東芝のWeb直販サイト「東芝ダイレクトPC」限定モデルとして販売されているdynabook Satellite TXWシリーズが、搭載CPUを強化してモデルチェンジされた。 そこで今回は、その最新モデルの中から、グラフィック強化モデル「dynabook Satellite TXW/69DW」を取り上げる。 ●CPUが強化されパフォーマンスアップ dynabook Satellite TXW/69DW(以下TXW/69DW)は、GPUを搭載することで、最新3Dゲームも十分楽しめる優れたパフォーマンスを発揮する高性能A4ノートながら、20万円を切る価格設定を実現した、コストパフォーマンスに優れる製品だ。今回取り上げる最新モデルは、従来モデルからCPUを強化したマイナーバージョンアップモデルではあるが、販売価格が若干引き下げられており、より魅力が向上している。 新モデルのスペック強化点は、CPUだ。新たに搭載されるCPUは、Core 2 Duo T7500(2.20GHz)。従来モデルではCore 2 Duo T7300(2.00GHz)が搭載されていたため、1割ほどのパフォーマンスアップが実現されていると考えてよいだろう。スペック向上幅自体はそれほど大きなものではないが、価格を引き下げた上でのスペックアップということで、素直に歓迎できる。 これに対し、他の部分の基本スペックは従来モデルをほぼそのまま踏襲している。チップセットはIntel PM965 Expressを採用し、メインメモリにはPC2-5300 DDR2 SDRAMを搭載。メインメモリは最大4GB搭載可能で、標準で1GB搭載する下位モデルと、2GB搭載する上位モデルが用意されている。メインメモリ搭載用のSO-DIMMスロットは2スロット用意されており、同容量のSO-DIMMを2枚搭載することで、メインメモリはデュアルチャネル動作となる。ただし、1GB搭載の下位モデルでは、1GBのSO-DIMMが1枚のみ搭載されるため、シングルチャネル動作となる。 HDDは、従来モデル同様、120GBの2.5インチシリアルATAドライブを採用。CPUの強化に加え、HDD容量の増加も実現されていれば、より魅力が高まったと思うだけに少々残念だ。またWeb直販限定モデルながら、BTOで大容量HDDに変更するという手段も用意されていない。120GBあれば容量不足に悩まされることは少ないと思うが、できれば160GB以上の選択肢も用意してもらいたかったところだ。
●Mobility Radeon HD 2600搭載でゲームやHD動画再生も楽々こなす TXW/69DWでは、外部GPUとしてMobility Radeon HD 2600を搭載する点も特徴の1つだ。Mobility Radeon HD 2600はAMD製のDirectX 10対応GPUのミドルレンジモデルで、DirectX 10準拠の最新3Dゲームも楽しめる。東芝ダイレクトPCでは、NVIDIA製GPUであるGeForce 8600M GTを2基搭載するデュアルGPU仕様のノート「dynabook Satellite WXW/79DW」を発売しており、そちらと比較すると3D描画能力は劣るが、それでも一般的なチップセット内蔵の描画機能を利用するノートと比較すると、明らかに高い3D描画能力が得られる。 また、Mobility Radeon HD 2600には、HD動画再生支援機能「Avivo HD」に加え、MPEG-4 AVC/H.264およびVC-1のデコードを行なうUVD(Unified Video Decoder)が搭載されており、HD DVDやBlu-rayの再生にも余裕で対応する。残念ながら、TXW/69DWにはHD DVD対応ドライブが搭載されていないため、すぐにHD DVDを再生して楽しめるというわけではないが、オンライン配信されているHDクオリティの動画を再生して楽しむ際には大きなアドバンテージになるだろう。 ビデオメモリはローカルで256MB搭載し、メインメモリを共用することによって最大1,023MBまで拡張可能。そのため、3Dゲームも高解像度で楽しめる。 液晶ディスプレイは、WXGA(1,280×800ドット)表示対応の15.4型ワイドClear SuperView液晶を搭載する。優れた発色性や視野角の広さ、輝度の高さなどが特徴で、特に非常に鮮やかな発色や視野角の広さは特筆すべきポイントだ。表面パネルがグレア処理された、いわゆる光沢性のあるパネルのため、やや映り込みが気になるが、表示品質の高さを考えると十分に満足できる。少なくとも、デジカメ写真やHD動画、ゲームなど、高品質の画像や映像を楽しむ場合に不満を感じることはないだろう。 キーボード上部の左右に搭載されているスピーカーはharman/kardon製だ。実際に鳴る音は、一般的なノートPCのような、とりあえず付けているだけというスピーカーと比べると高音質だ。とはいえ、一般的なharman/kardon製のスピーカーとは比較するのは少々きつい。特に低音がかなり弱いため、中音~高音域がキンキン鳴っているだけという印象を受け、どうも安っぽい音に聞こえてしまう。ゲームや動画を楽しむ場合には、できれば外部スピーカーを用意すべきであろう。
