NTTと大阪大学、テレポーテーション型の量子計算を実証
5月26日 発表 日本電信電話株式会社(NTT)と国立大学法人大阪大学は26日、世界で初めてテレポーテーション型量子演算の実証に成功したと発表した。 超並列演算が可能な量子コンピュータの実現には、「回転ゲート」と「制御NOTゲート」と呼ばれる2種類の量子ゲート素子があれば実現できるとされているが、これまで量子ビット間に相互作用を起こす制御NOTゲートの実現は極めて難しいとされていた。 今回研究チームは、制御NOTゲートを実現する上で有望なアプローチであるテレポーテーション型量子計算の1つ、一方向量子計算という方式に注目。この方式では量子もつれ(粒子間に量子力学的な相関がある状態)をあらかじめ用意しておき、1量子ビットごとの測定を行なうだけで制御NOTゲートを実現できるという。 実験では、テレポーテーション型量子計算のリソースとなる光子を4つ用いた。パラメトリック下方変換を用いた光子生成、および線形光学素子と光子検出器のシンプルな方式で、経路干渉や特殊な光学素子をなくすことで、光子量子もつれ忠実度86%を実現した。また、演算の精度も高まり、従来の量子もつれなしの出力忠実度の理論値である85.4%を超える、89.5%を実現したという。 今後は、より大規模な量子もつれ状態の生成を目指し、単一の量子ゲートのみならず、量子ゲートを組み合わせた量子アルゴリズムやプロトコルの実験に向けた研究を進めるとしている。
□NTTのホームページ (2008年5月26日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
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