大容量USBメモリ「バッファロー SHD-UH24G」を試す
発売中 バッファローから、最大容量56GBを実現したUSBフラッシュメモリ「SHD-UH」シリーズが発売された。24GBモデルを1台借用できたので、試用レポートをお届けする。 本製品は、大容量フラッシュメモリを採用し、HDDの代わりに使ってもらうことを目指して開発された製品だ。同社の製品ラインナップとしても「USBフラッシュメモリ」としてではなく、「シリコンディスク」と名乗っている。 また、SLC(Single Level Cell)とMLC(Multi Level Cell)の2種類のメモリを混合採用することで、性能と低価格を両立させたのも特徴としており、従来の同等製品「SHD-U」と比較して約33%高速化したという。 容量24GBで定価45,097円という値段は、HDDと比較してかなり高価であり、絶対容量やコストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては受け入れ難いが、フラッシュメモリとしてみればそれほど高い値段ではない。さらに、機械的な動作がないため低消費電力で、耐衝撃性、静音性に優れるなどのメリットがある。 ソフトウェア面でも大容量を活かせるよう、バックアップソフト「Acronis True Image LE」が添付されており、大容量のシステムファイルのバックアップにも対応できるようになっている。 ●HDDような外観 本製品の本体サイズは57×89×14mm(幅×奥行き×高さ)と、USBメモリとしてはかなり大型だ。2.5インチ外付けUSB HDD製品と比較すれば2回りほど小さいし、名刺入れと同じぐらいのサイズだが、厚みがあり、小型HDDを内蔵したストレージ製品に近いサイズとなっている。
そのため、PCとの接続はUSBだが、ケーブルを利用して接続することで隣のデバイスとの干渉を防いでいる。このコネクタとケーブルは本体に巻きつけて固定可能で、携帯性に配慮している。
なお、使い方は従来のUSBメモリと同じく、USBポートに接続すれば利用できるが、1つだけ異なる点は、Vistaでは「リムーバブル記憶域があるデバイス」としてではなく、「ハード ディスク ドライブ」として認識されることだ。もちろんファイルのコピーなどの使い勝手はUSBメモリと一緒だが、アプリケーションのインストールなどの用途にも使えるだろう。 それでは、実際の性能をみるためにベンチマークを行なおう。環境は、Core 2 Duo E6600(2.40GHz)、メモリ2GB、Intel 945G Expressチップセット、GeForce 8400 GS(256MB)ビデオカード、320GB HDD、OSはWindows Vista Ultimate。使用したソフトはCrystal DiskMark 1.0.4。 本製品は、USB高速化技術「TurboUSB」に対応しているが、まずはTurboUSBをインストールしない状態で計測した。
その結果は、シーケンシャルリードが18.03MB/sec、シーケンシャルライトが13.72MB/sec、512KBランダムリードが18.03MB/sec、512KBランダムライトが4.9MB/sec、4KBランダムリードが6.359MB/sec、4KBランダムライトが0.205MB/secとなった。さすがに超高速メモリ「RUF-CS-BL/U2」シリーズと比較すると見劣りするが、USBメモリとしては高速な部類に入る。SLCとMLCを混載したメリットが見えているといえよう。 次に、TurboUSBをインストールしてみた。インストール手順は他のTurboUSB製品とほぼ同じで、CD-ROMの自動起動メニューから選択するだけでインストールできる。インストール時には本製品を接続する必要があるが、DVDドライブ製品のように再起動を促されることはない。
TurboUSBをONにした後の結果は、シーケンシャルリードが19.02MB/sec、シーケンシャルライトが14.45MB/sec、512KBランダムリードが18.71MB/sec、512KBランダムライトが5.086MB/sec、4KBランダムリードが7.869MB/sec、4KBランダムライトが0.204MB/secとなった。本製品はUSB 2.0の速度がボトルネックになることがないような速度とはいえ、TurboUSBによる効果は数字にも表れている。 なお、試用した製品のCD-ROMに添付されていたTurboUSBはVer.1.1だったが、既に1.2もホームページ上で公開されており、こちらでも計測してみたが、結果はVer.1.1と似たような傾向だった。細かい数値の違いは誤差とみて良いだろう。
●分解編
本体の内部構造をみるために、分解をしてみた。ネジはシリアルナンバーが書かれたシールの下にある1本のみだが、シャーシの4辺にツメが合計7個あり分解しづらい構造となっている。これはプラスチックで2.5m落下に耐えうる構造としたためだろう。
内部の基板は2枚構成。シルバーのカバーを上にした状態で上から見える基板を表とすると、1枚目の表にはSamsungの「K9HBG08U1M-PCB0」と、「SM222TF」と書かれたICチップがそれぞれ1個ずつ装着されている。 1枚目の裏が一番にぎやかで、K9HBG08U1M-PCB0が1個、Hynixの「HY27UF081G2A-TPCB」が2個、SM222TFが1個、ワークビット製の「D8927GV-002」が1個実装されている。このほか、2枚目へのブリッジコネクタとUSBコネクタもこちらの面に実装されている。 2枚目の表には、K9HBG08U1M-PCB0と、SM222TFが1個ずつ、それから1枚目からのブリッジが1個実装される。2枚目の裏はK9HBG08U1M-PCB0が3個と、SM222TFが1個装着されている。
このうち6個も装着されているSamsungのK9HBG08U1M-PCB0は、現時点ではサイトに製品情報にはなかったものの、型番から解析すると、MLCを採用したNANDフラッシュメモリで、32Gbitの容量を持つ製品であることがわかる。駆動電圧は2.7V~3.6Vで、第1世代に属するNANDフラッシュメモリだ。本製品を6枚装着することで、24GBという容量を実現している。 一方、2枚装着されているHynixのHY27UF081G2A-TPCBは、SLC構成の1GbitのNANDフラッシュメモリだ。駆動電圧は3.3V。2枚で256MBを構成している。よって、本製品の容量のほぼすべてがMLCによって構成されており、SLCはあくまでも高速化目的のためだけに搭載されていることがわかる。 4枚装着されているSM222TFについては、インターネット上で検索してみたが、情報が少なく、製造元に関するページもないため、製品の詳細を知ることはできなかった。しかし、D8927GC-002はATA-USB変換チップであるため、SLCとMLCのNANDフラッシュをATAドライブとして駆動させるためのコントローラと推測される。 ●万人向けではないが将来に期待 以上見てきたように、本製品はSLCとMLCを独自に組み合わせることで、低価格と高性能を両立させた製品であることがわかるだろう。 それでも24GBで4万円超えという価格はボトルネックであり、本体サイズが大きすぎるためUSBメモリの利点である携帯性が失われてしまっているが、USBメモリの大容量化/高速化の未来を垣間見ることができる製品だといえよう。 □バッファローのホームページ (2007年8月8日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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