例年よりも速いペースと思われる。入場パスの配布は日曜日から始まっており、事前登録を終えている参加者が、断続的にパスの受け取りに訪れていた。現時点で入場可能な1階フロアには、特に黒い幕で覆い隠されたバナーは見あたらないようだ。

 5日間にわたるWWDCの中心となる数々のセッションは、参加者と同社の間でNDA(Non Disclosure Agreement:機密保持契約)が結ばれている。本誌をはじめとするプレス関係者の多くもデベロッパとして正規の参加申し込みを行なった上でこれらのセッションに参加しているため、個々のセッションの内容を記事として公開することができない。会期中は唯一、基調講演で話された内容と、WWDCで正式発表された製品情報のみを記事として紹介することになる。

 PC Watchでは基調講演のレポートを中心に、WWDC 2008関連のニュースを随時お届けする予定である。

一般向けのイベントではないため、WWDC08のタペストリーなどは会場付近のみ。それでも、例年よりはやや派手めな色づかいで目にとまるようになっている サンフランシスコの公共交通機関であるBARTのPowell St.駅の改札付近は、iPodの広告であふれていた。この駅にはAppleStoreのすぐ横へと通じる出入り口があるほか、WWDCの会場に最も近いBARTの駅である 午前9時のレジストレーション開始を前に、来場者が開場前に集まり始めていた
1階フロアにあるレジストレーションエリア。来場者はすでに事前登録を終えているので、パスポートや運転免許証などの身分証明書の提示で入場パスを受け取ることができる こちらのバナーはお馴染みの「OS X Leopard」のものだ。会場時点で、そのほかのバナーは見あたらなず、前日の時点では2階以上に立ち入ることはできない 1階フロアにある2つの大型バナーの1つ「OS X iPhone」

□Appleのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□WWDC 2008のホームページ(英文)
http://developer.apple.com/jp/wwdc/
□関連記事
【6月4日】ソフトバンク、「iPhone」を年内に発売へ(ケータイ)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/40236.html
WWDC 2007レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/link/wwdc.htm

(2008年6月9日)

[Reported by 矢作晃]

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