●基本スペックはやや改善の余地あり それ以外の基本スペックを確認しておこう。 ネットワーク機能は、有線LANおよび無線LANを標準搭載する。ただし、有線LANはEthernet、無線LANはIEEE 802.11a/b/gの対応にとどまっている。無線LANについては、IEEE 802.11n ドラフトをサポートしていなくても現時点では特に困ることはないが、有線LANがGigabit Ethernetに対応していない点は残念だ。今後の改善を期待したい。ちなみに、無線LAN機能は、本体手前底面のスライドスイッチを利用してON/OFF制御が可能となっている。 光学ドライブは、DVDスーパーマルチドライブを搭載する。HD DVDサポートの光学ドライブを搭載しない点は少々残念ではあるが、コスト面を考えるとしかたがないだろう。現時点では、HD DVDなどの次世代DVDメディアへの対応はまだ必須条件ではないものの、今後はHD DVD搭載モデルの追加も検討してもらいたいところだ。
インターフェイス類は、必要十分。本体左側面には、ExpressCard/54スロット×1、USB 2.0ポート×2、IEEE 1394×1、ミニD-Sub15ピンなどを用意、また本体右側面にはUSB 2.0ポート×2を備える。本体左右にそれぞれUSB 2.0ポート×2が用意されている点は、利便性を考えるとなかなか魅力的だ。また、本体前面には、SDカード(SDHC対応)/xD-Picture Card/メモリースティック(PRO)対応スロットが用意されている。
キーボードは、ピッチ19mm/ストローク2.5mmのフルサイズキーボードを搭載。タッチはしっかりしており、もちろん特殊な配列やいびつなピッチもなく、デスクトップ用キーボードと遜色のない使い勝手だ。ポインティングデバイスは、パッド式のタッチパッドだ。クリックボタンは2個のみでパッドの縁をなぞることでスクロールが行なえる。おそらくTXW/69DWでは外付けマウスの利用を基本としているために、特に高機能なポインティングデバイスを採用していないのだろう。とはいえ、通常操作には何の支障もない。
バッテリは、容量4,000mAhのリチウムイオンバッテリを採用。ただし、バッテリ駆動時間は約1.6時間と短い。とはいえ、もともと持ち歩いて利用するノートという位置付けではないため、バッテリ駆動時間が短いとしても、特に大きな問題にはならない。また、ACアダプタもかなり巨大だが、それも含めて持ち歩きは特に重要視されていないことが容易に想像できる。
●3D描画能力に優れた安価なノートを探している人におすすめ では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したソフトはいつものとおり、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と「3DMark05(Bulid 1.3.0)」、「3DMark06(Build 1.1.0)」の3種類。Windows Vistaに用意されているパフォーマンス評価の結果も加えてある。 結果を見ると、どの項目もかなりの好成績を収めていることがよくわかるだろう。搭載CPUやGPUなどを考えるとそれも当然の結果ではあるが、このスペックを誇るノートが20万を切る価格で販売されているというのはかなりの魅力ではないだろうか。 もちろん、フラッグシップノートと比較すると、スペック的に見劣りする部分があるのも事実。特に、3D描画能力に関しては、最新の3Dゲームを高解像度でプレイするにはやや物足りない場合もあるかもしれない。とはいえ、それはコアゲーマーが見た場合の感想であり、一般ユーザーからすると十分満足できるものと言っていい。
【表】ベンチマーク結果
TXW/69DWは、Mobility Radeon HD 2600を搭載するという点から、特にゲーマーから注目されているノートではあるが、Windows VistaやOffice系アプリケーションも快適に利用できることを考えると、一般ユーザーにとっても注目すべき製品だろう。そしてなにより、搭載メモリ1GBの下位モデルで169,800円、搭載メモリ2GBの上位モデルで179,800円(Office Personalインストールモデルは199,800円)という安価な販売価格も大きな魅力。 セキュリティ機能はあまり充実していないため、ビジネス用途としては少々厳しいかもしれないが、ビジネス系アプリケーションからゲームまで、幅広いアプリケーションが快適に動作する、家庭で利用するコストパフォーマンスに優れたメインマシンを探している人に広くお勧めしたい製品だ。
□東芝のホームページ (2007年12月14日) [Reported by 平澤寿康]
【PC Watchホームページ】
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