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マイクロソフト、川崎/那覇の「知財モラル都市宣言」を後援
~「アジア知的財産フォーラム in KAWASAKI」レポート

知的財産モラル都市の宣言書を持つ翁長雄志 那覇市長(左)、阿部孝夫 川崎市長

4月19日 開催



 マイクロソフトは、地方自治体の知財戦略を支援する事業を展開し、その成果として神奈川県川崎市、沖縄県那覇市の2つの自治体が「知的財産モラル都市宣言」を行なった。

 マイクロソフトでは1年前から川崎市と協力関係を結び、川崎市の知財戦略を構築するための協力を行なってきた。

 今回、川崎市、那覇市の2つの市の市長が、マイクロソフトを立会人として知的財産モラル都市の宣言書に署名し、今後、市の知的財産教育の創造・保護・活用に取り組み、両市にある企業、教育機関などと協力していくことを宣言した。

 「自治体に対する知財戦略の構築支援は、マイクロソフトの本来の業務ではない。ただし、当社は知的財産ビジネスを展開してきた企業であり、これまでの経験からさまざまなノウハウを蓄積している。川崎市も、那覇市も、知財を強化する方針を立てたものの、そのための教育方法をどうすればいいのか、具体策がないという問題を抱えていた。そこでマイクロソフトの持っているノウハウを提供し、知財戦略強化を進めてきた。その成果が実り、知的財産モラル都市宣言となった」(マイクロソフト・業務執行役員 Plan-J推進本部・秋本則政本部長)

 4月19日には、川崎市産業振興会館において、「知的財産モラル先進都市宣言 アジア知的財産フォーラム」を開催。川崎市長の阿部孝夫氏、那覇市長の翁長雄志氏、マイクロソフトの執行役 法務・政策企画統括本部長の伊藤ゆみ子氏をはじめ、菊池純一・青山学院大学 ビジネス法務専攻教授などの研究者、ベトナム、韓国、中国の自治体関係者などが知財をテーマとしたパネルディスカッションを行なった。

 フォーラム登壇者の報告を受けて、阿部 川崎市長、翁長 那覇市長、伊藤 マイクロソフト執行役の3人がパネルディスカッションを行なった。

フォーラムの内容を受けてパネルディスカッションを行なう、阿部 川崎市長、翁長 那覇市長、伊藤 マイクロソフト執行役 知的財産モラル都市宣言の署名を行なう阿部 川崎市長

 阿部・川崎市長は、「アジア各国の具体的な取り組みを聞いて、知財を守る方法イコール特許の取得ではなく、コンテンツをどう保護していくべきかなど、我々と共通する部分も多く有意義な意見交換の場となったと実感している。かつて川崎市は、公害問題をどう克服するのか、さまざまな経験を積んだ歴史があり、現在のように地球レベルで環境問題に取り組まなければいけない中で、過去の我々の経験をアジアに提供するといったことも実現していきたい」と話した。

 翁長 那覇市長は、「那覇市には人間国宝が7人と、地方都市ではダントツに多い。伝統芸能が現在でも街に根付いているが、こうした伝統芸能も重要なコンテンツのひとつ。そういった認識を若者や子供たちにももってもらうことで、知財を身近なものとして理解していってもらいたい」と話した。

 マイクロソフトの伊藤執行役は、「今日のフォーラムでは、オープンイノベーションが重要なキーワードとなっていたが、情報というのは伝わらなければ意味がない。その伝えるという役割を果たすのがIT技術。さらにオープンイノベーションとITによって、新しいビジネスチャンスが広がる可能性があることを認識してほしい」と話した。

マイクロソフトにとっての、自治体の知財強化支援の意味を説明するマイクロソフト 業務執行役員 Plan-J推進本部 秋本則政本部長 フォーラムの総括を行なうACCS 久保田裕専務理事 青山学院大学大学院 菊池純一教授

 フォーラムの総括として、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事は、「知財を支えるのが、法律(ルール)と教育と電子技術の3つ。さらにそのベースとして、ルールではなく、お互いを尊重する気持ちであるモラルとなる。法律は勉強しなければ身につかないが、モラルはお互いの文化によるところも大きく、自分自身で醸成しなければならないものでもある。今日のフォーラム参加者の話を聞いていて、ワールドワイドでのモラルが育ちつつあることを実感できた」とコメントした。

 パネルディスカッションで話し合われた成果について青山大学大学院の菊池教授は、「知財に関する考え方も、闇雲に知財を守ることに力が注がれた第一世代、知財を守るだけでなく、知財を使うプロセスと人が重要だと認識された第二世代を経て、現在は第三世代に入っている。第三世代の知財の考え方は、例えば大企業が、自分たちが利用していない知財を公開し、中小企業などに活用してもらうことで新しい価値を作る、オープンイノベーションがキーワードとなってくる。その結果、昔のように建前だけの産・官・学連携ではない、本質的な産・官・学連携をしようとする動きが、ワールドワイドで起きていることを実感できる内容となった」とフォーラムの意義を説明した。

□アジア知的財産フォーラム in KAWASAKI
http://asia-chizai.com/
□関連記事
【2007年3月16日】【やじうま】川崎の地域活性化にマイクロソフトも一役
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0316/yajiuma.htm

(2008年4月21日)

[Reported by 三浦優子]

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