アップル、iMacについての製品説明会を開催
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4月30日 開催
アップルジャパン株式会社は4月30日、28日に発表し同日から受注・販売を開始したiMacについて報道関係者向けの説明会を開催した。
本誌でも既報のとおり、今回のモデルチェンジはリフレッシュともいうべき位置づけ。筐体のデザインは昨年8月に発表されたデザインそのままだが、「内部は一新されている」(同社、鯉田潮プロダクトマネージャ)と言うように、CPUやFSBの高速化、高機能なGPUの追加、標準メモリの増量、そして価格の大幅な見直しなど、スペック面での強化はもとよりコストパフォーマンスにおいても注目すべき点がある。
強化ポイントの1つであるCPUのCore 2 Duoプロセッサは、同社が製品スペックとして発表しているCPUのクロック数において、従来の2.0~2.4GHz(最上位に2.8GHz)から2.4~2.8GHz(最上位に3.06GHz)というクロックアップになる。世代的には従来のMeromからPenrynへと切り替えられており、共有L2キャッシュは4MBから6MBへ、そして新命令セットSSE4が追加された。
Santa Rosa向けのPenrynの場合はチップセットにIntel PM/GM965を採用して800MHzのFSBとするのが一般的だ。今回のiMacで使われている1,066MHzのFSBの実現には、次世代プラットフォームとなるMontevinaの一部であるCantigaがチップセットとして先行採用されている可能性もあるが、アップルジャパンではコンポーネントの詳細については明確にしておらずコメントできないとしている。(筆者注:Apple製品は無線などの一部仕様が異なるため、純粋な意味でのSanta RosaやMontevinaプラットフォームとはならない)。
FSB1,066MHz対応のCore 2 Duo(Penryn)を搭載する | 従来モデルとの比較で、最大28%のスピードアップを実現 | ミッドレンジ以上は2GBメモリを標準搭載。1,066MHzFSBにあわせDDR2 800MHz(PC2-6400) |
GPUにはATI Radeon HD 2400 XTとHD 2600 Proが従来モデルより継続して搭載されているのに加えて、新たにNVIDIAのGeForce 8800 GSが追加された。Apple Storeで購入できる最上位の3.06GHzモデルには標準搭載されるほか、24インチモデルのCTO要素として標準のRadeon HD 2600 Proとの差額プラス16,800円で交換することができる。鯉田氏は、アップルとして特にターゲットユーザーを限定することはないと前置きした上で「クリエイティブプロフェッショナルやハイアマチュアなども含めた実に幅広いユーザー層にiMacのニーズがあるため、ハイエンド向けの仕様も必要である」と採用の理由を説明した。
プリインストールのMac OS X 10.5 Leopardに含まれるBootCampを使うことで、Windows VistaをMacintoshにインストールすることができる。このGeForce 8800 GS搭載モデルの場合は、先日発表されたばかりのWindows Vista向けの次世代ベンチマークソフト「3DMark Vantage」においても、必要環境のみならず推奨環境(DirectX 10対応、512MBビデオメモリ、1,920×1,200ドット表示など)までも満たす仕様となっており、オールインワンモデルのスペックとしてなかなか興味深いところがある。
背面にあるインターフェースの配置や数は従来モデルとまったく変わらない。無線機能ではIEEE 802.11nがドラフト2.0対応となったことで、対応するアクセスポイントとの接続において理論値ながら最大300Mbpsでの接続が可能となる。またBluetoothの仕様もBluetooth 2.0+EDRから、Bluetooth 2.1+EDRへと更新された。
24型にはG92コアのGeForce 8800 GSを搭載可能。ビデオメモリも512MB | 同社の計測によるQuake4のベンチマークでは、2.2倍高速とのこと | 背面に搭載するインターフェースは従来とまったく同じ |
ほか、CTOの要素としてはHDDの増量がある、250GB/320GB/500GB/750GB/1TBの選択肢があるが、選択可能な容量はベースとなるモデルによって異なっている。メモリはいずれも最大4GBまで拡張できるが、標準で2GBを搭載するモデルを1GBに変更することはできない。
今回、システムバスが800MHzから1,066MHzに向上したことをうけて、利用可能なメモリの仕様が変わっている。従来モデルはDDR2 667MHz(PC2-5300)のSO-DIMMを利用することができたが、最新モデルではDDR2 800MHz(PC2-6400)が必要になる。同社製品の場合、モデルチェンジ後も本体名称が同じ(製品番号は当然異なる)なので、ユーザーレベルでの増設や交換を行なう場合は注意を必要とする。Apple StoreでのCTOや専門店、量販店などにおける新規購入なら特に問題は発生しないと思われるが、同社では、サードパーティへも働きかけて、製品への対応状況を明確にするように努めていくという。
