シャープ、タッチパネル用フィルムが不要の新UI搭載液晶を開発
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光センサータッチパネル搭載液晶 |
8月31日 発表
シャープ株式会社は8月31日、光センサーを採用したタッチパネルを搭載した3.5型モバイル液晶ディスプレイ「光センサ内蔵システム液晶」を開発したと発表した。9月よりサンプル出荷開始し、2008年春より量産開始する。
液晶パネルの各画素に光センサーを内蔵し、液晶表面に置かれた物体を認知することにより、タッチパネル用のフィルムを省いた。静電容量方式や抵抗膜方式と比較して薄型化が可能で、フィルム透過による乱反射が低減するため表示品質が高い。
従来のタッチパネル液晶との表示品質比較 | 従来のタッチパネル液晶の方式比較 | 表面にタッチパネルを貼り合わせる必要がないため、厚みが1mmになった |
また、複数ポイントの同時認識にも対応。2本以上の指での同時操作で、iPhoneのように、2本の指の間隔を広げると画像拡大、縮めると画像縮小といった操作を行なうことが可能。
2本以上の指の同時タッチ操作に対応する | 会場でのデモでは、複数の指同時押しで複数の音を同時に鳴らした |
片方の指を固定し、もう片方の指をスライドして2本の指の間隔を広げるとすると地図を拡大する | |
片方の指を軸に、もう片方の指をスライドすると地図が回転する |
さらに、光センサーによるスキャナ機能も搭載。現時点では、液晶面に乗せた名刺を認識することが可能で、将来的には2次元コードの読み込み、および指紋認証にも対応する予定。
名刺を乗せるとスキャンされる。階調はモノクロ2階調 | 2次元コード、指紋認証も対応可能 |
今回開発されたモジュールは、サイズが3.5型の半透過型で、解像度が320×480ドット(ハーフVGA)。光センサー駆動回路もガラス上に集積した。同技術は透過型液晶にも適応可能で、今後は解像度の向上、サイズの大型化(最大で12.1型程度まで)も見込む。
現時点で想定される主な利用用途としては、スマートフォン、デジタルカメラなどを見込む。将来的には、家庭内で利用する統合型リモコン、電子辞典、電子絵本、超薄型モバイルPC、ホームセキュリティなどに応用できるとしている。
●市場のニーズに応えた製品
同日に都内で開かれた発表会では、同社 モバイル液晶事業本部 本部長 方志教和氏が出席し、製品の開発背景について紹介した。
冒頭で同氏は、現在モバイル機器の高性能/多機能化により、ユーザーインターフェイス(UI)が複雑化してしまい、そのため、モバイル機器メーカーとして、いかにユーザーにストレスを感じさせない直感的なUIを実現するかが重要になってきているとUIの現状を説明。
そのため、これまでも携帯電話やPDA、UMPC、デジタルカメラ、ゲーム機などにおいて、タッチパネルを採用することが多くなり、年平均出荷台数が28%増と堅調な成長が維持する中で、これまでのタッチパネルに存在する課題をクリアする必要があると指摘した。
同社 モバイル液晶事業本部 本部長 方志教和氏 | タッチパネル搭載液晶の出荷台数予測 |
中でも重要なのが、タッチパネルを貼り合わせることによる表示品質の低下と、タッチパネルを別に用意しなければならないため薄型化への問題があると取り上げ、「今回我々が開発した液晶は、この2点を克服し、タッチパネルによる操作性を備えつつも、ワンセグや動画などによって求められる高画質、モバイル機器小型化に伴う薄型化を実現した」と述べた。
質疑応答では、コストについての質問がなされ、方志氏は「従来のタッチパネル搭載液晶と比較して、ユーザーはさほどコストを追加することなく搭載可能」とした。また、耐久性についても、「これまでのタッチパネル式とは違い、硬質なパネルを前面に搭載することが可能で、今まで以上に表面にキズがつきにくいような設計もできるようになるだろう」と答えた。
□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070831-a.html
□関連記事
【2004年12月9日】東芝松下ディスプレイ、光学式タッチパネル機能内蔵の液晶を開発
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1209/tmd.htm
(2007年8月31日)
[Reported by ryu@impress.co.jp]