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NEC、ワイヤレスブロードバンドへの取り組みを紹介

NEC 執行役員 モバイルネットワーク事業本部長 遠藤信博氏

12月10日 開催



 NECは10日、同社のワイヤレスブロードバンドへの取り組みについての説明会を開催した。説明会では、同社 執行役員 モバイルネットワーク事業本部長 遠藤信博氏がLTE(Long Term Evolution)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、およびフェムトセルなどの技術を紹介した。

 冒頭で同氏は、携帯電話や家電などのさまざまな端末がネットワークの一部となる機会が増えることで、通信量およびインターネット利用ユーザー数が年々増えている現状を説明。特に近年ブロードバンドを利用するアプリケーションの増加が顕著に現れているとした。

 また、新技術によるデータ通信速度の向上により、新たなビジネスチャンスが生まれることも指摘。例えば、オンデマンド放送やホームセキュリティ、ホームヘルスサービスの開発や普及が見込まれるとした。

 一方で、ワイヤレス技術の進歩により、端末のモビリティ性向上とともに、ユーザーの利便性が高まっていると指摘。そこで、「ブロードバンドとワイヤレスが掛け持つ変革力を組み合わせることにより、さらなる新しい分野のビジネスが生まれるのではないか」と期待を寄せた。

増加するデータ通信量 ブロードバンドの普及によりアプリケーションが増加 ブロードバンドとワイヤレスの組み合わせによる新しいビジネスチャンス

WiMAXの高速データ転送を応用したアプリケーション例

 その一例として、電車駅構内にモバイルWiMAXの基地局を設けることで、40ページ分の新聞なら0.2秒、CD 1枚分のMP3音楽でも12秒程度でダウンロードできることを挙げ、「従来の新聞の価格の大半はプリンティングにかかる費用やデリバリ費用がメインだったが、Webベースになれば広告費だけでまかなえるようになる。このシステムを利用した新たな形態の新聞社が現れるのではないか」と述べた。

●3GPPとIEEEからの2つのアプローチ

 具体的にどのようなワイヤレスブロードバンドを実現するソリューションとしては、3GPPからの流れとしての「LTE」と、IEEEからの流れとしての「WiMAX」の2種類がある。

 LTEは3.5Gの後継で3.9Gとして呼ばれる広範囲の無線通信規格で、主に携帯電話での採用が見込まれている。HSPDAやHSPAの後継として開発されたもので、下り速度が100Mbps以上(理論値)、上り速度が50Mbps以上(同)の高速通信が可能。

 遠藤氏は、「我々は現在この技術を利用した通信網システムを開発しており、2010年頃の実用を目指すべく努力している。LTEが実現すれば、50Mbpsという広帯域の上り回線を利用して、一般ユーザーが実況をストリーミングデータとしてインターネット上に配布することもできるようになるだろう」と説明した。

 一方WiMAXについては、ラストワンマイルを無線通信で補う固定地点利用向けの「IEEE 802.16-2004」と、移動中の利用を想定した「IEEE 802.16e」の両方において積極的に取り組んでいると説明。実際に台湾で大同電信よりモバイルWiMAXシステム(M-Taiwanプロジェクト)の受注を受けたほか、世界各国でトライアルを実施開始しているという。

ワイヤレスブロードバンドを実現する2つのアプローチ 3GPPの流れを引き継ぐLTE IEEEの流れを引き継ぐWiMAX
WiMAXを利用したストリーミング動画配信のデモ LTEのデモも行なわれたが、現段階では無線の許可がないため有線によるシミュレーションを行なった。伝送遅延が5ms以下であることをアピール

 さらに、家庭向けの超小型無線基地局「フェムトセル」も開発しており、家庭内でもブロードバンド回線を通じて移動網に接続することで、屋外と屋内を同一の端末で同一のサービスが利用可能になるという。メリットとしては、屋内においては帯域を占有できる高速のサービスが展開可能になるとしている。

 なお同日、NECはNTTドコモが商用サービスを予定しているSuper3Gの無線基地局装置の開発製造ベンダーとして選ばれた。これにはNECのLTEソリューションが利用される見込み。また、同日よりモバイルWiMAXソリューションを「PasoWings(パソウィングス)」というブランドで、全世界向けに販売開始した。

「フェムトセル」のコンセプト フェムトセルの実機も展示された

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0712/1001.html
http://www.nec.co.jp/press/ja/0712/1002.html

(2007年12月10日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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