主なCTO要素。搭載可能なHDDの最大容量がベースモデルによって異なることに注意 | 従来モデルと同時発表となったiLife'08も標準でインストールされている | 外観はまったく同一。スペックとコストパフォーマンスの大幅なアップが目玉である |
従来モデルからグレードごとの主な相違点は、下表にまとめた。
■2008年4月28日モデル
CPU | Core 2 Duo 2.4GHz | Core 2 Duo 2.66GHz | Core 2 Duo 2.8GHz | Core 2 Duo 3.06GHz |
FSB | 1,066MHz | ← | ← | ← |
標準メモリ | 1GB | 2GB | ← | ← |
標準HDD | 250GB | 320GB | ← | 500GB |
GPU(メモリ) | Radeon HD 2400 XT(128MB) | Radeon HD 2600 PRO(256MB) | Radeon HD 2600 PRO(256MB) | GeForce 8800GS(512MB) |
液晶パネル | 20型 | ← | 24型 | ← |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR | ← | ← | ← |
無線LAN | IEEE 802.11nドラフト2.0 | ← | ← | ← |
AppleStore価格 | 139,800円 | 169,800円 | 199,800円 | 244,600円 |
■2007年8月8日モデル
CPU | Core 2 Duo 2.0GHz | Core 2 Duo 2.4GHz | Core 2 Duo 2.4GHz | Core 2 Extreme 2.8GHz |
FSB | 800MHz | ← | ← | ← |
標準メモリ | 1GB | ← | ← | 2GB |
標準HDD | 250GB | 320GB | ← | 500GB |
GPU(メモリ) | Radeon HD 2400 XT(128MB) | Radeon HD 2600 PRO(256MB) | Radeon HD 2600 PRO(256MB) | Radeon HD 2600 PRO(256MB) |
液晶パネル | 20型 | ← | 24型 | ← |
Bluetooth | Bluetooth 2.0+EDR | ← | ← | ← |
無線LAN | IEEE 802.11nドラフト | ← | ← | ← |
AppleStore価格 | 159,800円 | 199,800円 | 239,800円 | 299,800円 |
今回のiMacリフレッシュにおいて、グレードごとの価格を従来モデルと比較すると、エントリーモデルでは2万円の低価格化。以下、3万円、4万円、約5.5万円という大幅なプライスダウンを実現している。実は北米での価格は、GeForce 8800 GSを搭載するハイエンド仕様が100ドル下がったことを除いて価格は据え置きだ。もちろん機能強化が伴っているのでコストパフォーマンスがアップしていることは間違いないが、特に日本市場においては円高の進行による最新の為替レートが今回の価格設定に反映されたことで、より購入しやすく魅力的なモデルチェンジになったと言えるだろう。
「オールインワン仕様のエントリーモデルが139,800円というのは、他社のPC製品と比べても十分に値頃感のある価格。この価格帯でCore 2 Duo搭載というのも魅力的な要素だ」と鯉田氏は、今回のモデルチェンジに自信を見せる。
同社のプロダクトマーケティング 服部浩ディレクターは「いまだにアップル製品は高いというイメージが市場に残っているのは不思議で残念なところ。そうした誤解を解くきっかけにしたい」と期待を寄せる。同氏によれば、決して好調とは言えない現在のPC市場において、アップルは台数ベースで前年比37%増(世界市場)を実現している。国内市場においては、PC市場全体の対前年成長率がマイナス1~2%で推移するなか、2008年第1四半期は49%もの成長率をアップルが達成したことを挙げて、同社の好調ぶりを示してみせた。非公式としながらも、米国における直営店では販売比率のおよそ半数がWindows機からの買い換えというデータもあり、売り上げにつながるケース、つながらないケース双方を含めて、特にPCユーザーからの注目度が継続して高まっているという認識を示した。
□アップルジャパンのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.apple.com/jp/news/2008/apr/28imac.html
□製品情報
http://www.apple.com/jp/imac/
□関連記事
【4月29日】アップル、iMacを機能強化し値下げ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0429/apple.htm
(2008年5月1日)
[Reported by 矢作晃]