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SiBEAM、無圧縮HD動画の伝送を目指すWireless HD

社長兼CEOのジョン・E・レモンチェック氏

6月27日 発表



SiBEAMのビジョンと成り立ち

 米SiBEAM(サイビーム)は27日、都内でプレス向けに説明会を開催し、60GHz帯を利用したワイヤレス技術への取り組みを紹介した。説明はSiBEAM社長兼CEOのジョン・E・レモンチェック氏が担当。

 SiBEAMはファブレス企業で、Wireless HDやWireless PAN(Private Area Network)、車載などのアプリケーション向けに、先進の半導体ソリューションを提供することをビジョンとしている。

 同社は2004年の設立以来、60GHz帯の送受信が可能なスタンダードCMOSチップセットの開発に取り組んでいる。今回、その成果となる技術「OmniLink60」について日本で初めて説明し、同社の取り組みをアピールした。

 60GHz帯は、7GHzの帯域幅、最大25Gbpsのデータ転送速度を備え、高速転送に有利になっている。また、ワールドワイドで免許が不要なため展開が容易なことも特徴。その60GHz帯を採用したOmniLink60は、無指向性と指向性の2方式に対応し、無指向性通信により環境内をスキャンしてデバイスとの接続確立や機能の確認などを行なう。そして、指向性のあるビームのような通信により高速な転送速度を実現し、無線ビデオエリアネットワークを構築するという。

 加えて、指向性のある通信はビームステアリング機能を備え、マイクロアレイアンテナ技術などにより見通し外(障害物有りの状況)での接続も可能。例えば映像視聴時に、映像の送信機と受信機(ディスプレイ)の間を人が遮った場合には、アンテナが周囲を再スキャンし、壁との反射などを利用した経路を見つけて送信を続行する。

OmniLinkの利用イメージ 60GHz帯のアドバンテージ OmniLink技術を搭載したモジュール。右手の白いチップにワイヤレスソリューションが統合され、その背面にはアンテナを装備する

 OmniLink60の最初のアプリケーションはWireless HDとなる。Wireless HDは次世代のワイヤレス技術であるUWBやIEEE 802.11nと比較して広帯域で、転送速度において100倍以上の性能を示す。また、エンコード/デコードが不要な非圧縮で転送を行なうため、遅延や画質/音質の劣化が無い。それに付随して、部品点数が減少するため、コストメリットも提供する。

 Wireless HDは、LGや松下電機産業、NEC、Samsung、ソニー、東芝が参加する民間主導の規格団体。屋内10m以内で4Gbpsの転送速度を実現し、非圧縮HDビデオ/オーディオ/データの転送を目指す。現在は夏の最終仕様に向けて規格の調整中。また、国際規格であるIEEEとも連携を図っており、802.15.3cでの採用に向けて働きかけを行なっている。

 そのほか、同氏は革新的な点として、ミリ波帯のスタンダードCMOSモデリング技術や60GHz帯に対応したスタンダードCMOSの実現などを挙げ、同社が業界のパイオニアとなっているとアピール。今回紹介した技術を搭載した製品は、3~4カ月以内に発表する予定とした。

OmniLinkデモ動画。右手の送信機からHD映像を伝送し、左手の受信機からHDMIでディスプレイへ接続している。 Wireless HDのメンバー SiBEAMのコアコンピタンス

□SiBEAMのホームページ
http://www.sibeam.com/
□ニュースリリース
http://www.sibeam.com/company/pr_06.27.2007_jp.html

(2007年6月27日)

[Reported by matuyama@impress.co.jp]

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