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DEMO 08レポート【リモートデスクトップ&仮想化編】

携帯電話からPCへリモートアクセスできる「PCMobilizr」
〜CitrixはPC向けのデスクトップ仮想化技術をデモ

Rove Mobile CEOのRob Woodbridge氏

会期:1月28日〜30日(現地時間)

会場:Desert Springs, A JW Marriott Resort & Spa, Palm Desert



●スマートフォンでPC上のデスクトップ環境を利用する「PCMobilizr」

 Rove Mobileがデモを行なった「PCMobilizr」は、BlackBerryやWindows Mobileが動作している携帯電話から、PCのデスクトップ環境をそのまま利用することができるリモートデスクトップソフトウェアだ。インターネット経由での接続となるが、IPアドレスやファイアウォールの再構成などを必要とせず、かつWindows PCのすべての機能を利用できる点をアピールしている。

 ユーザーはまず、PC側に専用のソフトウェアをインストール。携帯電話からクライアントアプリケーションを起動し、ユーザー認証を通すだけで、専用ソフトウェアをインストールしたPCへ接続され、携帯電話の画面にPCのデスクトップが表示される。

 PC側の解像度は問われず、携帯電話の画面ではデスクトップ全体をスクロールしたり、ズーミングしたりして任意の範囲を表示することができる。おそらく、後述するCitrixのPresentation Serverのような仕組みで、PC側でアプリケーションが実行され、その結果の画面のみを転送している仕組みと思われる。

 PCから携帯電話へ転送されるデータは256bit SSLで暗号化。さらに圧縮もされて転送されるので、非常に軽快に利用できるとしている。

 ちなみに、このPCMobilizrはソフトウェアに対する料金ではなく、1カ月9.5ドルという従量制課金となる。すでに30日間フリートライアルがすでに提供されており、携帯電話側は冒頭で述べたとおり、BlackBerryとWindows Mobileに対応。PC側はWindows 2000/XP/Vistaに対応している。また、今後60日間のうちに、Nokia製携帯電話とiPhoneに対応したクライアントソフトウェアと、Mac OSに対応したサーバーソフトウェアをリリースするとしている。

デモにはBlackBerryが用いられた。携帯電話上からPCMobilizrのクライアントソフトウェアを実行。その後、認証を行なえばPCのデスクトップにアクセスできる PC側で動作中のAdobe Photoshop CS3の操作を携帯電話から行なえる
PCのデスクトップ解像度に制限はない。左上の小窓に表示されているように、デスクトップ上を自由にスクロールできるほか、拡大/縮小表示も行なえる。デモ機では1,680×1,050ドットのデスクトップへアクセスしていた 携帯電話でPCのデスクトップを操作するうえで不足するキーは、特定のキーに割り当ててエミュレートできる

●“デスクトップサービス”が次のビジネスチャンス?

 仮想化関連サービスを手がけるCitrix Systemsは、「XenDesktop」と呼ばれるデスクトップ配信ソフトウェアのデモを行なった。オフィス内ユーザーを含む個人用PCを対象にしたデスクトップ配信の技術はこれまでにもあり、WindowsのリモートデスクトップのようなターミナルサービスはPCユーザーにもなじみが深い。また、昨今トレンドとなりつつある、仮想化を使ったVirtual Machineとしてデスクトップを配信する技術のほか、ブレードコンピューティングといったものもある。

 これらは、それぞれに良いところを持っており、例えばターミナルサービスはコストがあまりかからなかったり導入が容易、Virtual Machineは個人のニーズに合わせたデスクトップ環境の配信が可能、ブレードコンピューティングはパフォーマンスに優れる、などといった特徴がある。XenDesktopはこれらすべての要求をカバーするものとしている。

 XenDesktopの面白いところは、1つはデスクトップ配信を行なうサーバなど個々の機能を、それぞれに特化させている点である。各PCへのデスクトップの配信はProvisioning Serverが担当するが、OSのイメージなどを保管するストレージサーバーは別途用意する。また、Provisioning Serverと各クライアントへ配信するデスクトップイメージは分けられているほか、デスクトップ上で動作するアプリケーションは、別のサーバーから配信される格好となる。各機能を分けて提供することにより、さまざまな環境に適応できるのが特徴だ。

Citrix Systems Director, Product Marketing Desktop Delivery GroupのSumit Dhawan氏 配信デスクトップイメージの作成ウィザード画面。OSの基本部分のイメージは“テンプレート”という扱いで、複数のクライアントで共通利用する 割り当てるメモリ容量も任意に指定が可能で、配信サーバー側でコントロールできる

