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インテル キャピタル、2007年の投資実績と目標を発表

1月11日 開催



 インテルの投資部門、インテル キャピタル ジャパンは11日、2007年度の投資状況と、2008年の展望の説明会を開催した。

インテル キャピタル スディヤー・クマール・カッパム マネージング ディレクター

 インテル キャピタルで日本、インド、オセアニア、東南アジアを管轄するスディヤー・クマール・カッパム マネージングディレクターは、2007年の日本での実績について、次のように説明した。

 「日本での2007年は、記録的な1年間であった。投資先企業の中で、株式会社トリケミカル研究所、株式会社ネットインデックスの2社が株式公開を実現した。新たに投資したワイヤレスブロードバンド企画株式会社は、大きな可能性を持っている。我々はWiMAXを唯一のワイヤレスブロードバンドインフラと考えており、KDDIなどと共に、同社への投資を実現したのは大きなチャンスだと考えている」

 2007年には、ワイヤレスブロードバンド企画以外にも6社の日本企業に新たに投資を行なった。説明会には、現在CESのために渡米中のワイヤレスブロードバンド企画以外の6社の企業が出席し、各社の事業の紹介と、インテル キャピタルとの関わりについて説明した。インテル キャピタルでは、2004年以降、WiMAX、クリーンテクノロジー、コンシューマ向けビジネスの3つのフォーカス分野と、以前から継続的に行なっているシリコン向けに投資先を絞っている。日本での投資企業もこのいずれかに該当する企業になっている。

日本での2007年のトピック インテル キャピタルが2007年に新たに投資を行なった企業

 株式会社ベルロックメディアは、吉本興業も出資するコンテンツ制作会社。

 「吉本興業の関連会社ということもあり、スポンサーのメッセージをエンターテイメントコンテンツとして制作するという特色を持っている。現在、「ZZZ.TV」の名称でマルチプラットフォーム対応の動画ポータル型サービス提供の準備を進めている。インテル キャピタルが投資してくれたのも、弊社の制作するコンテンツが、さまざまなデバイスに搭載されることを想定してのことではないか」(ベルロックメディア 下山一美COO)

 株式会社フェイスは、ベルロックメディアの出資企業の1社であり、すでに株式公開を行なっている。

 「当社は世界で最初に携帯電話向け着メロの制作を手がけた。現在は、NFRM(Near Field Rights Management)という権利認証技術を使い、携帯電話でコンテンツをダウンロード購入する権利を購入し、それを自分の家のテレビで視聴したり、オーディオで再生する『カザスチャンネル』というサービスを提供している。こうした色々なコンテンツを配信するビジネスがインテル キャピタルに評価されたのではないか」(フェイス 佐伯浩二取締役)

株式会社ベルロックメディア 下山一美COO 株式会社フェイス 佐伯浩二取締役

 ガッチャメディア株式会社は、インターネット無料動画サイト「GOTCHA! TV」を運営している。

 「当社はG-engineという高画質の配信技術を使って配信事業を行ない、PCでも高画質の動画視聴の機会を増やすお手伝いを行なっている。Intel製CPUが搭載されたPCで、高画質動画を見る機会を増やしたという点が評価され、出資いただいたのではないか」(ガッチャメディア 神野方仁CEO)

 株式会社ガルフネットは、2001年に設立したITベンダーで、流通業に特化したITソリューションを提供している。

 「インテルとは、過去にシリコンバレーでオンラインプロセッサの開発を一緒に行なった経験もある。が、今回評価していただいたのは、イオンに代表されるように流通業の金融ビジネス展開が進展していることもあって、業務プロセスのリエンジニアリングの必要性が生まれた。我々はそれを一括して支援するITソリューション提供ができる体制を持っている点が評価されたのではないか」(ガルフネット 石川純一社長)

ガッチャメディア株式会社 神野方仁CEO 株式会社ガルフネット 石川純一社長

 株式会社キールネットワークスは、'98年に設立し、当初は官公庁関連のシステム開発などを手がけてきた。2年前からは事業方針を転換し、SNS向けプラットフォーム開発に着手し、事業展開している。

 「ご存知のように日本でのSNSは、すでにミクシィのように10歳代、20歳代向けのものが普及しており、これから競合していくのは難しい。そこで、もう少し上の年代向けに、既存の組織用にクローズな会員に特化したポータルを提供するなどのビジネスを展開している。契約の関係で事例は明らかにできないが、着実に利用者も増加している。インテル キャピタルは、我々の事業がPCと向き合う時間を増やしたという点を評価してくれたのではないか」(キールネットワークス 鈴木康正CEO)

 新潟精密株式会社は、2004年にCMOS技術によるワンチップのFM/AMラジオICを開発し、リリース以来、毎年1,000万個を出荷している。

 「CMOSを使ったFM/AMラジオICは、開発に着手した当時は無謀といわれたものの、結果的にはFMラジオが搭載されている携帯電話のうち、2台に1台は当社のICが搭載されている。こうした実績が、インテルに評価されたのだと考えている」(新潟精密・岡本明常務取締役)

株式会社キールネットワークス 鈴木康正CEO 新潟精密株式会社 岡本明常務取締役

2008年の日本での展望

 こうした成果を受け、インテル キャピタルでは2008年の日本市場での投資を、「少なくとも2007年を上回るように、強気で投資を加速する」(カッパム マネージングディレクター)方針だ。

 これは、「経済成長が弱含みの時ほど、強気の投資を行なうというのが当社の方針。その結果、景気が上向いた時に、いち早く成果を手に入れることができる。日本でも過去に同様の実績を得ている」ことから来ている。


インテル 吉田和正共同社長

 インテル株式会社の吉田和正共同社長は、「日本での投資フォーカスとして、コンシューマ向けインターネットがある。今日は、2007年に我々が投資を行なった企業に参加してもらったが、その多くがコンシューマ向けインターネットサービスの先駆者ばかり。ワイヤレスブロードバンド企画のようにWiMAX、さらに必要であれば3Gも含め、高速な無線インフラがシームレスに利用できる状況達成の支援のお手伝いもしていきたい」と話した。

 また、カッパム マネージングディレクターは、日本の起業家に対し次のようにメッセージを送った。

 「成功するスタートアップ企業の条件は、全世界共通である。しっかりとした経営陣、革新的なアイデア、それを製品化する実行力、さらにそれをビジネスとしていくパワー、この4つの条件さえクリアすれば、どんな企業でも確実に成功するだろう」

□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□インテル キャピタルのホームページ
http://www.intel.com/jp/capital/
□関連記事
【2007年12月11日】インテル、今年1年を振り返る記者説明会を開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1211/intel.htm
【2007年9月18日】KDDIやインテル・京セラなど、モバイルWiMAX事業会社を設立
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/36320.html

(2008年1月11日)

[Reported by 三浦優子]

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