 ちなみに、アプリケーションはCitrix Presentaion Serverという同社の有名なアプリケーション配信サーバーから配信される。このほか、サーバーサイドもXenServerというサーバー仮想化ソフトを提供しており、各機能で同社のソリューションを提供していけるという面では、ビジネスモデルとしても合理的といえるだろう。

 また、XenDesktopでは、Citrix Presentation Serverでも採用されているICAというプロトコルを採用している。サーバークライアント間で転送されるデータを圧縮し、帯域幅を節約している。さらに、配信されるのがデスクトップ環境のみであることから、配信用のデスクトップのOSイメージは1つでよいとされている。

 各クライアントに特化したデスクトップ/OSのイメージを記録しておく必要がないわけで、ストレージスペースの節約や、パッチ/サービスパックの適用の手間を大幅に削減することができるとしている。その意味ではアプリケーションの側も同様だろう。環境すべてをイメージとして持っていた場合は、イメージごとに必要なパッチなども異なり、管理が非常に複雑になる。デスクトップ(OS)とアプリケーションを分けてプールしておくことで、管理もシンプルに行なえるようになる。

 今回のデモンストレーションでは、サーバ側で作業する配信用デスクトップイメージの作成と、クライアント環境での動作例を紹介。OSイメージの作成はウィザード形式により作成が可能。OSごとに数ステップで作業が完了することをアピール。OSの根幹部分はテンプレートとして提供され、この部分は共通のイメージファイルが使用される。そして、配信先に割り当てるメモリ容量も任意に設定することができるといったカスタマイズも可能だ。

 一方のクライアント側では、Flashなどのリッチコンテンツを含むWebブラウズや、PowerPointファイルを収録したUSBメモリをクライアントのローカルUSB端子に接続し、サーバーから配信されたPowerPointアプリケーションを利用してpptファイルを閲覧するというデモが示された。また、Provisioning Serverでは配信するクライアント単位で個人設定を記録する機能も持っている。この機能により、デスクトップ画面の個人設定が可能である点もデモで示されている。

 このXenDesktopは現在ベータ版が提供されており、すでに11,000を超えるダウンロードが行なわれているという。正式版は2008年5月が予定されている。登壇したSumit Dhawan氏は、デスクトップ配信はSaaS(Software as a Service)に続く次のビジネスモデルになる存在、とアピールした。

クライアントからはネットワークブートという形で配信サーバーへアクセス クライアント側でFlashを含むWebページを閲覧しているデモ こちらはデスクトップの背景などを利用者が自由に変更できることを示すデモ。このほか、USBメモリからpptファイルを起動するデモも実施された

●仮想化を利用したテストサービス

 StackSafeは、仮想化技術を用いたテストサービスのデモを実施した。仕組みは、自社が運営するサーバーなどのイメージを、StackSafeが設けるテストセンターに丸ごとコピー。テストセンター側では、そのコピーをライブラリとして保管し、さらにそのコピーを取って、その孫コピーを利用してさまざまなテストを実施。その結果をレポートできるというものである。

 OSやアプリケーションなどのパッチを適用する場合など、適用後に不都合が発生しては困るが、そのテストを事前に実施するためのシステム停止時間を最小限に抑えたいという状況に向けたサービスである。

 いまや企業の根幹に係わるネットワークインフラにとって、アップデートに伴うダウンタイムが企業活動に与えるインパクトは小さくない。また、万が一アップデート後にトラブルが発生し、それに伴うダウンタイムは予期できないものとなる。

 また、IT管理コストは目に見えにくいとは言われるものの、安定したネットワークインフラはIT管理コストの削減には欠かせない。StackSafeを活用すれば、自社のネットワークインフラのダウンタイムは、アップデート作業のみに集約でき、そのほかのテストなどは、仮想化した別の環境に一任することができるようになる。継続性が極めて高いネットワークインフラする実現する手法として興味を持たれそうな存在といえる。

StackSafe President&CEOのLoren Burnett氏 StackSafeのテストサービスサーバにコピーされた企業のサーバーが稼働中。ここから各種テストを実行したり、コンソールから操作を行なったりといったことが自由にできる。もちろん実行しているのはコピーなので、企業のネットワークインフラに影響はない

□DEMO 08のホームページ(英文)
http://www.demo.com/conferences/demo2008.html

(2008年1月31日)

[Reported by 多和田新也]

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